【週刊ゲーム市場分析】ハドソン消滅までの経緯を考える。

2012年01月21日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第37回。
今週は「心霊カメラ」が発売されたので、ホラーゲーム市場の話をメインにしようかと思ってたけど
新しいトピックスが入ったのでそっちに変更してみました。

コンシューマソフト週間販売ランキングTop20(4gamer.net/メディアクリエイト調べ)
※上記の週間販売本数以外のデータ(前作データ等)はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。


■「スーパーロボット大戦OGサーガ」シリーズがPSPでも販売本数を維持

今回の首位は「スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD」(8.2万本)。
ここで同シリーズの近年の販売実績を見てみる。



近年はDSで展開されていたが、いずれも初週8万本前後、累計10万本強という安定した本数を記録していた。
機種がPSPに移行しても安定は揺るがなかったようだ。むしろハードとの相性でPSP版は本数が増えるとの
期待もあったが、ユーザーの上限が10万強で固まっており、それは難しかったのかもしれない。

本作の限定版は前作のリメイク版とのセットで、新規ユーザーを開拓する努力もなされていたが、
限定版で出荷本数が限られていたこと、そして新規ユーザーには、いきなり高額の2本セットは
手を出し辛かったのかもしれない。

ちなみに本作にはダウンロード版が用意されているので、販売本数はもう少し上積みされることになる。
PS VITAが発売されている今、ダウンロード版の本数は無視できないが、パッケージ版とダウンロード版が
同価格に設定されており、ダウンロード版が割高になるのは残念なところだ。

そして販売の中心となった2本セットの限定版にはダウンロード版が用意されておらず、
ダウンロード版の本数をプラスしても「初週8万本前後」の域は出ないと思われる。


■ハドソン消滅までの経緯を考える。

ハドソンは1月17日、コナミへの吸収合併で消滅会社になることを発表した。
引き続きハドソンブランドは残るものの、3月1日をもってハドソンは39年の歴史に幕を下ろすことになる。

かつて最大手のゲームメーカーのひとつだったハドソンが消滅に至ったのはなぜだろうか。
ここで近年のハドソンのソフト販売推移とトピックスを調べてみた。
(ハドソンが開発を担当していた「マリオパーティ」シリーズの本数も加えてあります)


※データはGEIMIN.NET様よりお借りし、こちらで集計しました。

ゲーム業界は2003年にスクウェアとエニックスの合併、2005年にはバンダイとナムコの経営統合が起こるなど
約10年ほど前に大規模な再編期を突入したが、ハドソンも例に漏れず、拓銀の破たんなどもあり
経営危機を迎え、2005年にコナミの子会社となった。

その後、開発を担当していた「マリオパーティ」シリーズの大ヒットにより、経営難は脱したかに見えたが
社長に元コナミの経営本部長が就任し、コナミ色が強くなったあたりから、徐々に変化が見え始めたようだ。

交代となったハドソン元社長は、任天堂のセカンドパーティとなっていたNDキューブに移籍、社長に就任。
元「マリオパーティ」開発スタッフも加わり、開発した「Wiiパーティ」は200万本強の大ヒットを記録。
任天堂の信頼を得た彼らは、2012年末発売予定の新作「マリオパーティ9」の開発も任されている。

残されたハドソンのスタッフも、パーティゲーム開発のノウハウを生かし、「デカスポルタ」「ジョイサウンド」
「釣りマスター」といったヒット作をWiiやDSで生み出し、立て直しに成功したかに見えた。

しかし、その後、会社の看板だった高橋名人が退社し、そして新しい社風に馴染めなかった「桃鉄」の
開発スタッフが会社を去り、同シリーズの生みの親・さくまあきら氏が新作の開発終了を宣言。

「桃鉄」の版権表示を見る限りは、さくま氏は「桃鉄」の版権まで所持しているようには見えず
ハドソンの意向次第では、今後も同シリーズは開発されるのかもしれない。
しかし、さくま氏抜きの“新作”が、ユーザーからこれまで同様の支持を得るのは難しいだろう。

会社の看板の高橋名人、および屋台骨を支えていた「マリパ」「桃鉄」を失うことになったハドソンは
文字通り骨抜きになってしまった。コナミの吸収合併の判断は致し方なかったのかもしれない。

一連の流れを追うと、消滅のきっかけとなったのはコナミであるように見える。
しかしコナミによる資本注入や経営への介入も、ハドソンへの延命措置であったのは間違いない。
結局のところ、ハドソンは10年ほど前の業界再編期には、その役目を終えていたのかもしれない。


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