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YOGA&トレイルランニング&仏教
逆境を味方に!

トレイルランは登山 or ランニング?

2010-02-07 23:12:46 | 生活
以前宿題にしていたテーマです。

もちろん常識的には両方が合わさってトレイルランなのですが、
問題は、どちらにより軸足を乗せるかということです。

自分の答えは、登山です。

まず、当たり前ですが、山というフィールドを使うこと。
そして、大きな違いは「人」です。

市街地や郊外の公園でも、ランニングをしていて、
10分以上誰にも会わないことはめったにないと思います。

トレイルランでは、グループで行けば別ですが、
自分のようにソロで行くとなると、
とくに、最近入っている長沢背稜のような奥地では、
4~5時間誰にも会わずに走り続けることは、ざらにあります。

この「人」の違いが如実に現れるのが、アクシデントのときでしょう。

街中であれば、捻挫や転倒などすぐに対応できますが、
ひとたびトレイルに入ると、あっという間に携帯電話は圏外になり、
救急車の入れる林道も、はるか下のほうということになります。

したがって、トレイルランは登山の一形態という心構えを持った上で、
山に入らないと大変なことになります。

このことを考えさせられたのは、
昨年11月、救命・救急センターのお世話になったトレイルラン中の事故でした。
そこからセルフレスキューの重要性を認識し、装備も大幅に改善しました。

登山者もトレイルランナーも、山を甘く見てはいないと思います。
しかし、登山者に比べどうしても装備が限られるトレイルランのリスクが高いことは、
言うまでもないことでしょう。

自分が、ほとんど単独でトレイルランを行っているのは、
このセルフレスキューの力をつけたい面もあります。

セルフレスキューは、何もアクシデントのときだけでなく、
トレイルランで、何時間も人に会わず自分に向き合って走っているとき、
遭遇する様々な事態に対し、いかに的確に対応できるかということも含まれます。

長時間のトレイルランの中では、コース状況の変化、気象条件の変化、
体調の変化、それら刻々と変化する状況を、
自分のもてる限りのセンサーを動員して感知し、
的確に乗り切ってゆくことが、危険を避ける第一の手段だと考えます。

現代日本はよい時代で、食べ物もでも何でも苦労せず手に入ります。
ランニングもやろうと思えば、クラブやセミナーは山ほどあり、
労せずしてノウハウや情報は手に入ります。

これはこれで素晴らしいことで、自分もいろいろ学ばせてもらっています。
しかし、自分で切り開き、自分で得たものは真に自分の力になります。
そんなアンチテーゼもちょっと投げかけてみたいと思います。

さらに最近、図書館でこんな本を見つけました。



奥多摩地域を管轄する青梅警察山岳救助隊の金(こん)副隊長の救助日誌です。
これを読むと、奥多摩でも死亡を含め多くの事故が起きていることが分かります。
それに対し、山岳救助隊がいかに頑張って救助に当たっているか、本当に頭の下がる思いです。
奥多摩をトレイルランのフィールドとしている方は、ぜひ一読をお勧めします。

トレイルランを登山の一形態と定義づけるなら、
当然、入山前は登山計画書を提出しておくべきであり、
自分に欠如しているところは、まだまだ見つかります。

トレイルランは登山に比べ、よりリスクが高いスポーツです。
100%の安全が保障されることはありえないことであり、
そのためにも、セルフレスキューの心構えをしっかり持って入山したいものです。