膵臓がん闘病記 ・・・いつか電池が切れるまで・・・

2008年夏、膵臓がんの手術をしました。その時のこと、その後の生活などを書いています。  
 

経口抗がん剤

2010-02-21 22:33:55 | 5年生存-1年目
「UFT」・・・私の担当医師の説明は、

臨床試験結果は、出ていないが、膵臓癌の再発防止対策として、欧米では術後半年、日本では、1年程、服用した方が良いとされている。 副作用は、個人差があるが、軽い方だという。

身体が弱っている時に飲むものではないので、術後、胆汁漏があった私は、それが、落ち着いてからの服用を勧められた。 そして、副作用が強いようなら、服用はやめましょう。


という、念のための経口抗がん剤…ということだった。



ようするに、再発に対して、効くか効かないかよくわかっていないけど、効くかもしれないので、具合が悪くなる可能性は高いけれど、飲む薬・・・再発が怖いので、延々飲み続けている罹患者もいるそうだ。

知識がなかった私でも、そんな得体のしれないものに、自分のQOLを預けるのは抵抗があった。

世の中には、罹患者の少ない病気はたくさんあるんだろう。 治る見込みのない病気、特効薬のない病気、「膵臓癌」もその一つに過ぎない。

でも、私は、やっぱり、薬飲むんだったら、効くことを信じて飲みたいぞ・・
サプリじゃないんだからさ~

「効果は、個人の感想で、保障されるものではありません。」

      って、TV通販のテロップじゃないんだから。 でも、それが、現状。(涙)


物事を考える時や、判断を下すには、やはり、材料がいる。 私には、知識がなかった。

「癌」は、ある意味、情報戦。 けして、担当医を信用していないわけじゃない。 多分、担当医は、現時点での最良を尽くしている。 だけど、担当医の現状の情報が、今この時は、正しくても、明日、そうでなくなる場合もある。

再発の治療に関してもそれが言える。

手術に関しても… 以前は、拡大手術が主流で、私の受けた膵頭部十二指腸切除の手術は、胃もかなり切除されていた。 今は、患者のQOLを優先し、縮小手術が主流。 ちょっと前なら、私の内臓はかなりの部位が切り取られていた。 膵臓癌の予後の悪さは、この辺にも問題があったらしい。 



念のための経口抗がん剤に、私の健康な方の細胞が悲鳴を上げないか…心配しつつ…拒否する決め手がないまま、飲み始めていた。

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寄りかかったもの

2010-02-18 09:15:24 | 5年生存-1年目
人間がなぜ生まれてきて、どこに帰結するべきなのか私にはわからない。
けれど、「生」が、輝くべきものなのだとは、思う。


私は、誤魔化してきたように思う。 「死」というものに蓋をして、見て見ぬふりをしてきた。 病気になって、そういったものに直面し、誤魔化しきれなくなった。 見ることをしないでは、立っているのも容易でなくなった。 生きてはいるのに、明日を迎える準備ができていない。


・・・ただ、私は私なりに、それまで、私らしくあろうと、誰かの役に立とうと、何かに必要とされるようにとやってきた。 私は、昨日の自分が嫌いではない。 過去~現在~未来と続くならば、昨日の自分と、今日の今この時の自分は、つながっていてしかるべきなのだと思おうと考えた。 病気になってからの自分は、それまでの自分とまるで違ってしまった感覚は否めないけれど、生き方が分からなくなってしまった「今」、私ができそうに思ったことは、「過去の自分」にすがることだった。 


「過去の自分」をなぞる生き方… 「あの頃の自分だったらどうするであろう。」それをいつも心の中で検証し、過ごすことにした。 


・・・どうなるかわからない「明日」を迎えるために・・・


抱えてしまった「爆弾」が爆発する、その時までは、できるだけ、病気になる前の生活に近いものを・・・以前の自分をなぞる自分を創りだすことにした。

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再入院

2010-02-15 00:52:09 | 5年生存-1年目
退院後の通院で、最後に残った、胆汁を体外に出しているチューブを抜いた。 それが早すぎたのか、どうなのかわからないが、腹部の激痛で再入院した。胆汁漏…ということだった。


そんなこともあったが、再入院の後は、元の日常が徐々に戻ってきた。 でもそれは、病気になる前とは全然違う日々。


もしかしたら、手放さねばならない、かけがえのない日常…。 身体の回復とは裏腹に、どこか不安で頼りない、空間。 自分だけが異質なもの、そんな感じ。 皆が、変わらない日々を過ごす中、異質な空間をまとっている。 心の底から笑えない…


その頃は、PCを持っていなかったので、ずいぶん本を読んだ。 自分の病気のこと、身体の事、これからどう生きればいいのか。 

膵臓癌の書籍は少ない。 というより、症例が少ないと言った方が正しい。 発見された時には、手術ができない進行度の場合が多く、手術可能であって、手術をしても、予後が良くない、転移、再発率が高く、5年生存率も低い。 さらに、決め手になる治療法も確立されていない…
 

毎月の血液検査、半年毎のCT、何もなければ、普通の生活、再発していれば、闘病生活。どちらをどうとらえて生きるのが良いのかわからなかった。 ある意味、爆弾を抱えている生活になる。 時限装置付き。 検査で何もなければリセットされる。 この2択に、自らの選択の自由はない。


    ・・・「癌」という病気の恐ろしさを知った。


こんな人生も「アリ」なのかもしれない。 命あるものは必ず消える定め。 明日死ぬことになっても、幸せでいられる自分になれればいい・・・


自嘲した。 理想論は虚しいだけだった。

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告知、再び

2010-02-08 00:19:13 | 望むもの
2008年8月、退院前日、術後の病理検査の結果説明を受けた。


    「胆管癌ではなく、膵臓でした。」


その頃の私は、膵臓の場所もよくわからないくらいの知識だったので、

「癌は、癌なんだろ」くらいにしか思っていなかった。



でも、意味合いはだいぶ違うらしく、膵臓の場合、再発率がとても高いこと、術後補助療法ということで、抗がん剤の服用をした方がいい事の説明を受けた。




   ………膵臓癌


        本当の私の「闘病記」は、ここから、始まる。



ここからの私の選択や考え方は、正しくないかもしれない。 けれど、病気と向かい合って生きる一つの例だと思う。 いろいろな人間がいて、いろいろな考え方がある。 生き方も様々。 私は私なりに、何かを掴む、あるいは、理解しようとした。
 

難治癌№1の膵臓癌、転移、再発すれば、よくて1年だと思っている。



私が、欲してやまないものは、そういう状況でも、違っていても、揺るがない「覚悟」のようなものだと思う。


膵臓癌の5年生存率は、思いのほか低い。 でも、人間の「死」の確率は、
早い遅いの差こそあれ、100%なんだ。




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