膵臓がん闘病記 ・・・いつか電池が切れるまで・・・

2008年夏、膵臓がんの手術をしました。その時のこと、その後の生活などを書いています。  
 

うらを見せおもてを見せて散るもみじ

2013-01-07 08:56:15 | 5年生存-3年目
以前はよく笑う方で、「ツボ」にハマるとゲラゲラとよく笑った。
「笑う」ってのは、不思議な行為で、無理してでも笑っていると、心が軽くなる。・・・気がする。


「楽しい事」がなーんもないって悩んだ日々もあったけど、
意識して「笑える出来事」に向かっていったり、
楽しめることを探したりしなきゃいけないんだろうな。・・・多分。


楽しむことも、満たされた思いになることも、自分で意識して向かっていかなければ、
いつまでも心は沈んだままなんだろう。 それでいいならいいんだけど・・・


笑いたくもないのに笑っていたりする、ずいぶん嘘つきな自分もいたけれど、
「それはそれ、これはこれ・・・」なんて都合よく断片的に考えた。・・・時もある。


・・・・・・「生きる」ということは虚飾に満ちていて、
時折見える「真実」を見えにくくする。・・・ものなのかもしれない。


でも、嘘じゃないんだ・・・全部、ホントなの。

  ・・・ゲラゲラと笑う自分も、

    ・・・オイオイとなく自分も、

      ・・・前向きに頑張ろうとする自分も、

        ・・・立ち止まって一歩も動けない自分も、



手術をしてから、すぐ疲れちゃうものだから、
    「棺桶に片足突っ込んでるから~」
   って、笑いごっちゃないけど、・・・笑うサ。


同窓会の時は、
    「1人消え、2人消え、そして、誰もいなくなるんだ!」 とか
    「50年後なんか、みんな死んでっから。」 とか・・・
                    ・・・・・・ハハハ・・・

  ・・・すい臓がんの自分も、

    ・・・今、生きている自分も、

      ・・・再発に怯える自分も、

        ・・・「なるようになるさ」と構える自分も、

全部、嘘じゃない。 全部、今、生きている「ワタシ」なの・・・


「人間」は、矛盾ばかりだけど、「そういうものだ」と受け入れた。
楽になった。 少し・・・
「矛盾」を受け入れてなお生きるのが人生?なのかな~


    ・・・・・・・・・うらを見せおもてを見せて散るもみじ・・・・・・・・・


初めて出会った時は、「悲しい句」と思ったけど、
「地面に着くまでに、いったい何ができるんだぁ~」と思ったもんだけど、
時折見せる一面が、時々「きらりん」とできればいいよな。なんて・・・
その「きらりん」を私と関わった人が忘れないでいてくれれば・・・



でもね、
あたしゃ、落ち葉より、花びらのように軽やかに逝きたいね。

「モクレン」じゃないよ、「桜」「サクラ」「さくら」・・・

「往生際が悪い」って言われてもサ。



にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ 人気ブログランキングへ にほんブログ村 病気ブログ がん・腫瘍へ

にほんブログ村FC2 Blog Ranking


サボテンの花

2011-07-22 10:37:52 | 5年生存-3年目
ラジオ番組から懐かしい曲が流れる。 歌はいいな… いつまでも語り継がれる。。


2008年7月に手術をした。 今月で丸3年だ。
問診1週間前のCT検査と血液検査…ここの窓口の看護師は、注射が恐ろしくへた。
最初は 「そんなもんだろ~」 と思っていたけれど、近頃は、毎回同じ看護師で、毎回同じように痛いので、割と我慢強い方だと思う私もさすがに 「他人の身体だと思って!!」などと思うようになった。


…定期的な検査や問診、再発の有か無か、また、日々の日常…いろいろな事が頭の中を駆け巡った日々では、 「痛さ」にとらわれ、余計なことを考えずに済むのがありがたかった時期もある。



今でもそれは大きなの関心事ではあるのだけれど・・・
手術をして間もないころは、‘再発後の治療’が1番の関心事だった。



‘再発後の治療’について、私が理解したことは、「すい臓がんの再発」の場合、部位にもよるが手術ではなく、‘抗がん剤治療’が主流になること。
そして、その‘抗がん剤’は、“ジェムザール”と“TS-1”の2種類であること。
「単独」、あるいは、「混合」で使用する。が、人によっては、効かない場合もあること。
そして、その2種の薬が効かない場合、打つ手がない事・・・だった。


その頃は、問診の度にまるで「他人ごと」のように話していたように思う。 私は、そういう時「傍観者」になるように努めていた。 
あまりにも明るく自分の暗い未来の事を話しをする、 特異な『患者』だったのかもしれない。
担当医に「ずいぶん元気ですね~」と言われたこともある。 医師の話では、すい臓がんの患者さんは皆さん、半年から1年で再発して、逝ってしまうそうな。

元気な時は、自分の病気のことを忘れる時もある。 でも、病院にくると、担当医がとてもやさしくて・・・いたわってくれる。 そして、多分正直に「すい臓がんの現状」を聞かせてくれる。 そんな時、自分は大変な病気なのだと思いしらされる。 そんな繰り返し・・・



だいぶ自分の身体の事や病気の事がわかってきたころふと思った。
「再発」に対する心の備えは必要だろうけれど、それに振り回されるのはやめよう。と。
多分、「負の記憶」みたいなものに支配されている自分を見たくなかったのだと思う。


可能な限り、自分の置かれている空間で、自分を客観的に見つめることができれば、私にできる事、私がしなければならない事が見えてくる。 そう思い、その一瞬を大事にすることにした。

たいそうな志があったわけでもないし、普通の主婦でたいした事ができるわけもないけれど、毎日の日々の中で、なにかしらある…ほんの小さなことでも…今の私にできる事、私を生かして、周囲の役に立ったりする事・・・

術後無理はできない身体だけれど、できる無理もある。

なんだか、崖っぷちで、トランプができる自分を見てみたかったのかな~


『もしかしたら…』の明日が、怖くないわけじゃない。 見て見ぬふりをしてるわけじゃない。

心の片隅ではいつも、きちんと向き合っている。でも、それにとらわれない・・・




懐かしいメロディーはチューリップの『サボテンの花』・・

頭をよぎった映像は、およそ似つかわしくない、きれいなサボテンの花と、そこにいたはずの人間の気配が残った、鍵をかけたドア。

       何かをみつけて生きよう
       何かを信じて生きてゆこう

『生きる』ということのはかなさを思わずにいられなかった。



にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ 人気ブログランキングへ にほんブログ村 病気ブログ がん・腫瘍へ

にほんブログ村FC2 Blog Ranking


死にぞこない…5年生存率の挟間で…

2011-07-01 09:07:57 | 5年生存-3年目
また、夏が来る。もうすぐ手術をしてから丸3年。


   …私は生きている。


昨年の夏も暑かったけれど、今年も暑くなりそう。 手術をしてからずっと、私は“身体の弱い普通の人”
…癌細胞といっしょにいろいろ切除しているせいか、私は欠陥品で無理ができないようだ。


暑い夏はいやだ…昨年秋には「急性膵炎」でまたもや入院生活を余儀なくされた。 でも、


   …私は生きている。


あれは、痛かったな~ 担当医から話は聞かされていたので痛みに襲われた時、「これが多分急性膵炎!!」と思ったもんだ。 でも、死ぬ気はしなかった。 目測で10日も入院すれば退院だろうと考えていた。 で、事実その通りだった。

膵臓の3分の1、十二指腸、胆のう、胆管の一部・・・それらが私にはない。 この手の手術をした人間は、予後、‘急性膵炎’を伴う事があるらしい。 本来‘急性膵炎’は大酒のみの男性に多い疾患だという。
 
担当医は言う。 「1年に4~5回する人もいるんですよ。」
「そりゃ、単に医師の腕が悪かっただけなのではないですか?」と私。 診察室は一瞬、少し押さえたような笑いの空気になる。 私はただ、遠まわしに「先生の腕はいい」と言いたかっただけなのだけどな。



3か月毎の血液検査、半年毎のCT。 今のところ特に心配な所見はない。


    また、7月が来る…


昨年の夏、交通事故で次男の後輩が亡くなった。 どうして私ではないのだろう。 
大震災の折、私は、なぜ、波打ち際に立っていなかったのだろう。 亡くなるべきは私ではなかったのか…


膵臓癌の再発率は高く、それゆえ5年生存率は恐ろしく低い。 
もう再発して余命を切られていてもおかしくない。
こんな私がのうのうと生きていていいのだろうか? と、時々思う。



そこには、この腕で、この身体を抱きしめて「生きてる!」ことを噛みしめたいと思う私がいる。


    …また、7月が来る。 暑い夏を連れて…



にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ 人気ブログランキングへ にほんブログ村 病気ブログ がん・腫瘍へ

にほんブログ村FC2 Blog Ranking