わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

家族の福を祈る「おせち料理」

2009-01-01 | 行事食
信濃毎日新聞社「 週刊さくだいら」特集
<1999.12/23号掲載>

2000年へのカウントダウン…お正月の団らんに
物の豊かさの中で、人の和(輪)や個性、感性の大切さが見つめ直されています。21世紀は心の時代といわれ、今世紀をしめくくる2000年はその助走の年。2000年問題で、元旦は家で過ごすご家庭も多いのでは。こんな時こそ、家族そろって新しい一年を語り合ってはいかがですか。

年越しから新年へ
一年を区切る年末年始。年末にはお歳暮を贈ってお世話になった方への一年の恩に感謝し、大掃除で家中のすすを払い、大みそかの食卓はごちそうや年越しそばで、細く長く健康で暮らせることを祈って一年の生活をしめくくります。
新年は心新たに縁起よく、安心感をもって迎えたいもの。
お屠蘇(とそ)やおせち料理、お雑煮で歳神様と一緒に祝い、家族の健康と幸せを願って始まります。

お屠蘇(とそ)
屠蘇散(とそさん・漢方薬)を酒に浸して作る屠蘇は、元日に家族の無病息災を祈って飲む酒。行く末が長いことを祈り、年少者から頂きます。

鮭(サケ)

昔からお歳暮といえば「新巻鮭」が挙げられ、一年間お世話になった恩を返すことをサケが生まれた川に戻る習性に見立てて贈答にされました。脂の乗ったサケは絶品で一尾丸ごと、頭は「粕汁」、氷頭は「なます」で味わえます。

鰤(ブリ)

「ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ」と成長によって名の変わる出世魚の縁起から正月に欠かせない魚で、特に関西で好まれます。照り焼きが一般的ですが、ゴボウやセリと醤油味のなべ物にしても美味です。


祈りと縁起
おせち料理は、それぞれに家族の健康と福への祈りや願いが込められた縁起物です。
外食やテークアウトの手軽さによって、家庭での手料理離れが進んでいますが、料理を作る心を見直すころです。
卵やきんとんの黄色は“金や財宝をあらわす”など、新たな年の家族の健康と幸せを祈り、おせち料理の一品一品の縁起と伝統の意味を確かめながら味わってみましょう。



長寿エビ

「腰が曲がるまで」の長寿を願う縁起もの。
エビの殻と背ワタを取ったら、耐熱皿に薄く油をしいて塩を振ったエビを丸く置き、200度のオーブンで軽く焼いて、真中にうずらの卵を割って入れ、火が通る程度にさらに焼きます。

黒豆
「まめ(健康)で、達者に暮らせるように」の願いです。祝い肴三種のひとつで、しわが寄るまで長生きするように、しわを寄せて煮る事もあります。丹波の黒豆が大粒の良品。さびたくぎをガーゼに包んで入れ、アクをていねいに取るのがポイント。やわらかくなったら一晩煮汁に浸すとふっくらと仕上がります。

酢ばす
穴から向こう側を見通せることから「見通しのよい年」を願います。皮をむいたらすぐ酢水につけて変色を防ぎます。花れんこんの飾り切りにして、真っ白く煮て、甘酢漬にします。

田作り
昔、イワシを田の肥料にしたことから、“田作り”と呼ばれ、ゴマメ(カタクチイワシ)の「五万米」の語呂から豊作を願うものです。スライスアーモンドを加えると香ばしさも増して現代風。


昆布巻き
「よろこぶ」から、祝い事に使われます。身欠きニシンやサケを芯にして巻き、カンピョウで結びます。煮るとやわらかく色がきれいに仕上がる日高コンブを。


なます
「紅白」のめでたさを、ダイコンとニンジンであらわします。甘酢を煮たてて冷まして一晩漬けます。ユズを加えると香りがよくなり、キュウリを加えると彩りに変化がつきます。

カズノコ
「子孫繁栄」の縁起物。半日~1日水に浸し、途中2~3回水を替えて塩抜きします。
少し塩味を残し、調味液(だし汁、みりん、酒、醤油、赤唐辛子)に漬けます。

クワイ
「芽でたい」「芽がでるように」と、芽が出ているクワイを使います。根から芽の方に向けて皮をむき、焼きミョウバンを溶かした水に浸してアクをぬいてから煮ます。

ユリ根
滋養があり、「一年間息災で暮らせるように」と願います。でんぷん質が多いので加熱すると、ホクホクします。ミョウバンでアク抜きしてから蒸します。

チョロギ
「長老喜」「千代呂木」とも書く縁起物。梅酢に漬けて赤く染め、紅白で黒豆の色どりにされます。朝鮮経由で日本に来たため、朝鮮語でチロイ(ミミズ)というのがこの名になったとか。


雑煮ともち
もちは神様のお召し上がりもので、正月の鏡もちには新しい歳神様(子孫繁栄の神)が宿るとされていました。大小二つが重なることで、福徳が重なることを願います。
表が緑、裏が白い“裏白”の葉にのせますが、「裏をかえしても心が白い」「白髪になるまでの長寿の願い」の意味や、古い葉と新しい葉が重なる「家族の繁栄」、葉が二枚重なる「夫婦仲のよさ」を表しています。


「エビしんじょ雑煮」
・中型エビ(6匹またはムキエビ)の殻と背わたを取り、包丁で叩いて細かくして、塩・醤油・みりん・酒(各少々)、卵白(1/4個分)、自然薯(粘りの強い芋のすりおろし・小さじ1)、片栗粉少々を加えて混ぜ、小さな団子状にして揚げます。
・だし汁を煮立てエビしんじょ団子を入れ、生シイタケ、カマボコ、ギンナンなどを加えて、塩とうす塩醤油で味を調え、焼いた餅と器に盛ってミツバを散らします。

やわらかくしたい時は、水を通して皿にのせ、ラップをして1分弱電子レンジにかけます。からみ餅、あんころ餅に

「ずんだ餅」
冷凍枝豆を軽くゆでて皮からはずし、すり鉢かミキサーで細かくしたら、砂糖で甘さを加え、やわらかくした餅に絡めます。


「レモンバター餅」
フライパンにサラダ油をしき、餅を入れてフタをし、弱火で焼きます。仕上げにバターを入れてレモン汁をかけます。

「あんかけ餅」
餅を低温の油でカリッと揚げ、カニの棒足・長ネギ、ニンジン、生シイタケなど(せん切り)を酒、醤油、だし汁で煮て片栗粉でとろみをつけ、あんかけにします。


お酒のあとに
祝い膳のしめくくりや小腹のすいた時には、さっぱりと雑炊やお茶漬けを。
ミツバやゴマ、刻みのり、オオバ(シソの葉)などの香味をじょうずに使って手早く作りましょう。


「シーフード雑炊」
水を煮立てて白だしと塩で味を調整し、冷凍シーフードミックスを入れてご飯を加え、溶き卵を回し入れミツバを散らします。


「親子茶漬け」
サケは焼いて皮と骨を除いて身をほぐしておきます。熱いごはんを盛って、サケと
イクラをのせてせん茶をかけ、ミツバと刻みのりを散らして、ワサビを添えます。


「にゅうめん」
ワカメ、練り梅、刻みワケギ、ボイルムキエビ等を用意しておきます。そうめんを堅めにゆでい冷水でサッと洗いザルに取り、一人分ずつ熱湯に通し、熱いつゆをかけます。
具をのせて、出来上がり。



「焼きおにぎり茶漬け」
おにぎりを作り、味噌をつけて香ばしく焼きます。(作っておくと重宝)器に入れ、せん切りオオバ、おぼろ昆布、かつを節をのせて、熱いせん茶をかけます。


祝いのだんらん
大勢で過ごすお正月は、短時間でつくれて、ご馳走感のあるメニューが一番。


重箱でつくる「押しずし」
青黄赤白黒(しょうおうしゃくびゃくこく)が“すしの五原色”で、美しいめでたさをあらわします。重箱全体にラップをしき、錦糸玉子やコハダ、マグロ、カニ、サーモン、大葉などとすし飯を交互に重ねて平らに押し、ラップごと重箱から取り出して切り、イクラやのりで飾ります。


「しゃぶしゃぶ」と「キムチクッパ」
超うす切肉、エノキ茸、セリ、ニラ、カイワレ菜、しゃぶしゃぶ用うす切り餅など、火の通やすい材料でしゃぶしゃぶを食べた後は、スープでクッパを。白菜キムチ漬、ダイコン、ニンジンのせん切りとごはんをたっぷりのスープに入れ、長ネギ、溶き卵を加えます。クッパは韓国風雑炊です。


何でも具になる「ちゃんこなべ」
今年はキムチなべと並んで、ちゃんこなべも人気。野菜、魚介、肉、どれをいれてOKの栄養満点なべです。ゴボウのささがきを入れた鶏ひき肉の団子、ベビーホタテ、ギンナンなどは竹串に通すと、沈まなくてボリューム感もアップ。アクを取りながら食べるのがおいしさのコツ。



アッと驚く、この色…
注目の「紫イモ」でお正月の和菓子を

「紫イモの茶巾」
①紫イモ(約500g)を蒸かして皮をむき、なめらかにつぶします。(熱いうちに裏ごしすると理想的)
②①の半量にレモン汁(大さじ1/2)とハチミツ適宜を入れて、好みの甘さに調節します。
③フキンをぬらし、2色のイモを丸くまとめて茶巾絞りにします。白インゲンの白あんで3色にしてもきれいです。

「紫イモのようかん」
「紫イモの茶巾」のタネを四角い型に入れて冷蔵庫で固めます。中に、栗の甘露煮や黒豆、パイナップル缶詰を刻んで入れる等、アイデアでおいしさを楽しみましょう。


「ナタデココデザート」
缶詰のフルーツ(シロップごと)、完熟パイナップル、バナナなどのフルーツを食べやすくカットして混ぜ、ナタデココ、ヨーグルト、干ブドウや干プルーンと混ぜます。
干ブドウの替わりに黒豆でも。


祝い飾り
おせち料理の飾りや、雑煮、酒の肴にちょっと添えると、お正月の華やいだ雰囲気が増します。冷蔵庫に作り置きしておくと便利です。



伝統に習う年末年始

門松・しめ飾り
青竹は「まっすぐのびる」「しなやかな生命力」、松は「一年中枯れない」長寿のシンボル、わらは「大地に広く続く」から、お正月、歳神様を迎えるお供え物に使われます。一夜飾りは忌みますので、三十日までに飾ります。

おもち
二十九日は、「苦のもち」といわれ避けます。のしもちは、大根を横において交互に切ると、よく切れます。ラップに包んで冷凍保存がカビよけには一番。

年越しそば
おおみそかに年越しそばを食べて「細く、長く、幸せに」と祈ります。最近は、そばの食べ方もいろいろで、インスタントで済ませてしまうこともあるようですね。エビ天、とろろ、月見、きつね、山菜等々、今年はわが家流を楽しんではいかが…。

除夜の鐘
人間の百八つの煩悩(食欲、性欲、嫉妬…)を取り除くもので、年内に百七、最後
ひとつが清々しい新年の始まりです。

お屠蘇(とそ)
中国から伝えられたもので、“屠”は「殺す」の意、“蘇”は「病いのもとの鬼」の名です。無病息災を願う漢方薬である意味がわかりますね。

お雑煮
歳神様を迎えるお供え物で、神様と一緒にいただきます。地方によって具は様々で、関東のすまし汁仕立てと、関西の丸もちの白みそ仕立てに大きく分けられます。
裏日本のブリ、北海道・東北のサケ・イクラ、京風雑煮に入れられる八つ頭は人の上に立つように、という意味があるそうです。

初詣
大みそかに、徹夜で神社にこもって元旦を迎える「年ごもり」のしきたりが簡単になったものです。恵方(えほう)参りといい、その年の干支の恵方(よい方向)に当たる神社に参ります。でも、大切なのは参る心。地元で普段守ってくださっている神様にお参りするのもいいですね。









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