メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY 2011冬その13 《PRISCILLA・Understudy for Felicia編》

2012年02月09日 | NEWYORK

話はさかのぼり、ニューヨーク到着日のこと。
今回の旅行お目当てのNick Adamsくんに「金曜日は休演する。」と言われて大ショックを受けたメガヒヨ。

その落ち込みっぷりは激しく、MARIさんが「Nickくん休演分のチケットの引き取り手を探すよう手配しましょうか?」と申し出てくれた程!!

しかしメガヒヨのNickくんへのはまりっぷりは半端なものではない。
代役が出る芝居を一度や二度観た位では、その目に焼きついた名演技が上書きされるなんてことは無いのだ。
むしろ違いを楽しむ位の心意気でないと!!

そんな訳で二人いるUnderstudyのどちらがフェリシア役を演じるのか興味が湧いてきた。

下の写真は、トロントでのオープニング・パーティーのもの。(Broadway.comから拝借)
 
右から二番目に写っているのが、二番手のSteve Schepisくん。
いつもはYoung Bernadetteを演じている俳優さん。
【♪Finale】ではエミュー隊の一員。
長身、スレンダーで色白な美人さんである。

左から三番目にいるのが、三番手のBryan Westくん。
【♪Material Girl】では、フェリシアちゃんの可愛くて従順なボーイズの内の一人。
後は【♪Go West】でスウェーデン人だったり、【♪Finale】ではエリマキトカゲに扮していたり。
背丈や体格がNickくんと似通っているかも?
和ませ笑顔で、憎めない感じがする。


(Bryanくん、確かこのシーンだと一番左にいたような気がする。)

どうせならNickくんと違うタイプの方で観たいとメガヒヨは思った。
Steveくんなら【♪A Fine Romance】のシーンもとても綺麗だったし、本役の健康的なイメージとは違うものが観られるんじゃないかな?
もともと自分は、こういうスラリとした女顔の人が好みだったりするしね!

そんなことを考えながらパレス劇場に足を運んだら…。

 
本日の代役はBryan Westくんだった。
二番手がいるのに三番手が出てくるんだ。

もしかしてバレリーナ役のKyleくんもお休みだから、若手長身俳優の人員が足りなくなっちゃったのかな?
Steveくんがフェリシア役に回っちゃったら、エミュー隊がブルーのJeff Metzlerくんだけになってしまうし。

エミュー隊。真ん中のピンクがSteveくん。
(これもBroadway.comから拝借)


それにしても覚悟をしていたとはいえ、代役のお知らせが挟まれたプレイビルを受け取るのは辛い


当日の座席はC列やや下手側。
Nickくんファンには上手側がお薦めだけれど、Will氏を観たい人にとっては今回の座席は大当たり!!
色々美味しい思いが出来るよ♪
でも前すぎるせいで、全般のシーンにおいて出演者の足元は見切れちゃうかな。

ところで…。その日メガヒヨはゲイ・カップル二組に挟まれるという、日本ではなかなか有りえない状況に置かれてしまった(笑)
左側に座った方々はNickくん休演にショックを受けている模様。
右側の方々は、東洋人女性が一人で観に来ているのが珍しいのか、しょっちゅうこちらをチラチラ見ていた。
大丈夫!! セリフは聴き取れないけれど、視覚的にはこの劇場の誰よりも熱心に観ているので!!


さて。前置きが長いけれど、ここからが代役Bryanくんに関する感想。
いつも通り、歌に沿って書いている。
長くてしつこいけど、お付き合い下さると嬉しい。

第一幕

【♪MATERIAL GIRL】
いつも通りのピンクのドレスに身を包み登場、そしてゴンドラが着地するやいなや、それを脱ぎ捨てると…

あれれ。Nickくんと衣装が違う!!
黒いボンテージ衣装というベースは変わらないんだけど、ラインストーンの量が全然違う。
乳首の位置だけに装飾が入っているんだけど…なんかダウングレード感が激しい。

【♪GO WEST】
こちらも衣装が違う。
自分のショーが終わり出てきたとき、Nickくんはラメ入りの黒いTシャツだけど、Bryanくんはマドンナのロゴ入りの黒系のTシャツ。

そしてナンバー中着替えて出てくるところは、
Nickくんは、女の子柄のピンク系ジャケット、そして黄色い無地のTシャツとバービーのロゴ入りハーフパンツ。
Bryanくんは、ジャケットは変わらないけど、大きくバスの絵が入った黄色いシャツと花柄のハーフパンツ。

その劇画調にモノクロでプリントされたバスの絵柄はかなりのインパクト。どこで手に入れたんだ? ソレ…。
無地のものじゃダメなの? よかったらお姉さんがそこのユニクロで買ってきてあげようか?
ハーフパンツはバービーロゴのと同色系統のものを頑張って探してみましたってな感じ。

ジャケットに関しては直接肌に触れるものではないので、いつもNickくんが着ているものを使えたのかな?

【♪I SAY A LITTLE PRAYER (REPRISE)】
この歌の後に通常フェリシアは青いシースルーのローブに着替えているのだけれど、今回は【♪GO WEST】のままの格好。
まぁアレも着替える必然性が無く、ただのファンサービスみたいだからね~。

【♪I LOVE THE NIGHT LIFE】
ブロークン・ヒルを訪ねるあの格好はNickくんと同じ。
まぁあの衣装は作品のアイコン的存在だものね!

ところでこの辺りでメガヒヨ、ある違和感を否定しきれなくなる。

「このフェリシア、いつもの半分程度しか体を動かしてないんじゃないの??」

【♪SEMPRE LIBERA】
違和感がやがて確信に!!

このナンバーでNickくんは、巨大ヒールの上でのけぞったり、片脚上げたり、一秒たりともおとなしくしていない。
しかしこのBryanくん。
脚の組替えでさえも、ナンバー中一度しか行わない。
高音発声時に片脚を顔近くまで持ち上げる、あのポーズももちろんナシ。
それでも違和感なくオペラの口パクも決まっているし、ラストの両脚開脚もするしで、やるべきことはこなしている。

【♪COLOUR MY WORLD】
このナンバーでの衣装は、ラインストーン入りの黄色いシャツとショートパンツで、Nickくんのものとほとんど同じ。
だけどラインストーンの位置が違うかな。
Nickくんのはクリアなストーンが服の上の方に集中しているけれど、Bryanくんのは下の方にオレンジのストーンが入っていた。
ただこの衣装に関してはダウングレード感は無し。

ここでふと気付く。
彼が着ているのは、試作品衣装なんじゃないかって。
Nickくんサイズに作って着せてみたけれど、ボツになったものじゃないかな~。
で、彼と似た体型の三番手くんの衣装にそのまま使いまわされているのではないかと。
推測だけどねっっ

ちなみに通常B'wayでは、代役の方にも専用の衣装が作られているって話。
聞いた話、『THE PRODUCERS』において、総工費製作費8万ドルもしたというロジャーのクライスラー・ビルディングのドレスも、代役の方の分も別にきちんとサイズを合わせて作られていたからね。 
(ヘッドドレスなどは本役と共用らしいけれど。)
二番手のSteveくんは、Nickくんと同じものを作ってもらっているんじゃないかなぁ。多分。
求む! 彼の登板時の目撃情報!!

あ。どうでもいいけど、Bryanくん、このナンバーでのパンツの腰位置がNickくんと比べてかなりチキン。深く穿き込んでいる。
本役様のように腰骨よりさらに下の位置までぐぐっと下げて、シックスパックを惜しげなく晒さんかい!!
…と思ったけど、やっぱ「事故」があると困るよね
安全確認のうえ、それぞれのペースで着こなしてもらうのがいいかと。

【♪I WILL SURVIVE】
このナンバーの手前において、「Come on! Gran'ma」とのバーナデットへの挑発。
Nickくんは前方倒立回転前後スプリッツを決めるが、Bryanくんは自分に酔いながら歌を歌うのみ。

…今のは何!?
ここは若いフェリシアが、引退状態だったバーナデットに「こんなの出来ないでしょ!」と威張るシーンなのに、そんな誰でも出来そうなことを自信たっぷりに披露されても…。
呆気に取られてしまったので、何の歌までかは覚えていないや
このまま代役を続けるのなら、何かしらの一発芸を身につけて欲しい…。お願いだから。

ところでこのナンバーでも衣装違いは有り。
例のガンビーだけど、Bryanくんは普段自分が着ている星条旗柄のものを着て登場していた。
あれってSWINGの方も自分専用のを持っているみたいだし、デザインは全部で何通りあるのかな?


第二幕

【♪A FINE ROMANCE】
ボブの家にて、洗濯機の上に腰かけて爪のお手入れをしているところ。
ここでも違う衣装。
Nickくんのブルーのチェックのシャツ、暖色系マルチカラーのハーフパンツに対し、
ピンクのチェックのシャツに、黒地にマルチカラーのドットのハーフパンツ。

【♪A FINE ROMANCE (REPRISE)】
Bryanくんのことを散々叩いているようだけど、彼にもNickくんを上回る所がある。
それはセリフがとっても明瞭で聴きやすいこと。
ボブとの別れのセリフでそれが良く分かった。
Nickくんの声がピーチネクターだとすれば、Bryanくんはレモネードくらい?
二人ともスイート系voiceだけど、彼はさらりとすっきりした感じ。

【♪GIRLS JUST WANNA HAVE FUN】
ここでもNickくんの動きに比べると寂しいものを感じてしまう。
ずいぶんシンプルなダンスになっちゃったなぁって。

これも憶測なんだけど、Nickくんが大盤振る舞いしているハイキック、お茶目なポーズなど、あれらって全部アドリブなんじゃないかな?
制作側から指定されている規定の動きをこなした上で、それらの繋ぎとして色々組み込んでいるのではないかと。
中には、並みのダンサーには出来ない柔軟ポーズとかもあったりするし
もし上記のことが当たっているとしたら、Nickくんのフェリシアが観られる今ってものすごく貴重だと思う。
彼が降板してしまったら、プリシラは全く別の作品になってしまいそう!

あ。ところでここでも衣装に微妙な違いが。
Nickくんは白いメッシュのタンクトップ姿でボブの懐に入り込むけれど、Bryanくんはその上にパーカーを着ていた。
本来ならそのパーカーはクーパーピディ到着時に身につけているものなんだけどね。
細かいことだけど

【♪HOT STUFF】
もうここまでくると、Nickくんと色々比べるのも無意味。
本役ってば、色んな意味で「規格外」なんだもの。
大健闘のBryanくんに、心の中で声援を送る。

バスの中での"おめかし"はウィッグが決まらず2回くらいつけ直した。
「ああっ! 頑張って!!」
身支度をお手伝いをするディーバの気持ちにシンクロしてしまうメガヒヨ!!
何とか決めることが出来、音楽からは外れずに済んだ。客席のこちらもほっとする。

ところで…。
数行前に「比べるのも無意味」といった舌の根も乾かない内だけど、NickくんとBryanくんの芝居の最大の違いを発見してしまった!!

クーパーピディでの一騒動から救出されたフェリシア。
焚き火の前で、ミッチから激しく叱責されているシーン。

まずはNickくんの場合。

ふてくされた様子で網タイツを脱ぐ。
そして不敵な笑みを浮かべ、ミッチをじっと睨みつけている。

ミッチが涙を浮かべながらバスの中に退場した後。
バーナデットが、「都会は恐ろしい場所だと言われるけれど…」のセリフを語る。

それを聞いている内に、顔をうずめて「くくぅ…」と声を押し殺しながら泣き始める。

バーナデットは「さあおいで」と両腕を広げる。フェリシアも抱きつき、そのまま抱擁し合う。

次がBryanくんの場合。

最初から焚き火の方向に背を向けて、ずっとミッチと目を合わさない。
ふてくされた様子で網タイツを脱ぐ。(このタイミングは一緒)

ミッチが涙を浮かべながらバスの中に退場した後。
バーナデットが、「都会は恐ろしい場所だと言われるけれど…」のセリフを語る。

体は相変わらずそっぽを向いている。
しかしそれを聞いている内に、声を抑えながらも「えぐっえぐっ」と分かりやすく泣き始める。

バーナデットは「さあおいで」と、両腕を広げる。
そこでやっと初めて彼女の方に向き、抱擁し合う。

いやー。このシーンは見ごたえがあった!!
フェリシア役の二人の俳優さんは、それぞれ違った役作りをしているよね。

Nickくんのフェリシアは、自分の美貌の価値を知っており、自信に充ち溢れている様に見える。
バーナデットへの嫌がらせなども計算尽くで行っている感じ。
だから窮地に陥っても最後の最後まで、反抗の姿勢を崩さない。

Bryanくんのフェリシアは、若さ故にちやほやされ、本人も何となくこの状況を当たり前だと思っている風。
バーナデットに対しても深く考えずに失礼な態度を取っている気配。
だから窮地に陥ってしまったら、どうしていいのか分からずに、怒っている相手に対して目を合わすことも出来ない。

メガヒヨは以上の様なイメージを受けた。
このシーンの演技に関しては、どちらも優劣つけがたいな~。
強いて言えば、パレス劇場のキャパの大きさを考えると、Bryanくんの演技の方が後ろの席のお客さんにまで分かりやすく伝わるかも!

でもどちらも自分の個性をベースに役にアプローチした結果なので、人の演技をそのまんま取り入れてもマネしても意味ないものね。
NickくんにはNickくんの、BryanくんにはBryanくんのそれぞれのフェリシアがあるってことで!

【♪LIKE A PRAYER】
うんうん、それぞれのフェリシアが…と思いつつ、ここでやっぱりどうしても比べてしまった。
せっかくの羽根がほとんど揺れていない。
中盤でのあの格好いいハイキックも、やっぱり無し。
何より、力強さとなまめかしさが圧倒的に不足しているのである。歌も踊りも、曲に負けてしまっている。
【♪MATERIAL GIRL】でのボーイの時はとても良く踊っているのに、やっぱり普段とは違う役になるとスケールダウンしちゃうのかな

そんな訳で、Nickくんのいないプリシラは別作品となっていた。
Bryanくんも彼が誉めていた通り、とてもいい俳優さんなんだけど、やっぱりフェリシラ役はNickくんでないと駄目なのである。

でもNickくんがいかに才能に溢れているということを、よーく再認識出来た。
そういう点で今回の観劇は大変意味があった。

しかしプリシラ最後の観劇がコレと思うと、正直、大変切ないものを感じる。
今後、Nickくんがどれだけの間フェリシアを演じるか分からない。
でももし可能ならば、再びの観劇の機会を持ちたいと最近思い始めてきた。
他にも行かなければならない場所はあるし、難しいとは思うんだけどねっ
目下、検討中。