金曜日の夜は、今シーズン一番の話題作『THE ADDAMS FAMILY』を観に行った。
十数年前、映画で大ヒットを飛ばしたこの作品。
妹も是非観たいとのことで、一緒に来た。
偶然にもここは一昨年『THE LITTLE MARMAID』を二人で観に来たLUNT-FONTANNE劇場である。
マグナカルタを見物に行ったのでぎりぎりに劇場に駆け付けたメガヒヨ。
席について間もなく開幕となり、あのおなじみのテーマソングが流れた。
ジャジャジャジャン
ぱんぱんっ★
ジャジャジャジャン
ぱんぱんっ★
ジャジャジャジャン
ジャジャジャジャン
ジャジャジャジャン
ぱんぱんっ★
音楽に合わせて、相の手を入れる観客たち。
ステージへの期待がこれ以上なく高まる。
そこに登場したアダムス一家の面々。
映画そっくりの人もいれば、役者の個性そのままの人もいる。
そこにお墓からご先祖様(今作品におけるバックコーラス&ダンサー)も参戦して、オープニングナンバーの「When You're an Addams」を大合唱。
全員揃ってさまざまなジャンルのダンスを踊る。
会場の観客は大盛り上がり!!
(…だけど、ナンバーで盛り上がったのはここが最高潮のような気がした…)
【あらすじ】
映画の第一作の後日談。
お化け一家のアダムス・ファミリーの長女、ウェンズデイが人間の男の子と恋仲になった。
ある日、彼ルーカスが両親と共にアダムス家を訪れることに。
恋に浮かれるウェンズデイは明るい黄色のドレスを着る等、まるで普通の女の子になってしまったかの様。
それに危機感を感じた弟パグスリーはおばあちゃんに謎の薬をもらい、姉にこっそり飲ませることで元に戻ってもらおうと画策する。
しかし手違いが起こり、その薬をルーカスの母アリスが飲んでしまった。
明るくハイテンション気味だったアリスは一転、ダークな女性へと変貌。
その晩はアダムス家に滞在することになったルーカスの一家。
さらに事件は起こる…。
たぶんあらすじは上の様な感じだと思う…。
(間違えていたらどなたか教えてください
)
自信がないのは、メガヒヨシスターズは観劇に支障を起こす位の寒波にやられていたから。
かつて経験したことが無いほどの強い冷房が、劇場にかかっていたのである。
それでも大抵は欧米人の皆さんの熱気でどうにかなるのだけど、満員にも関わらず恐ろしく冷え込んでいた。
あまりの寒さに雪山遭難状態に陥った姉妹。
妹は低体温になりかけ、中盤は眠気にやられてこん睡状態。
メガヒヨはガタガタ震えつつ、なんとか舞台に意識を向けていた。
このショーは鳴り物入りの豪華キャストだけど、その代表格がアダムス家当主ゴメス役のNATHAN LANE。
映画版より縦方向に圧縮されたかの印象。
この方はいつでも観客を楽しませようとしているな~。
でもどの役を演じてもいつも同じNATHAN LANE。
とはいえ観客は誰も文句は言わない。
日本で例えると、欽ちゃんと同じ位キャラが確立されているかも。
今回爆笑したのは「Morticia」のナンバー。
ご先祖様がコーラスに入るのだけど、そのやり取りの間が絶妙!!
あとは巨大イカを叱りつける場面。
まるで犬か何かの様に、「このカラマリめが
」と躾けしていたのがおかしかった
モーティシア役のBEBE NEUWIRTHはNATHANとは違いかなり映画のイメージに近い。
バラの花をもぎまくり「これでいいわ。」と決めるシーンも、映画そのままで観てて楽しかった。
タンゴのシーンで、花一輪で失神しそうになるのも色っぽい。
願わくばもっと登場シーンがあってもよかったのではないかと思った。
ルーカスの両親を演じたTERRENCE MANNとCAROLEE CARMELLO。
言わずもがな、ブロードウェイの主演級の方々である。
もちろん歌も演技も一流なんだけど…正直、ここまでの大物を引っ張り出してくる理由ってあるのかな?
これだけのビッグネームを起用したのだから、見どころを作るためにこの夫妻の出番は多い。
でもそのお陰でショーそのものが散漫な印象になってしまった様な気がする…。
サイドストーリーに掛ける時間はそこそこで十分だったかも。
もっとゴメスとモーティシア中心の展開になっていた方が見応えがあったのではないかな?
あと、他のアダムス家の面々については、
ウェンズデイ役のKRYSTA RODRIGUEZは歌も上手く、外見もキュートだった。
むっつり黙っててもそれはそれで可愛い!!
まだ若いけれど、ブロードウェイのキャリアは『IN THE HEIGHTS』、『SPRING AWAIKING』、『A CHORUS LINE』(BEBE)と多数。
今後が楽しみだなぁ
パグスリー役のADAM RIEGUERは子役ながらシングルキャスト。(もちろんUNDERはいるけどね。)
以前はメガヒヨが見損ねた『Shrek』でちびシュレックを演じていた。
ビリー・エリオットとはまた違うタイプで、ブロードウェイの子役の層の厚さを感じさせる。
おばあちゃん役のJACKIE HOFFMANはブロードウェイ作品常連の名わき役!!
『HAIR SPRAY』のペニーのママといい、すっごく個性的な役を舞台から浮かずに演じる熟練技の持ち主。
今回の役も色々おかしいんだけど、おばあちゃんという枠からはみ出すことは無く、主演の二人を盛り上げていた。
それとご先祖様役の中にFRED INKLEYの名前を見つけて嬉しくなった。
この方は11年前に『LES MISERABLES』のバルジャン役で拝見した。
後にも先にも最高のバルジャンだったことを記憶している。
アンサンブルには勿体ないような声の持ち主だと思うけどね。
そしてそして。
今回の最大のお目当てはフェスターおじさん役のKEVIN CHAMBERLIN
メガヒヨは10年前の『SEUSICALL THE MUSICAL』での象のホートン役以来、この方の大ファン
この方の声は周波数がいいのか、聞いててとても落ち着くのだ。
(元「たま」の石川浩司氏と声質がよく似ている。)
アメリカ産山下清のような風貌も、ツボにはまっている。
フェスターおじさんは作品の中でいい所取りで、中盤ダレているところでフライングで客の笑いを取り、
最後はオチまで攫っていっている。
トニーにも助演男優枠でノミネートされているしね。
今回、しっかり出待ちしてサインと写真をおねだりした
このためにスーシカルのCDのライナーを持っていたものね。
左端の写真が10年前にホートンを演じていたCHAMBERLIN氏。
サイドの髪型以外、あまり変わってないかも~。
この作品に対する自分の感想を総括すると、個人プレーでは役者さんは大変良かった。
しかしながら全体的には前述の通り散漫な印象を受けた。
変な話、半端なくレヴェルの高いコスプレカラオケ大会という感じ…。
楽曲も残念ながら、「MORTICIA」ぐらいしか印象に残らなかった。
かつての『THE PRODUCERS』はジョークが聞き取れなくても笑いのジェットコースターに乗ることが出来たけど、この『THE ADDAMS FAMILY』では少々困難な感じ。
でも役者さんは最高の人たちが集まっているので、インパクトの弱い作品を何とかここまで盛り上げているのだと思う。
興味のある方はオリジナル・キャストのうちに是非ご覧いただきたい。