メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY 2 《LA CAGE AUX FOLLES編》

2010年05月10日 | NEWYORK
当日割引チケット売り場TKTSに駆け込んだメガヒヨ。
このとき時刻は19時40分。
もう行列はなく、窓口は一ヶ所だけ開いていた。

「すみません。ソンドハイム オン ソンドハイムのチケット一枚下さい。」
「もう品切れだよ。残っているのは、シカゴとラ・カージュ・オ・フォールだね。」

初日はソンドハイム作品のレビューを観に行くつもりだったけど当てが外れてしまった。
冷静に考えれば、劇場のボックスオフィスに直接行けばまだ買えたかも知れないんだけどね。

一旦窓口から離れてシカゴとラ・カージュとの間でかなり迷う。
シカゴはテコ入れキャストのRUTHIE HENSHALLが出ているので心惹かれるけれど、5年前とは違う演出のラ・カージュも観てみたい。

そんな訳でラ・カージュのチケットを購入した。
開演まで残りわずか。48th st.にあるロング・エーカー劇場まで急いだ。
席はメザニンC列サイドブロック。

今回の劇場は、5年前に同じ演目が上演されたマーキース劇場と比べて収容人数が三分の二の規模。
舞台もかなりコンパクト。
だけどその分観客との距離が近くて、まるで本物のショーパブの様。
舞台周りには少しだけどテーブル席もあるしね。
(STUDIO54でのキャバレーみたい。)

さて。今公演の主役はこのお二方。



クラブのオーナー・ジョルジュ役はKELSEY GRAMMER。
その長年のパートナーであり、スターのザザ(アルバン)役はDOUGLAS HODGE。

この二人はトニーの主演男優賞にダブルノミネートされた最強カップル。
もう、舞台上の彼らは微笑ましい位に仲がいい。

このミュージカルのあらすじを簡単に説明すると…

南仏のゲイのナイトクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナー・ジョルジュと、看板スターザザことアルバンは長年に渡るカップル。
ジョルジュがただ一度だけ女性と関係して授かった息子も、アルバンは母親代わりとして育て上げた。
その息子ジャン・ミッシェルが結婚をしたいと言いだし、ひと騒動となる。
しかもその相手は保守派の議員の令嬢。
議員ダンドン氏はゲイクラブ一掃を公約に挙げているので始末が悪い。

けれども全ては可愛い息子のため。
ジョルジュはアルバンの存在を隠し、ジャン・ミッシェルの実の母親を呼び寄せ、部屋の内装を変えて普通の家庭に見せかけることに。
アルバンは反対していた彼の結婚を受け入れる心境になっていたが、両家の顔合わせに同席を望まれていないことを知り深く傷つく。
結局アルバンは叔父として紹介されることになり、男として振る舞うために特訓を行う。

さて、当日。
実の母親が急に来られなくなってしまった。
さらにジョルジュの家では執事(自称メイド)のジェイコブの失態により大混乱に陥っていた。
そこへアルバンが母親に扮して登場する。
機転をきかせて見事その場を取り繕い、ダンドン議員とも意気投合をするが…。


映画「バード・ケイジ」でもお馴染のこのお話。
ブロードウェイの住人にとっても定番であって、前回の上演からたった5年で再演となった。
しかし同じ脚本だけど、前回のGARY・BEACH氏主演のものとはまったくの別モノのように見えた。

まず踊り子さんの数が違う。
今回はたった6人なので、前回の三分の一程度の人数だ。
それにほとんど女性にしか見えなかった前回のメンバーに比べて、今回の方々はかなりマッチョ。
振付や演出もかなりおどろおどろしい。
例えるなら小鳥と怪鳥くらい違う。
つまりは前作が観光客がバスで押し寄せるクラブなら、今作は口コミで予約がいっぱいの通の店か。

あとママが違う。
前作のGARYは綺麗系ママ。
お手入れとか隙が無さそう。
今回のDOUGLASママはキャラクターで人気な感じ。
ヨーデル風コスプレを着こなし、気が弱くなると観客に手を握ってもらいながら歌う。
客掴みは頂上を行くレベルだ。
楽屋のシーンだとだだこねる「おじさん」にしか見えないのに。
でもだからこそ、「おじさん」が「スター・ザザ」に変身していく『A LITTLE MORE MASCARA』のナンバーは、視覚的にすごいインパクトがあった。

思うんだけど、アルバンってかなり幸せなキャラクターじゃないかな?
パートナーとは長年続いていて、育てた子供には一時疎まれるものの結局は慕われていて、さらにキャリアだって輝いている。
ゲイの方々にとっては絵に描いた様な理想的な存在かも知れない。
女性にあてはめても同じような事が言えるし。
DOUGLAS HODGEはその茶目っけ振りと深い演技表現でアルバンとして生き、見事観衆の心を捉えた模様。

ジョルジュ役のKELSEY GRAMMERはとにかくダンディ!
英語のセリフについていけないのでよく分からなかったのが残念だけど、よき夫、父として振る舞っていた。

他にこの作品からは執事ジェイコブ役のROBIN De JESUSが助演男優賞にノミネートされている。
彼は面白かったなぁ!
ドジっぷりのハデなアクションや、甲高い声でちょっとイラっとさせる(笑)演技も良かった。
ジャン・ミッシェルと踊るシーンも会場を湧かせてくれた。

あとダンドン議員役でFRED APPLEGATEが出演していたなぁ。
歌うシーンがちょっとなので勿体なかった。
それと彼はNATHAN LANEのそっくりさんなので、アルバン役だったら映画の「バード・ケイジ」みたいになってこれも面白かったかも!!

ところで…。今回のちょっとした残念ポイントといえばジャン・ミッシェル。
いや、出演していた彼は悪くはないんだけど、何せ5年前に同じ役をGAVIN CREELで観ちゃっているからかなり物足りなかったのだ。
持って生まれた華がまったく違うからね…。
ジャン・ミッシェル役は、アルバンが手塩にかけて育ててメロメロになっている設定なのだから、分かりやすい位にハンサムではないと困る。
イケメンではなくてハンサムね!!

ちなみに下の写真は前作上演時に出待ちしてGETした2ショット。
はぁぁ… 綺麗な顔立ちだなぁ

ラ・カージュ・オ・フォールも前作・今作、全く別作品だと思うけど、
ジャン・ミッシェルを考慮して総合判断すると、前作に軍配を上げてしまいたい気持ち。
いや、B'wayでは今作の方が評判はいいみたいなんだけど、メガヒヨ的にはね(笑)