■詳細
出版社:ハヤカワ文庫SF
原題:Permutation City
訳者:山岸真
発行年月:1999年10月
分冊:上下巻
価格:各651円
ジャンル:SF
■感想
まったく、イーガンは何を読んでも面白い。あきれるほど面白い。
イーガンが現代最高のSF作家であるという確信は、読むごとにひたすら深まる一方。
『順列都市』のテーマは仮想現実だ。
この小説の舞台では、人間の意識をコンピュータ上に移すことが可能になっている。そして、コンピュータ上に移された意識は〈コピー〉と呼ばれていた。
自家用のスーパーコンピュータを所有しているような富豪の場合、肉体的な死後も〈コピー〉を走らせて不死を獲得できるわけ。また、スーパーコンピュータを持っていないような中流階級のひとでも、公共ネットワークで余剰計算能力を買うことで〈コピー〉として生きられる。
この場合に面白いのは、富豪と一般人で使える計算能力が違うこと。つまり、〈コピー〉が走っているコンピュータの性能に差があるのだ。コンピュータの処理能力の差は、そのまま〈コピー〉の主観時間の違いになってあらわれる。
このあたりの細かいディテールの面白さはイーガンならでは。
もちろん、イーガンの御家芸であるアイデンティティの問題も登場する。
〈コピー〉のアイデンティティの問題だ。このあたりの面白さも、やはりイーガンならでは。
そして、なんといってもすごいのが〈塵理論〉。これがまたなんとも壮大なハッタリなのだ。
小説の後半では〈塵理論〉にもとづいて、主人公の男が無限に続く宇宙をつくってしまう。
その宇宙の首都が、じつはタイトルにある〈順列都市〉なのだ。
スケールの大きさがSFの醍醐味なら、この小説は間違いなく傑作。
主人公の男がつくりだした宇宙は、確実にSF史上最大級の構造物だろうから。
■満足度
(9)
出版社:ハヤカワ文庫SF
原題:Permutation City
訳者:山岸真
発行年月:1999年10月
分冊:上下巻
価格:各651円
ジャンル:SF
■感想
まったく、イーガンは何を読んでも面白い。あきれるほど面白い。
イーガンが現代最高のSF作家であるという確信は、読むごとにひたすら深まる一方。
『順列都市』のテーマは仮想現実だ。
この小説の舞台では、人間の意識をコンピュータ上に移すことが可能になっている。そして、コンピュータ上に移された意識は〈コピー〉と呼ばれていた。
自家用のスーパーコンピュータを所有しているような富豪の場合、肉体的な死後も〈コピー〉を走らせて不死を獲得できるわけ。また、スーパーコンピュータを持っていないような中流階級のひとでも、公共ネットワークで余剰計算能力を買うことで〈コピー〉として生きられる。
この場合に面白いのは、富豪と一般人で使える計算能力が違うこと。つまり、〈コピー〉が走っているコンピュータの性能に差があるのだ。コンピュータの処理能力の差は、そのまま〈コピー〉の主観時間の違いになってあらわれる。
このあたりの細かいディテールの面白さはイーガンならでは。
もちろん、イーガンの御家芸であるアイデンティティの問題も登場する。
〈コピー〉のアイデンティティの問題だ。このあたりの面白さも、やはりイーガンならでは。
そして、なんといってもすごいのが〈塵理論〉。これがまたなんとも壮大なハッタリなのだ。
小説の後半では〈塵理論〉にもとづいて、主人公の男が無限に続く宇宙をつくってしまう。
その宇宙の首都が、じつはタイトルにある〈順列都市〉なのだ。
スケールの大きさがSFの醍醐味なら、この小説は間違いなく傑作。
主人公の男がつくりだした宇宙は、確実にSF史上最大級の構造物だろうから。
■満足度
(9)
イーガンは、ガチガチのハードSFといった先入観があったし、「順列」っていうタイトルは高校時代の数学を思い出してしまい敬遠していました。
ちょうど今日、「近未来には人間の脳のなかにコンピューターのCPUみたいものを埋め込むことが可能になり...云々」というアイデアがショートショートにならないかなと思っていました。
紹介文を読ませていただいたところ、その逆みたいですね。
>SF史上最大級の構造物
これは読んでのお楽しみですね。
そろそろ、イーガンデビューをしないと、最近の話題についてゆけないか?
ひたすら難しいだけではなくて、人物の葛藤があったりロマンスがあったりで、じつは親切なハードSFなんだと思います。
>ドッペルさん
イーガンの小説は「コンピュータ」や「脳」を題材にしたものが多いので、ドッペルさんの創作のヒントにもなるかもしれません。
登場人物の脳にソフトウェアをいれちゃう……というネタは、イーガンの得意技ですし。
>くろにゃんこさん
ギブスンを読んでいるくろにゃんこさんなら、イーガンの小説にもスムーズに入っていけると思いますよ。
短編、長編どちらも面白いので、どれから読んでみてももよさそうです。
これ読んでから『しあわせの理由』の「移相夢」読み返したりすると、構造の奥深さを感じずにはいられません。
基本的にどれもアイデア一発勝負の小説という感じはあるのですが、核となるアイデアが十分に面白いのでゆるせます。
長編の場合は、一発勝負の大ネタをさらに、いくつかの小ネタでデコレートした感じですかね。
『順列都市』でも、後半のストーリーをランバート人との認識の戦いにもっていたり、かなり手が込んでますよね。
さて、次はとうとう『万物理論』です。はやくもいまから楽しみ。