■詳細
出版社:ハヤカワ文庫NF
副題:脳神経科医と7人の奇妙な患者
原題:An Anthropologist on Mars
訳者:吉田利子
発行年月:2001年4月
価格:840円
ジャンル:ノンフィクション/脳神経学
■感想
本書は脳神経科医のサックス氏が、7人の患者との交流を描いた7つの物語だ。
登場する患者たちはみな脳のある部位に欠損を負っており、各人がそれぞれ独自の世界に生きている。
――空間という概念が希薄で、もっぱら時間の中にのみ生きる盲人。
また、大多数の人々とは質的に異なる認知システムを持って、世界を認識している自閉症患者――。
一般的な尺度に当てはめてしまえば彼らは障害者であるが、本書を読むと、「健常」と「障害」という両極端な考え方が疑問に思えてきてしまう。なぜなら、人間はだれしも脳という奇跡的な器官を持った、ひとりひとりがユニークな個人であるからだ。
人間のあり方の多様性を認め、それを可能にする脳の素晴らしさ。本書『火星の人類学者』は、人間の偉大な可能性を真摯に謳い上げた傑作だろう。
■満足度
(7)
出版社:ハヤカワ文庫NF
副題:脳神経科医と7人の奇妙な患者
原題:An Anthropologist on Mars
訳者:吉田利子
発行年月:2001年4月
価格:840円
ジャンル:ノンフィクション/脳神経学
■感想
本書は脳神経科医のサックス氏が、7人の患者との交流を描いた7つの物語だ。
登場する患者たちはみな脳のある部位に欠損を負っており、各人がそれぞれ独自の世界に生きている。
――空間という概念が希薄で、もっぱら時間の中にのみ生きる盲人。
また、大多数の人々とは質的に異なる認知システムを持って、世界を認識している自閉症患者――。
一般的な尺度に当てはめてしまえば彼らは障害者であるが、本書を読むと、「健常」と「障害」という両極端な考え方が疑問に思えてきてしまう。なぜなら、人間はだれしも脳という奇跡的な器官を持った、ひとりひとりがユニークな個人であるからだ。
人間のあり方の多様性を認め、それを可能にする脳の素晴らしさ。本書『火星の人類学者』は、人間の偉大な可能性を真摯に謳い上げた傑作だろう。
■満足度
(7)