音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

嵐をめぐる中年夫婦の諍い その2

2011-09-24 05:28:29 | 身辺雑記
奥さんのPCに強引に侵入しブログを見たことを告げたSさんに対して、当然ながら奥さんは激昂し、深夜の口論はエスカレートしていきました。

「盗み見するなんて信じられない!」

「暇にあかせてくだらないこと書き散らかしてんじゃないよ!」

という応酬は途中「別れる」といった物騒な発言も飛び出し、かなり険悪な雰囲気になったそうです。それが最高潮に達したときに、私の想像を超えた展開が待っていました。なんとSさんは、奥さんの前で男泣きに泣いたというのです。

音次郎:えっ、今なんて? 奥さんが泣いたんですよね?

Sさん:いや、俺が泣いたんだよ。頼むからブログやめてくれって

これが同期か後輩であれば、いつものように上体を仰け反らせて手を叩きながら「ギャハハハ ヾ(≧▽≦)ノ」と馬鹿笑いをするところなのですが、昔から生意気なように見えて意外と長幼の序を重んずる(?)私は、Sさんの苦渋に満ちた表情を前にして適当なコメントを思いつきませんでした。そこで少々重くなった場の空気を振り払うために、「お姉さん、焼酎おかわり!」と注文しようとした次の瞬間、同行の30代独身女子Oさんが意外なリアクションを見せたのです。

Oさんは胸の前に手を合わせ、小首を傾げて

「可愛い、可愛い、可愛い ヾ(*´∀`*)ノ゛」

と、カワイイを連発しているではありませんか!

奇しくも前回エントリーのコメント欄と、私のツイッターに感想を寄せてくださった方のいずれも、彼女と同じ「可愛い」という言葉を用いていたのも意外でした。これが40歳すぎの男性がアイドルをネタにした夫婦喧嘩で泣くことに対するスタンダードな反応なのかと。

呆気にとられた私は、何故そう思うのかを質問しました。すると酔って適当なことを云っていると思われたOさんの回答は至極真面目なものでした。ちなみに彼女は関西出身の才媛で、育ちがよいのか嫌味なところが全くない人格者のため、独身でいるのが社内七不思議であるほど出来た女性です。彼女はこういうのです。

「私は結婚したことがないから、夫婦間の機微はわかりません。でも、私の周りで破局したり離婚に至ってしまったカップルを見ていると、特に男性の方が自分の云いたいことを云わずに深追いしなかったため、そこで終わってしまったというケースが多いんです。格好つけてるのか流儀なのか知らないけど、本音とは裏腹(なように見える)な相手男性のクールな振る舞いに、友人たちは一様に不安を感じ「私は要らん子なんや」と絶望してしまったんですよ。でも、それとは対照的にSさんは、自分の正直な気持ちをさらけ出して、本音で正面からぶつかっていますよね? そういうのって奥さんもきっと心動かされるものがあると思うんです」

Oさんは、「嵐の男性ファンを装って奥さんのブログにコメントつける、なんて冗談でも口にする音次郎さんのような人は、どうしようもなく不真面目で、何かバカにされている気がします。私は、一見スマートでも誠実さのない男性と一緒に暮らしていく気にはなりません」

とまでははっきり云いませんでしたが、言外にそういうニュアンスを感じ、私は自分がなぜ女性にモテないかがわかったような気がしました( ̄▽ ̄;) 何を考えているのかわからない男よりも、わかりやすい男の方が愛されるのだなあ。

はたして、奥さんはSさんの涙を見てからは口数が少なくなり、何か考えこんでいる様子だったようです。「嵐の後の静けさ」(-_-;)とでもいいましょうか。まあ、Sさんの要求は松潤のファンであることをやめろという心を縛るものでなく、ブログをやめてほしいという現実的なことに留まっています。奥さんとしても、この先も夫婦生活を続行する意思があるのなら、配偶者がそこまで嫌がる趣味を強行するのは妥当ではないでしょう。

「暫く考えさせて」と云って休戦になった後、奥さんはブログを閉鎖したようですが、少しでも足並みを揃えようと、Sさんもなんと嵐のファンクラブに入会したそうです。まあ、その後に地震の影響で計画停電などもありましたから、有事に喧嘩なんかしていられません。徐々に関係は修復され、最近のS家はもっぱらキャンプに行っているようです。昨年までは、それほどキャンパーという印象はなかったのですが、意識的にファミリーの再構築を行っているのかもしれません。キャンプ場は電波が通じなかったりしますし。もっとも奥さんはブログを休止したものの、嵐への執着は衰えることがないそうで、先日の嵐学校でも5時間並んでグッズをゲットした際には感涙にむせんでいたのだとか。涙もろい夫婦だな。

まあ、相互理解が必要ということですね。奥さんが休日ものべつ幕なし携帯でピコピコやっていたというのも、ブログを始めて間がないとすると頷けるものがあるんですね。SNSもそうですが、最初の頃は自分が発信したものへの反応が気になって仕方ないものです。始終チェックしてレスがつけば嬉しくて即コメントも返したくなるし、ウケをとるために少々オーバーに表現したくもなる。Sさんは前述のように、各種WEBサービスには全く無縁の人なので、その辺の感覚がわからないんでしょう。だからmixiでもフェイスブックでもツイッターでもいいから始めてみて、好きな阪神やロックなどのコミュに出入りし、時に自分でも発信してみれば、ネタと本音の境界なども皮膚感覚で理解できるのではないかと思いました。

それにしても、なんといっても今回のことで感服したのは同僚Oさんの振舞いですね。私より年齢はだいぶ下ですが、私にはあのようなフォローはできず、敵わないと思いました。といって褒めると、シャイな彼女は照れて「酔っていたので覚えてない」と誤魔化すんですが、人間としての器の大きさを感じます。

「嵐の熱烈なフリークである妻のこっ恥ずかしいファンブログを、PCセキュリティをこじ開けて盗み見したんですが、それをやめさせるにはどうしたらいいでしょうか?」などと文字にして、仮に発言小町にでも投げ込んだとしたら、鬼女軍団にフルボっこにされ、一瞬でトピが炎上するかもしれません。たしかにSさんの言動には突っ込みどころ満載だし、男泣きについても意見が分かれるでしょう。もちろん、暴走を諌め、時に忠言することに躊躇しないのが真の友人というものですが、本人もバカじゃないから、イケナイことをしているのは人に言われずとも先刻承知なんですよ。ただそうせずにはいられなかったわけで・・・・。

だから、身内として聞き手に選ばれし者は、そういう諸々を受け止めたうえで、心底参ってしまっている相手を非難したり、お話にドン引きするでもなく癒してあげるのが正しい態度ではないかと。そこで機転を利かせて「可愛い」を連発し、もっともらしい解説をつけてみせた彼女が偉大だなあと思うのです。実際、Sさんは異性であるOさんのコメントに「どれだけ救われたかわからない」と述懐しています。

Sさん夫婦のクライシスをきっかけに、この嵐シンドローム(?)に興味が出てきたので、何人かに取材してみました。その一人は義妹のMちゃんです。彼女も筋金入りのフリークなんですが、二宮クンが御贔屓です。CDやDVDはもちろん、ほぼ全ての出演番組をチェックしており、コンサートや嵐学校にも地方から上京するほど熱心であります。

Mちゃんのダーリン(弟)は心得たもので、彼女がDVDや「ひみつの嵐ちゃん」などTV番組に浸っている時間にうっかり帰宅すると、「こりゃまた失礼」とばかりに、そそくさと自室に去っていってくれるそうです。大人ですねえ。ママの中でも、40代はSMAP、30代は嵐というような大まかな棲み分けは出来ているようなので、Sさんの奥さん(40代)の年齢を聞くと、首を捻っていましたΣ(・ω・ノ)ノ

音次郎:それじゃあなぜ、それほどまでに世の主婦は嵐に入れ込むんだろう?

Mちゃん:それは・・・、外で恋するわけにもいかないじゃないですか(笑) だからバーチャルで映像の中のニノの一挙手一投足を追っているんです。

つまりは一種の代償機制ということかな。リサーチの一環として「ひみつの嵐ちゃん」なる番組を視聴してみたのですが、22時という放送時間といい、企画といい、この辺のニーズに忠実に制作されていると思いましたね。子育てへの挑戦とか、「VIPリムジン」という嵐メンバーが女性タレントとデートしてもてなすコーナーなんて、ゲストは井川遥とか冨永愛といった30代のミセスですからね。

ま、いろいろ勉強になりました、ハイ。



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