音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

39歳の上り坂

2007-12-23 00:43:04 | スポーツ
佐世保の銃乱射事件もそうですが、ここ数年、30代後半の男性が世間を騒がすことが多い気がします。そんな中で、楽天の山(39)が1億9200万円、日ハムの稲葉(35)が2億4000万円で契約更改という明るいニュースが入ってきました。ご存知のように、山はパ・リーグのホームラン・打点の2冠王、稲葉は首位打者を獲り、二人とも過去最高の成績で充実したシーズンでしたから文句なしです。

元広島の佐々岡が「僕ら同学年のアイドルであるKKが、結局最後まで現役で残った」とコメントしてますが、その桑田・清原は引退していないものの、開店休業状態が続いています。その1期下が山武司ですが、この学年を代表するのはなんといってもあの野茂英雄でしょう。他の現役はと見渡すと、阪神の矢野にオリックスの中島聡と今やいずれも抑え捕手、広島の緒方も引退目前、ヤクルトをクビになった高津も来季は微妙です。あ、タイトルを争ったタフィ・ローズもタメ年ですね。

改めて山武司の野球人生を辿っていくと、単なる遅咲きというのではなく複数の浮き沈みを経ているのがわかり、興味深いものがあります。

山の出た愛工大名電高校は5年先輩に工藤、5年後輩にイチローがいます。ドラフト2位で地元の中日ドラゴンズに指名されたのですから、まずは順調な船出といえましょう。プロ野球人としてのスタートを切った87年は、同じ名古屋の享栄高校出身で同期入団のドラフト1位である近藤真一が、巨人戦で初登板ノーヒットノーランを達成したことでも記憶されています。

90年は同学年の野茂が日本のプロ野球界にデビューした年ですが、野茂旋風を尻目に山はまだ二軍暮らしが続いてます。さらに高校の後輩イチローが大ブレークした94年~95年も2年連続ウエスタンの2冠王。。。だいたい二軍で連続ホームラン王などというのは一軍に定着できなかった証拠で、このパターンの選手は大成しないと相場が決まっています。山がようやくレギュラーをとるのはプロ10年目の96年で、この年に初の本塁打王に輝きました。ここから00年くらいは主力としてまずまずの活躍をみせています。しかし、どうも山田久志監督に干されたようで、中日での最後2年は不本意な成績。普通ここから先は「下り坂」と「まさか」しかないんですが、山はしぶとく生き残ります。

トレードでオリックスに移った03年は、主にDHとして22本塁打と気を吐くも、翌年またしても伊原春樹監督に干されたようで、シーズン終了を待たずに戦力外通告。このとき36歳ですからここでジ・エンドでもおかしくなかったのですが、幸運にもこのオフに新球団が誕生。05年に楽天の初代4番として復活しました。さらに翌年の野村監督との出会いで一皮むけて、今年はホームラン43本に108打点と大輪の花を咲かせたというわけです。「1度クビになった男が」と本人は感慨深い様子ですが、中日時代だってプロ入り後9年間も芽が出なかったんですから、風向きが悪ければクビになっていたかもしれない。そう考えると、この人の野球人生は案外恵まれているのかもしれません。あの人懐つこい風貌と、度々判定に激昂して退場になる直情型のキャラ、球界きってのカーキチ・・・とエピソードをつなげていくと浮かび上がってくるのは愛すべき人柄。危機的な局面で、誰かが必ず救いの手をさしのべてくれるタイプのような気がします。

右のプルヒッターは今や希少品種ですから、来季も活躍してほしいなあと同年代としては応援してしまいます。




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