管理人が株をやっていないのにもかかわらず、当ブログが投資ブログランキングの43位とかにノミネートされているのは、レオパ関連のエントリーがあるからに他なりません。なんだかんだで注目銘柄なんですね。
こんなに早く破綻の危機が迫るとは予想していませんでした。昨年は不動産会社がバタバタと倒れましたが、マンデベのように仕入れと回収にタイムラグがある場合は、手元資金がショートすれば黒字倒産も珍しくなく、案外脆いものです。でも建設業というのは、大した装置も在庫も抱えずに、注文を受けてから作り始めるわけですから、ピンチになってからも案外しぶといのです。しかし、レオの場合は長期家賃保証という事実上の債務が重荷になっていますから事情が異なります。いったい現在のレオパレス21はどんな状況なのでしょうか。危ない会社の見分け方のポイントを念頭に公開情報を見ていきます。
株主資本比率は、最初のエントリーを書いた当時(05年9月期)の32.6%から10年9月期は17.2%と半分近くポイントを落としていて、元手が相当に減少したことがわかります。売上、営業利益も右肩下がりで、営業CFも連続でマイナスですから、すっかり本業で稼げない会社になってしまいました。
何よりも深刻だと思うのは、従業員の減少ぶりです。ためしに会社四季報CD-ROMで、「連結5000人以上の規模の上場企業で、従業員数が2年連続で10%減」の条件でスクリーニングすると、計17社がこれに該当します。中には、持ち株会社に移行するなど組織改編により、従業員数が大きく変動したケースもあるので、そういう事情の会社を除いたうえで、前期に赤字だった会社を抽出すると、レオパレス21と東建コーポレーションが残るという興味深い結果が出てきます。しかし、人が減ってグロスの売り上げが落ちるのはわかるのですが、同時に営業利益も減らしているのは深刻です。
レオパレス21の場合、事業報告書ベースでいくと
2008.9.30 連結10,033名 単独9,096名
2009.3.31 連結 9,926名 単独9,017名
2009.9.30 連結 9,793名 単独8,955名
2010.3.31 連結 8,582名 単独7,739名
2010.9.30 連結 7,700名 単独6,881名
この間は一貫して減少トレンドで、2年で累計▲25%と、従業員の減り具合が尋常じゃない。100人の会社が1年で10人辞めれば、それは事件です。ご自分の勤務先、例えば1000人の会社であれば100人辞める状況を想像してみれば、半端ない事態であることがわかるでしょう。
当ブログのコメント欄を見ていても、社員流出の一端が窺えますが、レオのような営業会社は「人」こそが全てといってもいいくらいで、本来は多めのマンパワーを擁していないといけない。それは全国展開しているとか人海戦術でやっているということもそうなんですが、成績上位層を持て囃し、中位層を鼓舞するためには、組織として売れない営業マンも抱えている必要があるのです。そうしないと売れる営業マンも流出してしまう。
月次を見ると、賃貸は辛うじて入居率8割をキープしているように見えますが、一部は社員が無理やり社宅として住まわされているようですから、既に実質8割を切っているかもしれません。住生活Gとの資本・業務提携は、表向きはリロケーション子会社とのアライアンスの形をとっているものの、住生活Gを利するだけで、レオのメリットはないに等しい。だって住設がINAXやトステムの製品であったとしても、それで入居率が好転すると思えないから。結局ここは受注してナンボ、営業が仕事を取って来ないと立ち行かない会社なんです。
レオに再生スポンサーがつくかどうかを論じる前に、企業再生を人間に置き換えて考えてみます。
何かのきっかけで、いつの間にか雪だるま式に借金が膨らんでしまった個人を想定します。この人は仕事熱心で評価も高く、周囲の人望もあったのですが、借金の返済に追われ自転車操業状態に陥っています。そうなると心ここにあらず集中力は削がれ、食欲も低下し栄養状態も悪化。人付き合いも不調で、当然ながら本業にも大きな影響が出る悪循環です。
ここで支援者が現れ、この人から重荷となっている債務が取り除かれたとします。懸案がなくなり気力・体力が回復すれば、元々は能力がありパフォーマンスも高いので、再びバリバリと稼げるようにもなる。すると、その魅力に引き寄せられて新たなパートナー(恋人)もできたりして、いい方向に回転していくわけですね。これが人の再生というものでしょう。企業の場合も原理は同じです。
例えば、中国資本が入って復活した本間ゴルフやレナウンなどは、支援しがいのある企業だったと思います。往年の富裕層ご用達、憧れのクラブづくりに定評があった本間ゴルフと、日本のファッションの世界において重要な地位を占めていたレナウン。ともに時流に乗り遅れて業績不振に陥ったものの、ブランドと技術力に高い価値がありました。PGMやアコーディアのように、ゴルフ場をまとめ買いして整備する、そして敷居の高かった料金を下げて大衆化をはかるというのも、やり方のひとつでしょう。使ってみたいと願いながらも、従来は高級・高額ゆえに手が届かなかった潜在顧客層に向けて訴求できるのです。
それではレオパレス21という会社は、再生案件として魅力があるでしょうか?
外観が垢抜けない古い木造建築でも、真面目な大工さんが造っていてスケルトン(躯体構造)が堅牢ならば、今風にリメイクして甦らせるという方法があります。でもレオ物件は、プアーな外観はもとより、基本性能の低さは手の施しようがない。積水や大和の建物と見比べてみてもわかりますが、大抵のレオ物件はまともな屋根がありません。日射熱を小屋裏の懐で受け止めることのないフラットルーフは、へーベル板のような断熱性の高い建材を使わなければ、夏の2Fの部屋は地獄でしょう。評判の悪い壁や床の薄さを改修するのも相当なコストがかかりますし。 まあ、レオパは有価証券報告書における「研究開発費」ゼロの会社ですからねえ・・・。元々が安普請なので、資本を入れても展開の幅に乏しいのです。
依って立つ市場はどうかといえば、サブリースの契約物件が低入居率にあえぎ、逆ザヤが止まらない状況では、日本政府が移民でも受け入れない限りは、ワンルームの賃貸需要はやせ細る一方でしょう。自慢の全国のネットワークも、一連の施策により、カスタマーであり事業パートナーでもあるオーナーたちの心はすっかり離れていて、強烈な不信感を持たれてしまっています。よって、再生案件としては魅力がありません。
コメント欄を見ると、32%カットという凄まじい賃下げ提示を受けたオーナーの方もおられるようで、こういう評判が伝われば、営業はモロに影響を受けますから、受注はますます落ち込むでしょう。賃貸に負荷をかけない売り切り商品(一括借り上げ契約がない物件)に力を入れるなんて言っていますが、家賃保証がなくてレオに建物発注するお客さんなんているのかな?? このままいくと、6月末にも大きな動きがありそうな感じです。
次回は、オーナーがどうしたらいいのかを考えてみたいと思います。
こんなに早く破綻の危機が迫るとは予想していませんでした。昨年は不動産会社がバタバタと倒れましたが、マンデベのように仕入れと回収にタイムラグがある場合は、手元資金がショートすれば黒字倒産も珍しくなく、案外脆いものです。でも建設業というのは、大した装置も在庫も抱えずに、注文を受けてから作り始めるわけですから、ピンチになってからも案外しぶといのです。しかし、レオの場合は長期家賃保証という事実上の債務が重荷になっていますから事情が異なります。いったい現在のレオパレス21はどんな状況なのでしょうか。危ない会社の見分け方のポイントを念頭に公開情報を見ていきます。
株主資本比率は、最初のエントリーを書いた当時(05年9月期)の32.6%から10年9月期は17.2%と半分近くポイントを落としていて、元手が相当に減少したことがわかります。売上、営業利益も右肩下がりで、営業CFも連続でマイナスですから、すっかり本業で稼げない会社になってしまいました。
何よりも深刻だと思うのは、従業員の減少ぶりです。ためしに会社四季報CD-ROMで、「連結5000人以上の規模の上場企業で、従業員数が2年連続で10%減」の条件でスクリーニングすると、計17社がこれに該当します。中には、持ち株会社に移行するなど組織改編により、従業員数が大きく変動したケースもあるので、そういう事情の会社を除いたうえで、前期に赤字だった会社を抽出すると、レオパレス21と東建コーポレーションが残るという興味深い結果が出てきます。しかし、人が減ってグロスの売り上げが落ちるのはわかるのですが、同時に営業利益も減らしているのは深刻です。
レオパレス21の場合、事業報告書ベースでいくと
2008.9.30 連結10,033名 単独9,096名
2009.3.31 連結 9,926名 単独9,017名
2009.9.30 連結 9,793名 単独8,955名
2010.3.31 連結 8,582名 単独7,739名
2010.9.30 連結 7,700名 単独6,881名
この間は一貫して減少トレンドで、2年で累計▲25%と、従業員の減り具合が尋常じゃない。100人の会社が1年で10人辞めれば、それは事件です。ご自分の勤務先、例えば1000人の会社であれば100人辞める状況を想像してみれば、半端ない事態であることがわかるでしょう。
当ブログのコメント欄を見ていても、社員流出の一端が窺えますが、レオのような営業会社は「人」こそが全てといってもいいくらいで、本来は多めのマンパワーを擁していないといけない。それは全国展開しているとか人海戦術でやっているということもそうなんですが、成績上位層を持て囃し、中位層を鼓舞するためには、組織として売れない営業マンも抱えている必要があるのです。そうしないと売れる営業マンも流出してしまう。
月次を見ると、賃貸は辛うじて入居率8割をキープしているように見えますが、一部は社員が無理やり社宅として住まわされているようですから、既に実質8割を切っているかもしれません。住生活Gとの資本・業務提携は、表向きはリロケーション子会社とのアライアンスの形をとっているものの、住生活Gを利するだけで、レオのメリットはないに等しい。だって住設がINAXやトステムの製品であったとしても、それで入居率が好転すると思えないから。結局ここは受注してナンボ、営業が仕事を取って来ないと立ち行かない会社なんです。
レオに再生スポンサーがつくかどうかを論じる前に、企業再生を人間に置き換えて考えてみます。
何かのきっかけで、いつの間にか雪だるま式に借金が膨らんでしまった個人を想定します。この人は仕事熱心で評価も高く、周囲の人望もあったのですが、借金の返済に追われ自転車操業状態に陥っています。そうなると心ここにあらず集中力は削がれ、食欲も低下し栄養状態も悪化。人付き合いも不調で、当然ながら本業にも大きな影響が出る悪循環です。
ここで支援者が現れ、この人から重荷となっている債務が取り除かれたとします。懸案がなくなり気力・体力が回復すれば、元々は能力がありパフォーマンスも高いので、再びバリバリと稼げるようにもなる。すると、その魅力に引き寄せられて新たなパートナー(恋人)もできたりして、いい方向に回転していくわけですね。これが人の再生というものでしょう。企業の場合も原理は同じです。
例えば、中国資本が入って復活した本間ゴルフやレナウンなどは、支援しがいのある企業だったと思います。往年の富裕層ご用達、憧れのクラブづくりに定評があった本間ゴルフと、日本のファッションの世界において重要な地位を占めていたレナウン。ともに時流に乗り遅れて業績不振に陥ったものの、ブランドと技術力に高い価値がありました。PGMやアコーディアのように、ゴルフ場をまとめ買いして整備する、そして敷居の高かった料金を下げて大衆化をはかるというのも、やり方のひとつでしょう。使ってみたいと願いながらも、従来は高級・高額ゆえに手が届かなかった潜在顧客層に向けて訴求できるのです。
それではレオパレス21という会社は、再生案件として魅力があるでしょうか?
外観が垢抜けない古い木造建築でも、真面目な大工さんが造っていてスケルトン(躯体構造)が堅牢ならば、今風にリメイクして甦らせるという方法があります。でもレオ物件は、プアーな外観はもとより、基本性能の低さは手の施しようがない。積水や大和の建物と見比べてみてもわかりますが、大抵のレオ物件はまともな屋根がありません。日射熱を小屋裏の懐で受け止めることのないフラットルーフは、へーベル板のような断熱性の高い建材を使わなければ、夏の2Fの部屋は地獄でしょう。評判の悪い壁や床の薄さを改修するのも相当なコストがかかりますし。 まあ、レオパは有価証券報告書における「研究開発費」ゼロの会社ですからねえ・・・。元々が安普請なので、資本を入れても展開の幅に乏しいのです。
依って立つ市場はどうかといえば、サブリースの契約物件が低入居率にあえぎ、逆ザヤが止まらない状況では、日本政府が移民でも受け入れない限りは、ワンルームの賃貸需要はやせ細る一方でしょう。自慢の全国のネットワークも、一連の施策により、カスタマーであり事業パートナーでもあるオーナーたちの心はすっかり離れていて、強烈な不信感を持たれてしまっています。よって、再生案件としては魅力がありません。
コメント欄を見ると、32%カットという凄まじい賃下げ提示を受けたオーナーの方もおられるようで、こういう評判が伝われば、営業はモロに影響を受けますから、受注はますます落ち込むでしょう。賃貸に負荷をかけない売り切り商品(一括借り上げ契約がない物件)に力を入れるなんて言っていますが、家賃保証がなくてレオに建物発注するお客さんなんているのかな?? このままいくと、6月末にも大きな動きがありそうな感じです。
次回は、オーナーがどうしたらいいのかを考えてみたいと思います。
従業員数の中にはレオパレスパートナーズとなって独立した社員は入っているのでしょうか?
半年ぐらい前から ほぼ毎日拝見しております、
レオに関して各投稿者さんの生の声が聞ける掲示板として、大変貴重な情報収集としての場になっている気がします
私もある地方の一オーナーですが・・・ 最近のレオの営業活動での醜態には目に見張るものがあると思っています
以前のようにオーナー会や懇親会は一切なく 窓口の担当者も配置換えや転勤が多く
話が聞ける担当者はいつも間にか退職してしまいました・・・
この先レオパレスという会社とどのように付き合っていったらいいのか?本当にわからなくなってきました・・
皆様の貴重な生の声を参考に色々考えておりますが・・・
音次郎様の 『次回は、オーナーがどうしたらいいのかを考えてみたいと思います』の投稿をお待ちしております
この掲示板に対して御礼を申し上げます、 そしてこれからも皆様の貴重なご意見をよろしくお願いいたします。
アパート業界は完全に供給過剰でいかにサービスを向上させるか考えることが重要なのに、レオパオーナーの発想の貧困さは致命的だ。
「オーナーがどうしたらいいのかを考えてみたいと思います」とのことだが、借主の立場でいえば、レオパともどもレオパオーナーも断末魔の悲鳴をあげながら息絶え、物件は借主の立場で物事を考えることができる志の高い新たなオーナーの手に渡るのが一番だ。
レオパはクズ会社だし、レオパオーナーはクズ人間だと私は思っているよ。
私も音次郎さんの記事と全くの同意見です。※退職済みです
先日レオパレスはセコムとの提携を発表しておりました。
セキュリティシステム(付加価値)の対価を賃料に上乗せし
賃料収入増を目指す、という視点は間違っていないのですが、
市場に単身者賃貸物件の在庫がダブつき、且つブランドイメージも
良くないレオパレスの物件に、いかにも割高な賃料を支払ってまで
住みたいと思う人がどれだけいるのでしょうか。
建築費もセキュリティシステムが付与されることで、より一層
高額になるでしょうし、かと言って間口を広げるべく賃料を
下げようとしても借り上げ賃料が邪魔をする。借り上げ賃料自体を
下げるべくオーナーへ打診すると先日の32%のように悪評が広がる、
その結果請負事業が立ちゆかない、と完全に負のスパイラルと
なっております。
好調だった以前のモデルは、全て入居者確保前提の賃料保証を
謳った建築事業が稼ぎ出した数字です。ここで賃貸事業に急激にブレーキが
掛かった(特に入居者の住環境への配慮を怠った結果)以上、
横転するしか無いのではないか、というのが個人的な感想となります。
内部からの再生はないと思います。
社員にこまでのモチベーションは無く裏で就活ばかりやってると思います。
社員同士もお互い様子を伺ったり上げ足とったりと、特に癖の強い社員など憎まれっ子世にはばかるばかりにしがみついてると思います。
大東や東建にひどいくらいにに負けてしまいましたね。
トップシーズンにもかかわらず、ほとんどCM観ないなあって思っていました。
私も多少賃貸住宅には関わりのある者ですが、
確かに最近、大東やダイワが家賃保証無しで営業攻勢をかけているのです。
これは彼らにとって、丸腰で戦に赴くようなものです。
強気の積水積和だけは、依然借り上げ契約を推進しているようですが、
これだって本体が苦しくなれば様相は変わってくるでしょう。
まあ、これで賃貸市場の新規供給に均衡が保たれるということかも知れませんが。
絶対にポイントは受け取り家賃ベース入居率です。
乱暴ないいかたですと、入居率は関係ありません。
ご意見を頂戴ください。
おっしゃるとおりですね。
家賃を払わない入居者を含む入居率は全く意味がありません。