音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

田中将大VS斎藤佑樹を前に

2011-09-10 08:59:50 | スポーツ
本日14時プレーボールの東北楽天と北海道日ハムの試合が注目されています。予告先発で因縁の田中将大と斎藤佑樹が投げ合う予定になっているからなんですが、あの2006年夏の甲子園大会の決勝戦から5年が経っていると思うと、時の流れを感じずにはいられません。ただ残念なのは、プロで目覚ましい進化を遂げた田中に対して、斎藤が東京六大学という低レベルなリーグで明らかに退化したと思われるからです。

田中は今季14勝と、岩隈を抜いて押しも押されぬ楽天のエースに成長したというだけでなく、ダルビッシュがメジャー流出した後は日本を代表するピッチャーに挙げられるのは衆目が一致するところでしょう。対する斎藤はルーキーイヤーである今季がここまで5勝ですから、並の新人であれば及第点なのでしょうが、打たれすぎなのとピッチングに力感がないのが気になります。

5月のプロ3戦目(たしか千葉ロッテ戦に先発した試合)の時がちょうど休日で、TV観戦していましたが、NHKBS解説者の武田一浩氏の酷評ぶりが印象に残っています。初球からフォークボールを多投する若さのない配球を「意味不明」と断じ、投球フォームについても詳しく語っていました。

武田氏は「途中で投げるのを止めている感じ」と表現していましたが、体重移動が十全になされておらず手投げになっているというのですね。たしかに新聞のスポーツ欄によく載っている「前日に好投したピッチャーの写真」を見ると、右投手の場合は投げる直前に胸が左の太ももにくっつくくらい重心が低く前に移動していて、ボールにウエイトを乗せてバッターに近いところでリリースするのが優秀な投手の共通点のようです。斎藤は上体が高いうえに、ホーム方向でなく上空に向かって放っているように見えるほどリリースが早いために、球威も安定感もないというのです。さらに武田氏は「この投げ方では必ず怪我をします」と指摘したのですが、その予言通り、斎藤は次回登板時に右の脇腹を痛めて長く戦列を離れることになりました。

復帰して少しづつ長いイニングを投げられるようになってきた斎藤ですが、5勝目をあげた夜の「サンデースポーツ」でコメンテーターとして出演していた武田氏が再びフォームについて言及していました。「投げるとき左に顔が動く悪弊を修正すると更に良くなる」というのですね。これはどういうことかというと、オーバースローの場合、リリース前は自分の頭で握りを隠す方がベターで、斎藤の場合は昔からのクセでもあるのですが、顔が左(一塁側)に流れる傾向があるので、打者からは遮るものがなくなり、ボールの出どころが見やすいというのです。

でも何より考えさせられたのは、武田氏が「高校時代の方が良かった」と論評したことです。3年春の甲子園が全盛期といわれ続けた江川を想起してしまいますが、たしかに、この試合は連投続きの決勝戦で、前日の延長15回と合わせれば250球近くを投げている状況です。普通はヘロヘロのはずですが斎藤は、実に力のある球を投げており、今よりも体重移動がスムーズに出来ているようにも見えます。4年間で別々の道を歩みながらも、お互いに進歩した二人の激突であればエキサイティングですが、斎藤の停滞というよりも退化には寂しさを感じます。

そうなると大学ってなんだろうなあと思うのですよ。もちろん、斎藤は早稲田大学の付属高校出身ですから進学は自然の流れだったでしょう。でも卒業後に三井不動産かなんかに入社して野球から足を洗うのならば、まだわかりますが、どうせプロに行くのであれば、別の選択がなかったかと、今になって悔やまれます。豊作世代で田中と共にトップランナーだった若者が才能を浪費してしまったことを残念に思うのです。

田中は入団した球団の監督はノムさんという稀代の名監督であり、巨人の沢村のように、高校時代は無名であっても、中大の高橋善正監督(元巨人)という名指導者に出会い大きく成長することができた例もあります。それに比べて、斎藤は応武監督というアマチュアでも無能の誉れが高い人物と、東大が混じっていて入れ替え戦がないという「ぬるま湯リーグ」で4年間を過ごしてしまった・・・。

もちろん人生は長いので、アスリートとしての成長以外にも、学歴、早慶戦の経験、人脈などに意味を見出した進路選択を否定しません。でも、ワセダという国内のみで通用するブランドは、グローバル時代でますます神通力を失っていくと思われ、そうなると、高卒→メジャーとか、高卒→日本プロ野球→メジャーと、前のめりのチャレンジで自分を磨いていくことの方が時流に合っていると思うのです。

ちなみに解説者の武田一浩氏は歯に衣着せない毒舌が持ち味で、斎藤については辛口ですが、自身の明大中野~明大~日ハムという経歴が似ているためか、「後輩なので頑張って欲しい」とシンパシーを隠そうとしません。

かなり差が開いてしまったマー君と佑ちゃんではありますが、「持っている」男の運と才能と意地に期待してTV観戦しましょうかね。



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2 コメント

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Unknown (kiyo番長)
2011-09-12 02:09:37
はじめまして

数年後の佑ちゃんに期待したいです。
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同感です (音次郎)
2011-09-14 00:19:41
辛口で書いてしまいましたが、佑ちゃんの8回完投を見た感想としては、成長の余地が十分にあるのではないかと。マー君だって一夜にしてあそこまで到達したわけではありませんからね。
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