鬼村は、陣を敷いた、もう一つ先の山の中腹にあります。
秀郷が20人の将兵に命じます
「これより、村に入るが抜刀は許さず!よいな!」
???何も聞かされていない者がほとんどで、?「ハッ!」と返事はしたものの???
深い谷の細い道を抜けたら急に広がりが現れ、皆に「オッ!」と驚きの声があがりました、村と聞かされていたのに、立派な城構えの砦が眼の前に現れたからです、将兵たちが、刀のつかに手をかけ身構えました。
「落ち着け、落ち着け」皆をおさえます、が、秀郷は自分自身が一番、戸惑っていることに、腹立たしく「ニヤリ!」と口元が自然に笑いました。
門が開きます、正面に甲冑姿の大男、両脇にはいくさ装束の鬼が、
砦の上にも軍団が並び、その数約千人”、その目線は20人の将兵に・・・
皆がつかに手をかけたまま、秀郷を囲み円陣を組みます、それぞれが覚悟を決めた瞬間でした、
秀郷は一人進み出、懐から和尚に託された文を、鬼大将に渡します、穏やかな表情で読み終えると、突然右手を大きく上げ、「かかれ!」の合図”・・・このあたりで20人の将たちは、主の計らいが、解ったようで、それぞれの顔に少し安堵の色が。
合図とともに、門外で火の手があがり、山を揺らすような大声を鬼達が発しました。
その時の本陣の様子は・・・
この位置からは、火の手がよく見え、叫び声は山々に「こだま」し
「始まった”備えよ””」弓に矢をつがえ、
逃げ来る鬼を待ち構えていましたが、??ダァーれも山を下る鬼は来ません???
いっときほど続いた火と声も治まり、将兵たちは「負けいくさじゃ”」
「鬼らが押し寄せてくるぞ”備えよ”」「お味方を少し待ち逃げるぞ”」
村砦では、和尚の手配どうりに、鬼衆を二つに分け、瀬戸の「鬼ヶ島」と高野山に逃がす算段もすでについていました。
若干の兵を付け、年寄、女、子どもは、反対側の山を越えて、経が埼方面へ向かう段取りをしていました。
鬼おさが言います「私の首を持ち帰らねば、秀郷殿に類が及ぶゆえ、刎ねられよ、和尚のふみを読んだときから覚悟は出来てござる”」
「死に急ぎめさるな、夜明けまで、まだだいぶある、和尚は、いかなる決着を望まれておられるのか、考えております」
二人は燃え残りの焚火状態になっている火に手をかざしながら・・・
「それより、ぬしの名刀とのいわれ高い「鬼丸号の太刀」と我が「信貞の大太刀」を比べようぞ」・・・酒を交わしながら、しばらく刀談義が続きます。・・・突然・・・
⑤に つづく
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