ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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2011年3月11日の経験を未来にどう伝えるか

2012年03月11日 | メディア

 

 未曾有の災害から1年目の3月11日。14時46分を迎えて、黙祷。一分間の沈黙のなかに、万感の想いが、あふれる。

 このところ、多くのメディアがさまざまな角度から3.11を振り返り、検証し、今後の復興の展望を語るなか、ひときわ注目を集めているテレビ番組がある。3月1日に放送されたBBCのドキュメンタリー番組「津波の子供たち」"Japan's children of the tsunami"(58分26秒)である(現時点でのYouTubeのアクセス回数は、156,011)。

 被災地の子どもたちと親へのインタビューを淡々とつづったシンプルな番組だが、視聴者にさまざまなことを考えさせる力強さがある。その理由の一端を、上智大教授、碓井広義さん(メディア論)が日刊ゲンダイ(2012.03.06)に寄せたコメントが的確に語っている。

 「子どもたちの素直な感想やリラックスした表情で話している場面が出てきます。取材する側とされる側にきちんと信頼関係が築かれている。ポッと行ってマイクを向けてもこうはならない。たっぷりと時間をかけて、丁寧に話を聞き出したのでしょう。番組に出演した子供たちが、行方不明となった友人との最後のやりとりや、ふたたび地震が来るのが嫌だから津波の話はしないなど、率直かつ明晰に語っているのが印象的です」

 子どもたちの命を守り、その未来を約束するために最善を尽くすのが大人の責任であることは言うまでもない。それと同時に、子どもたちもまた、やがて、災害を乗り越え、これからの社会を創っていく責任を担うことになる。そんな子どもたちが現実と向き合い、自らの経験について語り、考えることを促し、その声にじっくりと耳を傾けることもまた大人の役割である。学校教育や教師の在り方についても、考えさせられる貴重な番組である。

 今日は、まもなく16時から16時50分までEテレで放映される「シンサイミライ学校 いのちを守る特別授業 「釜石の奇跡」に学ぶ」にも注目したい。和歌山県田辺市の中学校で片田敏孝さん(群馬大学大学院教授)が行った防災特別授業の記録である。子どもたちの意識と行動を変える授業は、どのように展開されるのか?

 

原発事故を検証する書籍では・・・先日紹介した日隅一雄・木野龍逸著『検証 福島原発事故・記者会見 東電・政府は何を隠したのか』(岩波書店、2012/1)に加えて以下の二冊にも注目したい。

朝日新聞特別報道部編『プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実』(学研パブリッシング、2012/2)

朝日新聞のルポルタージュ連載記事の書籍化。福島原発事故による放射能汚染は、なぜこれほど多くの被害者を生んだのか。政府、官僚、東京電力、そして住民を克明に取材し、官僚・政治・東電の責任を問う。

プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実
クリエーター情報なし
学研パブリッシング

福島原発事故独立検証委員会編『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012/3)

2012年2月28日に発表された「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調)が独自にすすめていた調査・検証報告書。福島第一原発の中で働いた作業員の方の体験談、事故・被害の経緯、官邸の事故対応、原子力ムラの構造に踏み込んでいく歴史的・構造的要因の分析、国際協力の枠組みなどを独自の観点からまとめた。東電サイドの聞き取りができずに抜け落ちている。

福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書
クリエーター情報なし
ディスカヴァー・トゥエンティワン

  

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