(この稿の内容は、メモだけでは分かりにくいと思われるので、簡単に文章化してみました。)
今、医学界では、一人の患者の治療ために、さまざまな医療従事者がチームを組んで医療行為を行なう「チーム医療」の必要性が強調され、実践的研究が進んでいる。医師が中心となって行なう従来の医療とちがって、さまざまな専門職が対等に連携することで患者中心の医療を実現するには、そこに参加するメンバーには、互いの職種を理解して協働する能力と、患者を自分の専門分野から局部的に診るのではなく総合的に診る能力が求められる。そこで問われるのは、患者をも含めた当事者間の「協働」、「責任」、「主体性」のあり方であろう。
このような医学界の動向の中で、看護職の果たすべき役割とその主体性について小島通代さんは次のように語っている。
「患者と医師が,それぞれの主体性を発揮しやすいようにすることが,看護職の主体的な仕事なのである。すなわち,相手の持っているよい面,リソース(成果を得るのに役立つ状況,情報,考え方,人,もの,財源など)を発見して,尊重することだと言える。」「主体性から「互尊」へ」(「週刊医学界新聞)医学書院、1999/3/29)
この構図は、どこか学校教育における教職員と学校図書館職員の連携に似ていないだろうか。たとえば、『看護ジレンマ対応マニュアル 患者中心の看護のための医師とのコミュニケーション』(小島通代他著、医学書院,1997)といった書籍のタイトルに「司書・司書教諭」「学習者中心の教育」「教師」などということばを当てはめてみるといい。
看護職の資質の向上をはかる教育や訓練には、専門的分野に関する知識と技能に加えて、かねてから援助的人間関係やクリティカル・シンキングの考え方や技法が取り入れられている。
援助的人間関係:非抑圧的な人間関係のなかで個人の成長をはかるためのコミュニケーションのあり方。カウンセリング、ソシアルワーク、看護などの分野で取り入れられている。
クリティカル・シンキング:疑問や問題、葛藤や異和感を振り返って分析し、根拠に基づいた思考によって問題解決をはかる方法。
これらは、学校教育において児童生徒の成長と学びを援助する立場にある教職員や司書・司書教諭にとっても必要な訓練にちがいない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます