民の字ノート 清書

　思い付きから，2005年の作曲「民の字ノート」を清書した．
　藤野要吉の同題の詩による．私たちの文明はもともと，身分制とともに興ったわけであるが，ここでは，「民」という漢字に刻印された人類の暗い歴史に，藤野は嘆きながらも訣別を誓っている．テキストの持つ淡々としたリズムに身を委ねるうちに，わりあいスムーズに曲ができあがったことを思い出す．


民の字ノート（抜粋）　　藤野要吉

民の字は
針で目を突いて
めしいにするかたち
盲目の奴隷を表す
何と心外な民の字の起源

支配者の残虐性を露呈する
この非人間的起源は
地底深く埋葬しよう
またと息吹き返さぬように
君主制とともに埋葬しよう