百合とオレンヂ城Ⅱ

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スカイクロラ

2009-09-25 20:40:00 | ジブリ 押井守 ハーモニー(伊藤計劃) サマーウォーズ フルメタルパニック

◆スカイクロラ

(9月25日更新)


◆人物紹介





◆草薙水素(クサナギ・スイト)

 キルドレ、そして最強の
ツンデレ
kirakira2kirakira2heartheart

 水素の本当の気持ちを知った時彼女をものすごく
可愛いと思えますkirakira2kirakira2heartheart

(理由は後述)

 水素の名前は草薙素子に似ていますね(笑)





◆三ツ矢碧(ミツヤ・ミドリ)

 彼女もまたキルドレでありツンであるkirakira2kirakira2heartheart
 



◆スカイクロラと攻殻と
J・D・サリンジャー


 J・D・サリンジャーとは「ライ麦畑でつかまえて」
の作者です。
 この本、トグサが攻殻作中で持っていましたねnote

 J・D・サリンジャーは攻殻でよく引用されている
そうですね。

 
 攻殻第一期S・A・Cの「笑い男」も
J・D・サリンジャーの短編「笑い男」
ナイン・ストリーズ所収)からの引用
だそうですsearch


 どうも「スカイクロラ」にもJ・D・サリンジャーの
ナイン・ストリーズ」から引用している
箇所があるそうですねpencil
 しかも同じ「ナイン・ストリーズ」という
作品から!!

http://blog.fumizekka.com/archive/172


 攻殻もスカイクロラもJ・D・サリンジャー
から影響を受けているんですねpencilset
 偶然とはいえ面白いですよね。



 ところで攻殻がJ・D・サリンジャーから影響を
受けていながら何故記事で書かなかった?
と言いますと、私はJ・D・サリンジャーを
よく知りませんし、誰かが検証をしていると
思ったからです。

 
 で下のサイト様が攻殻とJ・D・サリンジャー
について、考察を述べています。
 それだけではありません、攻殻について
非常に丁寧に調べております。

http://standalone.blog50.fc2.com/blog-date-200808.html




◆スカイクロラ 感想

◆世界の中心で「アイ・シャル・リターン」

 物語はカンナミ・ユーイチという少年が前線基地
に赴任するところから始まります。
 
 初めて来た場所なのに何故か既視観がある、
見覚えがある、戦友につれていかれた店で食べた
ミートパイも食べた事がある感じがする。
 どうしてなのか?


 そして基地の司令官草薙水素、彼女も平静を
装いながら何故かユーイチのマッチを拾ったり、
彼の姿を見ようと窓を開けたり何故かそわそわ、
初対面なのにどうして?

 その謎があきらかになるのは、ある人物が
ひょっこり帰って来た時からです。

 実はそれこそがキルドレの背負う宿命だった、
とわかる訳です。

 
◆キルドレの宿命

 ユーイチが基地に赴任した時の水素の行動も
ですが、整備班の笹倉さんも含めて、なぜか皆
同情的な目でユーイチを見ます。
 
 水素にもいろいろなウワサがついてまわります。
恋人の栗田仁郎(クリタ・ジンロウ)を撃った
ことがある、妹がいるけど実は…etcetc。
 
 新たにできた仲間に新聞を折りたたむクセの
ある男がいました。
 ある日この男が敵のエースパイロット、
「ティーチャー」に撃墜され戦死します。

 ですが、この新聞を折りたたむクセのあった
男と外見が同じ男がひょっこり戻ってきます。
 ただし名前はちがいます。
 彼はキルドレでユーイチも水素も
キルドレです。
 要はキルドレとは不死身な存在で、何度も
何度も同じ事を繰り返しているのです。

 その時視ている人たちは気づくわけです。
 ユーイチを同情的な目で見ていた水素や笹倉
と、帰って来た新聞を折りたたむ男を見る我々
観客の目線と気持ちが同じことを。
 そして永遠に生き同じ事を繰り返す
キルドレの宿命を。
 だから、その宿命を同じ道、同じ景色で表してい
たのです。

 



水素タンのツンデレぶりにも気づくのですheart 
 

 そして(●●●)とユーイチが(   )で
あった、という驚愕の事実に気づくわけです。

 
 ネタばれ、かもしれませんがそれ以上にも
スカイクロラには見所があります。



◆コールガールの守り人

 スカイクロラは女性が素敵でしたkirakira2
男で目立つキャラがあまりいませんでした。

 キルドレ専属のフーコさん(ボーイッシュ)
とクスミさん(女性的)というコールガール
がいます。
 
 フーコさんの声がバルサ姉さん役の安藤麻吹
さんでクスミが兵藤まこさん、という押井守組
なわけです(笑)

 戦場はいつ死ぬかわかりません、
なので人の肌が恋しくなります。
 フーコさん、みたいな女性なら
肌を重ねて安心しそうですし、
また帰ってこようと生きる希望も
抱ける気がします。

 ちなみに背中のタトゥーをデザインしたのは
末弥純先生(!!)です。
 
 フーコさんですが、意外と出番はあります。
ですが、なんといいますかこの人と(■■■)
と(◆◆◆)の関係って複雑で微妙なんですよase2
 
 この2人との関係をフーコさんはどう思って
いるのでしょう。
 
 館で(■■■)と肌を重ねた時、
墜落した(◆◆◆)を助けた時。
 
 私は嫉妬する事も悩む事も、あったけど
いろいろ経験して、今は同情的になっている、
と思います。
 気持ちの整理はできている、と思います。


 しかしできない人もいます。
三ツ矢碧さん、です。




◆シムーン

 原画にシムーンのキャラクターデザインの
西田亜紗子さんがいるのはスゴイですねbikkuri

 三ツ矢碧さん、は水素がもう少し動き正直に
物を言うような感じになった子だと思いました。
 なので三ツ矢さん、が後半のキーキャラに
なる、と思いました。
 あと(◆◆◆)と(■■■)のふたりに
からむとも。
 

 何故彼女は(◆◆◆)と(■■■)を憎み嫉妬
するのか?
 嫌な子に見えるかもしれませんが、私は彼女
の葛藤し自分の存在を不安に思う姿を
見ると可愛くて弱弱しくて抱きしめたく
なります。

 『スカイクロラ』は大攻勢とか戦闘機のバトルも
ツボをおさえてはいますが、戦闘シーンがメイン
ではなくラストの方で三ツ矢碧がとった行動こそが
クライマックスのひとつだった、のでしょう。




◆史上最大の作戦?

 「ショーとしての戦争」とか戦争の背景ですが、
よく創り込まれているとは思います。
 ポスターや企業のロゴ、TV中継や
新聞…etcetc。
 企業がああだ、とか戦争がおきていても
普通に生活をしている人たちを見ると
パトレイバー2を連想します。

 
 『史上最大の作戦』はレジスタンス、イギリス、
アメリカ、ドイツのエライ人から一兵卒、市民まで
出てきます。
 ですが『スカイクロラ』はちがいます。
 エライ人は出てきません。
せいぜい基地の司令官までで、そこに勤務する
パイロット、整備士、そして周辺にいる
コールガールや店の人たちがメインです。
 その人たちが空を飛ぶ時以外は何を
しているのか?も重要です。

 
 押井守も、
「パイロットの生活習慣を描くことでキルドレ
という設定が見えてくる」

 と言っていますし。

 
 大攻勢とか作戦に参加しても基本彼らの生活
に変化を与える程ではありませんし、そもそも
勝ち負けは意味がありません。
(ティーチャーの存在は別) 
 


 だからか、私は『スカイクロラ』は戦争云々
というよりも若者たちの青春劇みたいにとらえて
います。


 
 押井守が若者を描いたとか、シナリオを書いた
のが「世界の中心で、愛をさけぶ」の人と
聞くとあながち間違っていないかもしれません?




◆お願い「ティーチャー」

 
 
 戦争というものは集団で行うものであり、
個人の存在は埋もれてしまいます。
 
 ですが、あえてその集団の中で「個性」
を描こうとしたらどうなるでしょう?

 
 一応、押井守とは縁があり、
『WXIII 機動警察パトレイバー』の監督も
勤めた高山文彦氏ですが、
高山氏の「オーガス2」でも、「ストレンヂア」でも
集団の戦争や陰謀とはほとんど無縁の立場にいる
個人を主人公として描きました。

 「オーガス2」の主人公リーンが戦う理由は
幼なじみの少女とその母親の為です。
 
 「ストレンヂア」のナナシも武士としては
死んだ身でしたが仔太郎を助ける為に、もう
一度サムライとして復活します。

 ナナシもリーンも国の陰謀とは関係ない
理由で戦います。

 リーンが敵の最終兵器ナタルマを助けるために
叫ぶセリフがあります。


「これは、オレ個人の戦争だ!!」


 偶然ですがユーイチも同じようなセリフを終盤
で言います。

 父親のような存在(らしい)で絶対に勝つことの
できない存在である「ティーチャー」に戦いを挑む
時です。


「これは、ボクの戦争だ!!」
 
 
 「ティーチャー」という存在が何を意味しているか
はそれぞれ解釈が分かれると思います。
 
 
 ユーイチ、は昔、水素と何か関係があったらしい
「ティーチャー」に嫉妬したのかもしれません
(笑) 
 
 
 または、同じ道、同じ景色を毎日見て
変わらない日常、運命を見て、それでも同じ
道のちがうところを歩こうとして生きている。
 



 水素のことも頭に浮かんだかもしれません、
何故水素は中盤「ティーチャー」を思ってあんな事を
したのか?
(関係ないですが水素がボーリングをした時
の華麗な姿や、シャツのポケットにネクタイを
入れていたり、ゲストルームでいきなり!!な
シーンはかなり萌えましたkirakira2kirakira2heartheart

 
 
 永遠に生きるキルドレでも、普通の人と変わり
ません。
 大攻勢があってもさして生活に変化はありません。
 キルドレでも集団の中の個性のひとり、に過ぎません。

 
 ユーイチはそんな何かを少しでも変えたくて
「ティーチャー」に戦いを挑んだ、と思います。
 
 
 あの瞬間「個人と個人の戦い」に、
「ユーイチとティーチャーの戦い」になった
と思います。
 そして初めて戦う理由を見つけ、帰る意味を
見つけられたかもしれません。
 ゲド戦記みたいに越えるべき父親を
越えようとしたのかもしれません。

 
 変わらない日常、永遠に続く日常、それでも時は
流れて行く。
 笹倉さん、やフーコは今までいろいろな物を見て
きたのでしょう。
 そして瑞季も成長をするでしょう。

 だが悪い方向ばかりへ流れる訳じゃない。




◆エピローグ

 
 小説版の水素は死を望んでいるように見えます。
彼女の場合は、永く生きすぎて生に絶望している
(SFでよくありますが)
というよりは、決まった日に誕生日を迎える、
決まった時間に起きて寝るくらいの感覚で
語っているようにも見えます。
 彼女の定規のような性格らしいです。
 
 
 また死について、それほど執着している
ようにも見えませんし、生きたいようにも
思えます。
 
 
 永く生きた記憶をリセットしたいのかも
しれません(『キディグレイド』のエクレールの
ように)
 
 
 今はこう思っているけれど後で考え方
が変わる、と思います。

 
 
 三ツ矢碧は永く生きるキルドレたちが
どのようにそれを自己処理しているか想像して
いましたが、ぼんやりと忘れっぽくなり夢を
見ているようになる、と言っていました。

 
 キルドレは永く生きるので毎日同じことの
繰り返しのようになります。

 
 水素が死について語った時、やや陽気というか
雄弁でした。
 もっともユーイチと一緒にいたからかも
しれませんが。

 
 想像ですが水素が同じ道を歩いているように、
同じ毎日を繰り返している時、ふと同じ道
のちがうところを歩きたくなったように、
なにか違うことをしたくなったのかも
しれません(?)

 
 SFでも攻殻でも痛みを感じる時に生きている
実感を得ることができる話がよくあります。
 水素にとって死を望む時、や瑞季を産んだことが
水素にとって生を実感できる瞬間なのかも
しれません。
 生(産むこと)と死は表裏一体かもしれません。



◆PS(7月31日)

 劇中、ボーリングのあと入った店に宮本武蔵の
絵が飾ってありました。
 
 なにげなく見てましたが、この後
押井守監督が宮本武蔵のドキュメンタリー
『宮本武蔵 -双剣に馳せる夢-』
を手がけた事を考えると武蔵に興味があった、
のかもしれませんね。

 そういえばミニパトでも佐々木小次郎
の名前を出したりしましたね。



◆PS (8月8日)

 8月8日は押井守監督と新井素子先生と
鳳翔伶先生の誕生日です。
 おめでとうございます。 



◆PS (8月23日)

 ポーランドといえば押井守作品では
(アヴァロンなど)よく出てくる国です。
 スカイクロラでも水素たちが迷い込み
ボーリングをする街のモデルがポーランド
(のクラクフという街)です。

 
 ちなみに『アニメはいかに夢を見るか』に
のっていましたがサッカー選手の中田英寿は
スカイクロラの試写を見て、モデルとなった
ポーランドの街をずばり言い当てたそうです!

 
 『アニメはいかに夢を見るか』でスカイクロラ
のスタッフがイギリスのアイルランドやポーランド
を取材します。

 スカイクロラのキャラクターデザイン
西尾鉄也氏(ナルトのキャラデザ)の
取材レポートマンガが一番面白いです(笑)

 
 日本ではビールを冷やしますが
アイルランドでは冷やさないそうです。
 つまりヌルい!
 そういう食文化の違いから(?)
西尾さん、が「大根おろしが食いたい」
と日本食をなつかしがったりラーメンを
たべて「これこれ!」と言うのは
わかりますよね~♪

 
 『BLACK BLOOD BROTHERS4 倫敦舞曲』
にも出てきたフィッシュ&チップスも
食べていました♪

 押井守が美容師の息子というのも
意外でしたが、さいとうたかをも床屋の
子ですよね(?)
 
 あと押井守のわかっているのか?
わからないのか?微妙な外国の文化
の智識に(笑)





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