mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

樋口一葉和歌 その二十三

2014-05-04 10:52:14 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
ともに聞く人の来よかし時鳥一こゑ鳴きて今過ぎにけり


誰もかくあらまほしけれこの花のいはぬにひとのなほもめづらん


世の中のひとの心にならひけんかはるにはやきあぢさゐの花


折々の風のたえ間をいのちにてはかなくとまる蓮葉の露


飛ぶ蛍ひかりさびしく見ゆるまでなつはふかくもなりにけるかな


生ひのびし庭の萩原風たちてけふ降る雨に夏はゆくらん


いぶせしと常はいひつるからたちも花咲く夏はなつかしき哉


今日よりはいかにしてまし露時雨ふる屋の軒に秋は来にけり


秋は来ぬまがきの野辺の真葛原かぜあらましく成にけるかな


霧ふかみこぞ来し道や迷ひけん今年はおそきはつ雁のこゑ

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