mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

樋口一葉和歌 その二十

2014-05-04 10:46:57 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
まふ蝶のかげさへ寂しひとりすむみ山の庵の秋萩の花


いで我も打いそがばや隣には今宵きぬたの音ぞきこゆる


神無月しぐれてさむき袖がきになほ盛なる白菊の花


いかのぼり市にもとむる子らのみはとしの終も嬉しかるらん


あらたまの年の若水くむ今朝はそぞろにものの嬉しかりけり


色かへぬまつの林にまじりてはのこる紅葉も寂しかりけり


立ち渡る霞をみれば足引きの山にも野にも春は来にけむ


うれしくもわがものにして聞てけりこのあかつきの鶯の声


暮れぬとて帰りし友のをしきかな梅の林は月になりしを


おぼろおぼろ月はかすみて我が岡の梅遠じろくみゆる夜半かな

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