mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

《鬼灯》

2014-07-10 05:02:53 | 〈からくり時計の小部屋〉
陽がとどけば草のなかにてほほづきの赤さ/山頭火


染め分けて鬼灯は夜のものならず/かな女





鬼灯は時おり違った表情を見せる。
「雨の日に鬼灯の数を数えてはいけませんよ。」
言われて、
人差し指が止まった。
やっと数を覚えたばかりの子どもの頃の事で庭の赤く染まった鬼灯の実を数えていた。
「雨の鬼灯は恐いのですよ。数違うと大切なものを失いますから」
笑った母の顔が白狐に見えた。

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