mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 みだれ髪 臙脂紫   

2014-05-25 05:26:51 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉


夜の帳にささめき尽きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ


歌にきけな誰れ野の花に紅き否むおもむきあるかな春罪もつ子


髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ


血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめな

椿それも梅もさなりき白かりきわが罪問はぬ色桃に見る


その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

堂の鐘のひくきゆふべを前髪の桃のつぼみに経たまへ君


紫にもみうらにほふみだれ篋をかくしわづらふ宵の春の神


臙脂色は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命


紫の濃き虹説きしさかづきに映る春の子眉毛かぼそき

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