しっかり記憶する

　肩が痛くて整形外科へ行きました。
　待合室にいると、杖をついたおばあさんがやってきました。
　「こんにちは。今日は診察だからね」
　診察券を受付に出すと、ぼくの隣りに座りました。
　しばらくして受付の人が「今日は診察はないですね。来週ですよ」。
　「本当に？　ボケちゃったのかしら」
　おばあさんはカバンのポケットから、小さく折りたたんだカレンダーを取り出しました。
　何気なく隣りを見ると、カレンダーにメモなどは記入してありません。
　「ああ、本当、来週ね」
　カレンダーを見ただけで予定がわかるなんて。