金が欲しいと来た者はいたが盗られたことはない【K's EYE】

2010-01-21 22:48:26 | K's EYE
 今日の衆議院予算委員会では09年度2次補正予算案に関する質疑が行われ、
 鳩山総理と自民党・谷垣総裁の、初の党首対決となりました。

 やはり自民党は偽装献金や、石川議員逮捕についての追求に終始し、
 マスコミもそのことばかり取り上げている感は否めないですね。。

 補正予算案は25日にも衆議院を通過する見通しで、
 明日も質疑が行われるようなので、発言に注目したいと思います。

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【今日のちょっといい話】

◇金が欲しいと来た者はいたが盗られたことはない

 明治三十三年に没した博多の万行寺(まんぎょうじ)の住職、
 七里恒順(しちりごうじゅん)師は近代の名僧といわれる。

 ある夜、師の寝室へ強盗が押し入り短刀を突きつけ、「金を出せ」と迫った。
 まじまじと自分を見ている師に、薄気味悪くなった泥棒サン。
「早く出さぬと、殺すぞ、殺すぞ」
 とうろたえる。

「金は、床の間の文庫の中にある」
 静かに師が答えると、文庫をかかえて慌てて立ち去ろうとした。

「待ちなさい」
「何か、用か」
 睨みつける犯人に、おだやかに師は言っている。

「実はその金はのう、仏さまからのお預かりものなんだ。
 本堂へ行って、一言お礼を言ってから帰りなされや」
 威徳に打たれたのであろう。
 泥棒は素直に本堂へ行き、頭を下げて帰っていった。

 やがて師に、警察から呼び出しがあった。
 あの犯人が捕らえられたのである。

「金品を盗られたのなら、すぐに届けてくださらないと困ります」
「いや、私は盗られた覚えはありませんが……」
「貴僧はそう言われても、犯人がハッキリと白状しているのですから」

「それは何かの間違いでしょう。
 確かにある晩、金がほしいと言ってやってきた者はいた。
 だが、その人には仏さまにお礼を言って帰りなさいと、
 与えはしたが盗られたのではない」
 いかめしい警官と、さわやかな問答が交わされたという。

 刑を終えて出所すると聞いた師は、
「因縁のある男だ。
 私の寺に会計係がいない。
 ちょうどよい、働いてもらおうか」
 と身受けしている。
 感激した彼は立派に更正し、生涯一度のミスも犯さなかったといわれる。

 何十億の人間のなかで親子・兄弟・夫婦・朋友となるのは、
 よほど深い因縁があったからに違いない。

 処々方々から集まって、同じ舟に乗り合わせて進んでいるが、
 岸に着いたら思い思いに散っていく。
 一本の木に多くの鳥が安らいでいても、
 夜が明ければ、それぞれが餌を求めて飛び去ってゆくのだ。

 向こう岸に着くまで、一夜の間だけと知らされれば、
 どんなに気に食わぬ相手でも懐かしくもなるだろう。


【編集後記】

 大相撲初場所も終盤を迎えました。
 序盤1敗で並んでいた力士も次々と脱落していき、
 結局優勝争いは両横綱に絞られていましたが、

 今日は横綱白鵬が大関・日馬富士に破れ2敗に後退、
 大関魁皇を破った朝青龍が単独トップに立ちました。
 これから上位戦が続き、目が離せない展開になりそうです。

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