見過ごされがちですが・・・・

ひとつおもしろい記事があったのでご紹介を。
“Top under-the-radar performers”というコラムなんですが、例年に比べてすごくいい活躍を見せているにもかかわらず、世間の注目が集まっていない選手を紹介しています。
ただ誰も知らないマイナー選手ばかりを取り上げるということではなく、既に有名な選手でも「え？　今季こんないい成績だったっけ？」という埋もれた部分を教えてくれてるんですね。

例えば、ナッシュとダンカン。
まあ言わずと知れたスーパースター級の選手なわけですが、特に今季取り立てて活躍してるイメージっていうのはないですよね？
でもスタッツを見ると、今季がベストシーズンじゃないかというぐらいの活躍をしているんですね。

ナッシュの今季の成績は・・・・
09-10　平均19.0点　11.2アシスト　FG54.3％　3P44.1％　FT94.2％

2度のMVPシーズンと比較すると・・・・
04-05　平均15.5点　11.5アシスト　FG50.2％　3P43.1％　FT88.7％
05-06　平均18.8点　10.5アシスト　FG51.2％　3P43.9％　FT92.1％

なんとMVPを取った時よりも成績は上がってるんですね（！）

そして超一流のシューターしか到達できない“50-40-90”（FG50％、3P40％、FT90％以上）という数字は、今季もクリアすれば3年連続4度目の達成となります。
しかも、“50-40-90”という数字だけでも、キャリアで1回到達するかどうかというスゴイ数字なのに、今季のナッシュはその上をいく“55-45-95”というトンでもない数字も可能性アリな超ハイレベルなんですね（！）

おそるべし35才・・・・まだまだ進化してます。。
てか2月には36才になるんですね。。
余計スゴイｗ
なんかチマタでは、ナッシュは年だとか、もう終わったとかいう声も多いらしいですが、ちゃんとプレーを見てから言ってほしいですね。
実際のゲームでの動きやプレーの質を見れば、違うということはわかるわけですから。

4月で34才を迎えるダンカンは、昨季痛めたヒザを休めるために、今季は出場時間をセーブされています。
平均で30分ちょっとしか出ていないのは、エース級のスターターとしては異例の少なさ。
もちろんダンカン自身のキャリアの中では最も少ない数字です。
おそらくチームの方針として、プレーオフ用に温存してるのかなあ？と思うんですが、その短い中でのプレーの質は高いですね。

FG55.1％はキャリアハイの数字。
ここ数年来ずっと安定しなかったFTも、成功率75.1％とここ8年間で1番いい数字です。
平均30分そこそこで19.9点・10.4リバウンド・1.8ブロックというのも、35分換算、40分換算にすれば相当いい数字です。
ここのところチーム成績も盛り返してきたスパーズですが、序盤はずっと苦しい戦いが続き、12月に入っても5割ラインをウロウロしていました。
しかし、負けがこんでもパニックにならず、ダンカンの出場時間を抑え続けた忍耐力はスゴイなあと思ってしまいます。

得点ランキングとかの指標は、どうしても多く打てばそれだけ上にいくので、とにかく打ったもん勝ちで考えがちです。
でもホントはプレーの質も考慮しないと、本当に“いい成績”っていうのは何かってことがボヤけて見えなくなってしまいます。
なので、こういう視点を持つことは大事だなあと改めて考えさせられます。



まだまだプレーの質は衰えていないナッシュ



サンズが意外に好調なのもナッシュのお陰です


その他で取り上げられてた選手たちをザーっと紹介すると・・・・

●カール・ランドリー（ロケッツ）

6thマン賞最有力候補の“ステルス”ゴー・トゥー・ガイ。
誰も見てない間にスルスルっと得点しちゃうからですねｗ
たった27分程度の短い出場時間の中で、チーム2位の平均16.3点に、FG55.9％・FT84.2％という効率の高いオフェンスでロケッツの裏エースになっています。
40分換算したら平均25点を超えちゃうっていうんですから、スゴイです。
なんで先発にしないんでしょうね？？？



ロケッツの“裏エース”ランドリー



ニックスに弟さんがいます


●コーリー・マゲッティ（ウォリアーズ）

マゲさんもかなり忘れられた存在ですね。
首領ネルソンのドッグハウスに迷い込んで、GSでは先発にしてもらえない状態が続いてたんですが、今季はウィングプレイヤーのケガが相次いだために出番が回ってきました。
そうすると、平均30分にも満たない出場時間の中で、19.7点・6.0リバウンド・FG53.5％の好成績。
これでも半分以上はベンチスタートでの平均ですからね。
さらにマゲさんの代名詞でもある“FTの荒稼ぎ”も健在で、毎試合10本近くのFTを獲得しながら、83.5％という高確率で決めています。



タレントはエース級のマゲッティ



FTゲットの鬼です


●レイモンド・フェルトン（ボブキャッツ）

過去3シーズンは平均14点台だったものの、FG成功率は40％前後と低い確率でした。
しかし今季は、平均こそ12.6点と下がったものの、FG成功率は47％と高い確率をマーク。
3P成功率もキャリア初の40％に乗せるなど、得点効率が格段に上がっています。
我々はどうしても「平均得点が高い＝いい成績」「平均得点下がる＝成績下がった」と思いがちですが、実際は「プレーの質が上がる＝いい成績」と見なくてはいけません。
そういう1つの実例ですね、これは。


●ケビン・ラブ（ウルブス）

これまでも何度か取り上げてきましたが、ラブちゃんは才能溢れるビッグマンです。
外から打てて、リバウンドも強く、パスもできるクレバーなプレーぶりが特長です。
でもルーキーシーズンだった昨季は、あまりインパクトを残せませんでした。
というのも、最初っから先発で起用する意図がなく、出てもただのリバウンダーとしてのプレーしか要求されませんでした。
用途が限定的だったわけですね。
器用で多彩なプレースタイルが持ち味なのに。。

NBAに詳しい友人に教えてもらった記事によると、昨季は「外から打つな」と指示されていたそうです。
「やっぱりそうか」と合点がいきました。
よくありがちな話なんですが、アタマの固い指導者はすぐ「ビッグマンはビッグマンらしく」みたいな感じで、インサイドのプレーしかさせなかったりするんですね。
でも選手にはそれぞれ個性や特長があるわけで、誰でも型通りに「ビッグマンなんだからこういうプレーをしろ」と押し付けるのはナンセンスです。
ラブが器用で多彩なプレイヤーなら、器用で多彩なプレーをさせるのが一番なんです。

前置きが長くなりましたが、今季の成績はと言うと・・・・
まだ出場時間は30分そこそこと少ないんですが、それでも平均15.2点・12.3リバウンドという立派な数字。
昨季は打つことすら許されなかった3Pは、解禁となった途端に38.9％という高確率で決めています。
FTも80％を超えているし、やはりシューターとして精度の高さは非凡なものがあります。
この才能を“単なるリバウンダー”としてしか見ようとしないなんていうのは宝の持ち腐れですし、じゃあ何でドラフトしたんだ？と思ってしまいます。



セレブ一族出身のラブちゃん



アウトサイドシュート解禁！



うーん・・・・誰？？


●オムリ・カスピ（キングス）

タイリーク・エバンスとブランドン・ジェニングスの一騎打ちという様相を呈してきた今季の新人王レースですが、そこに名前が挙がることすら予期されていなかった無名の新人。
今年のドラフト時、カスピに関する情報はほとんどありませんでした。
初のイスラエル人プレイヤーということ、中も外もできる細身のSFということぐらいしかわからず、謎多き外国人選手という印象でした。
おそらくキングスも、両フォワードポジションのバックアップとして戦力になれば・・・・ぐらいの期待値だったのではないかと思います。

ところがところが、フタを開けてみれば高確率で3Pを決め（43.7％）、外国人選手にありがちな体当たりの弱さもなく、ローテーションに入るどころか戦力の中心的存在になりつつあります。
ケビン・マーティンやフランシスコ・ガルシアといった従来のスターター陣が長期離脱したこともあって、ここのところはすっかり先発として定着しています。
この活躍によって、タイリーク＆カスピ＆JTで将来のコアを作るべきじゃないかといった論調まで出始めています。
キングスは去年、今年と、ドラフトでは掘り出し物を当てていますね。



見かけ頼んなさそうなんですが・・・・



スリーはよく入るし



結構当たり負けしません



遠くから見るとこの人に似てる



だから勝手にノシオニ弟と命名



オレの弟をヨロシクな


あとこのコラムには載ってなかったものの、スタッツで目立つ数字を残している選手を挙げると・・・・

●ジェラルド・ウォーレス（ボブキャッツ）

この方、6-7（201cm）のSFなんですが、なんとリバウンド平均11.4本で現在リーグ4位なんですね。
開幕当初はしばらくリーグトップにいたぐらいですｗ
まあそれだけゴール下が弱いというチーム事情がわかりますが、こうやってポジションを超越してチームの弱点を補っているからこそ、チームがプレーオフ争いに踏みとどまっているのかもしれませんね。



キングス時代から好きだったジェラウォーですが



今季はリバウンドで奮闘


●ジョアキム・ノア（ブルズ）

そうそう、リバウンドと言えばノアも忘れちゃいけませんね。
今季は先発に定着して出場時間もアップしたので、役割もスタッツもグンと伸びました。
現在平均12.2本で堂々のリーグ2位。
ノアもいっぱしのNBAプレイヤーになってきましたねえ～
ヘラヘラした写真ばっか取り上げてきたので、なんか嬉しいですｗ



今季はやっと先発に定着



おりゃ～　どんなもんじゃーい！（注：亀田ではありません）



なんかりりしくなってきましたねｗ


●ケビン・デュラント（サンダー）

デュラントがスゴイのはわかってるんですが、今季は一気にスーパースターの領域まで伸ばしてきましたね。
平均得点の推移は、1年目から順に20.3点⇒25.3点⇒28.9点ときました。
いっぱい打ってるだけじゃないの？と思いきや、FG成功率も43.0％⇒47.6％⇒48.0％と上げてきてるので、質も量も同時に伸びてきてるわけです。
これはスゴイ・・・・

ちなみに、現在の得点ランキングをご存知ですか？

1位　メロ　29.8点
2位　ルブロン　29.5点
3位　デュラント　28.9点
4位　コービー　28.8点
5位　ウェイド　27.1点

なんとルブロンとコービーの間に割って入ってるんですよ（！）
こりゃスゴイ・・・・
トップ5の顔触れを見たって、もう完全にスーパースターの仲間入りじゃないすか。
オールスターとかドリームチームはもう当然。
すっかりNBAを代表する選手と呼べるようになってきました。
サンダーのプレーオフ出場も夢じゃなくなってきましたね～



驚異のスコアリングマシンに成長中



プレーオフ行っちゃうのかな!?


●ケンドリック・パーキンス（セルティックス）

セルティックスと言うとどうしても、BIG3＋ロンドの印象が強いですよね？
パーキンスはあくまで5番目の選手、センターがいないから先発で出れてる、なんていう見方もあると思います。
でも目立たないんですが、プレーの質は非常に高いものがあります。
ヒザの故障が癒えないKG、3P偏重で安定しないラシードに代わって、いつも変わらぬ安定したプレーでゴール下を支えています。

その結果、現在FG成功率は63.7％でリーグトップ。
平均得点もキャリア初の2ケタ台となる12.4点、リバウンド（8.2本）やブロック（2.1本）でもキャリアハイの数字を残していまうｓ。
こうした脇役が土台となってチームを支えてくれると、主役が戻った時にチーム力がより強固になってくるんですよね。


●クリス・ケイマン（クリッパーズ）
●デビッド・リー（ニックス）

今リーグのセンターの中で最も平均得点が高いのは、なんとなんとケイマンなんです。
平均20.4点・9.4リバウンド・FG50.6％という文句のない成績。
スタッツから言えば、ウェスタンのオールスターに選ばれてもおかしくない数字ですね。

そしてイースタンのセンターで最も平均得点が高いのが、これまたビックリのデビッド・リー。
平均19.2点・11.0リバウンド・FG56.4％とこちらも申し分ない成績。
もしオールスターがスタッツ重視で選ばれるのであれば、ケイマンとリーが東西の先発センター・・・・なんてことになってもおかしくないんですね（笑）



お、おーるすたぁー？？？　・・・・地味だｗ