映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

皇帝のいない八月 #199

2005-01-31 | か行の映画
1978年 日本 140分

同年に公開された角川映画の野性の証明では合法的に一個人を抹殺しようとした自衛隊が、松竹映画ではクーデターを起こしてる。どちらも共通するのは国家権力の持つ事実をねじまげてしまえる巨大な力への抵抗だ。そのためか表現方法はかなりぶっ飛びで、本作では首相官邸に集まる政治家たちの陰謀や、多少の乗客の犠牲は構わない、と救助するわけでないという衝撃的なシーンが折り込まれている。結局のところ自衛隊クーデターは失敗に終わり、博多から東京へ向かう寝台特急さくら号のトレインジャックの話に収束してしまったわけだから、別に自衛隊じゃなくても良かったんだけど、渡瀬恒彦の列車内での演説の迫力に押されて良しとしよう。こじんまりとした事件が起きるより設定は豪快な方がイイし。実際もしも・・・なんて考えてしまうから。

さてさて、この映画ツッコミどころ満載だ。ホリケン似の山本圭の役どころそのものが意味不明であるし、山本圭と渡瀬恒彦の間で揺れ動く吉永小百合も結局どっちが良かったの??って感じ。寝台特急なんて選んだら移動してる間に先手を打たれちゃうでしょー。
渥美清が乗客の役で出てたり豪華キャストなのでそれでもチャチには見えない。高橋悦史と三国連太郎、どう見ても三国の方が偉そうに見えるんだけど下っ端の役だ。最後にあんなことになるなんて。

印象に残るのは徳山駅のホームにずらりと並んだ自衛隊員。親友の山崎努と目で合図して銃を撃ち、敬礼をして発車するシーンかな。三国連太郎が吉永小百合宅を物色していると出てくるLPが「皇帝のいない八月」というクラシック。クーデターの計画書は戯曲風に書かれてる。
列車の爆発は無いと思っていたんだけど・・。
スゴイ映画がまだたくさんあるんだなと思った一作。B級好きならぜひ一度!