建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

広島上空にて、宅地の安全性について考える。

2014年08月25日 | 法制度
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

先週、京都のゲリラ豪雨の話をしたら、今週はさらにゲリラ豪雨が猛威を振るいました。
広島の土石流、時間100mmもの雨が真夜中に2~3時間も降り続くなどというのは、もちろん想定の範囲外なのですが、
最近は想定の範囲外のことだらけで、対応が追いつきません。

土石流の翌朝、広島の上空からは、大量の茶色い土砂が青い瀬戸内海に注ぐ様が見えました。


今回のような大雨や山裾の地域については、また別に考えなければならないでしょうが、
一般の宅地でも、ちょっとしたゲリラ豪雨でも危ないのではないか?と思われるような造成や擁壁が、巷にはあふれています。
例えば、隣の宅地を支えている擁壁の水抜き穴なんて、気にしたことあります?
水抜き穴が機能していないと、大雨時に想定以上の土圧がかかり、崩壊の危険が増してしまいます。

建物の安全性には気を遣うのに、安全性の確認できないガケや擁壁があまりに無頓着な気がするのです。
作る側も住む側も。
特に、既存のもの、確認申請の対象とならない高さ2m以下は、野放しに近いといってもいい。

建物敷地の安全性(建築基準法19条)に関しては、多くの都道府県で、一般の地域(宅造規制区域等の指定のない地域)についても、いわゆる「がけ条例」を定められており、
がけ又は安全性の確認できない擁壁から一定の距離の範囲内については、建築に制限が生じます。
一応は、がけ上の建物ががけに荷重をかけるのを避け、また、
がけ上もがけ下も、仮にがけが崩れた場合に建物の最低限の安全性が保てるような距離・構造にしなければならないこと
に、なっています。
建物を建てる側は、少なくとも、その点を守って建築をしなければ、法的責任を問われ得ます。

一方、その点さえ守っていれば安全かというと、もちろんそんなことはありません。

傾斜地に住む人には、自分の土地のリスクについて、もっと認識してほしいです。
そして、危険を下げる対処をしてください。
何かあってからでは、裁判を起こしても元の生活には戻れませんから。
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