2020年2月1日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面に掲載された見出し「英離脱 戦後秩序に幕」を拝読しました。
サブ見出しは「拡大・価値観 2つの挫折」です。この挫折は、先進国の人々が直面する大きな課題です。日本人にとっても大きな課題です。
リードは「英国が1月31日午後11時に(日本時間2月1日午前8時)に欧州連合(EU)から離脱する。拡大を続けてきた欧州連合が初めて逆回転する歴史的な節目を迎える」と始まります。
日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「欧州分裂に悲喜交錯、英EU離脱の日 残る社会分断」と報じています。
日本経済新聞 電子版では、Web版であるために、時々刻々と記事を報じています。
第二次大戦後に、日本は英国をモデルに立憲民主主義の民主主義国家を目指しました。日本の国会も英国の議会をモデルにしています。
記事の冒頭は「英国がEUから離脱する時間が迫ると、そのお別れは『蛍の光』(日本での題名)の大合唱となった」と始まります。英国の議会では、このスコットランド民謡を口ずさんだと続きます。
英国は第二次世界大戦後の欧州での政治的“知恵”を止めて、独自の道を模索します。英国は、今でも欧州ではドイツに継ぐ第二位の経済大国です。
2月1日から始めるEU離脱の激変緩和の移行期に入り、模索が始まります。移行期なので、すぐには英国やその他のEU諸国の消費者や企業には影響は及びませんが、その内に顕在化します。
表面的には、欧州という先進国の諸国の多様性と国際協調という「欧州の知恵・価値観」が傷つきました。これはアジア諸国の未来を考えると大きな問題です。
この10年間で、EU諸国の中の責務問題と難民問題によって、EU諸国は揺さぶられました。第一次大戦と第二次大戦からの反省を基に、欧州の平和を維持するために、英国、フランス、ドイツが協調するEUという仕組みを作りました。
そのEUを一番維持すべき英国が自国優先を念頭に離脱を決めたことからフランスのマクロン大統領は「貿易交渉には冷たく臨む」と発言し、ドイツのメルケル首相も「英国は強力な競争相手」と語ります。
英国は、EU離脱によって欧州での発言力が低減し、欧州諸国の戦後の秩序が名実ともに終わる時代を迎えます。英国の最大の課題はスコットランドの問題やアイルランドとの問題も再燃します。英国は「連合王国」であることの課題に直面します。
さらに、ここ100年間の大きな歴史的な流れでは“大ドイツ”の進展は、フランスとの軋轢を招きます。英国のEU離脱は歴史の時間を100年前に巻き戻すのか、新しい秩序をつくる契機となるのか、興味は尽きません。
さらに、現在の米国もロシアも、そして中国も、民主主義国家という点では、不安を招く存在になっています。