
先日、擁壁工事をして頂いた時に感激したお弁当箱“メンパ”
その時に、この近くでも手作りのお弁当箱を作っている人が居ると教えて頂きました
早速、昨年の暮れ(12/28) 訪ねてみました
頭に手拭いを無造作に被り庭掃除をしていたその人は60代でしょうか、如何にも温厚そうな方でした
案内して頂いた5坪ほどのプレハブの建物には色々な種類の板が所狭しと置かれ
何処からともなく漂う木の香が鼻孔をくすぐる工房です
T氏が奥から段ボールを持ち出し丁寧に油紙で包装した作品の一つ一つを開けると
思わず目を見張る創作お重が現れたのです
その中の一つ、モミジを彫刻したものに釘付けになりました
私が想像していたメンパとは全く別物でしたが、こんなお重は初めてです
因みにこれは お幾らでしょうか?と問いましたところ
「これは、かなり苦労して彫った物で値段が付けられないんですよ
と言うか手放したくないですね」
写真を撮ればよかったのですが私の方も興奮気味でそこまで気が回りませんでした
蓋一面が小さなモミジ葉で埋め尽くされた一品です

「母屋の方にも作品が有りますのでお茶でも飲みながら見ませんか?」と仰って下さいましたので
そちらに移動しますとオイル(何と言うオイルだったか??)が塗られた作品が自然乾燥の状態で並べられていました
ある日、漆塗りの職人さんの工房を訪ねた時、その工程を見ている内に
これなら自分にも出来そうと試したのは良いのですが手から顔まで被れてしまい
とても自分に出来る作業ではないし塗って貰うと一品7万円位かかってしまうので
そこで考えたのがオイルだったのだそうです
乾燥している作品の中で一つ気に入ったのが有りましたので聞きましたところ
1万円で売約済みと言う事でした
この安さは何なのだと思っていますとT氏曰く
大工さんが持ってきてくれた木材や山で調達(伐採した木が出ると山の持ち主から連絡が有るらしい)ものなので
材料は只、手間賃だけなので高い値段は付けないのだそうです
「これは少し前に作った物なんですけどね」と見せて下さったのは家で使用しているというお重
これも素晴らしい物でした
「使用していると言う事は気に入った作品なのでしょうが、これ譲って頂けないでしょうか?」
一か八か尋ねますと少し考えた後 「いいでしょう」
と言う事で商談成立
それが、このお重です

これを解体しますと

更に解体して


面の彫は大変だと言うモミジです

こちらは帰りに「良かったらお使い下さい」と渡された黒柿の木で作った作品
中々味わいのある小皿でした

私達は余程、興奮していたのでしょう
帰り、手袋を置いてきてしまった事にも気が付きませんでした
そのT氏と奥様が「明日、お邪魔しても宜しいですか?」と電話を下さったのは本日夕方の事でした
