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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

雪呼び地蔵  新田次郎/著

2021年06月28日 13時43分20秒 | 読書・文学
そのもみじの一枝にユミが眼を止めて、なんてきれいでしょう、とひとりごとを云ったときから3人の運命は狂い出したのである。

宿の直ぐ前の滑川温泉の方へ眼をやった。
そこらあたりから、滝と紅葉で売り出している滑川の渓谷が始まっているのである。
「もう11月ですからね」

彼女たちのその日の行程は、滑川温泉ー霧の平ー家形山ー一切経山ー微温湯の行程を8時間かけて歩こうというのであった。
滑川の渓谷の方向とは反対の家形山登山口の方へゆっくり歩き出した。
「ちょっとでもいいから、私たち大滝のもみじを見たいのよ」

宿の裏手の吊り橋を渡って、20分ほど歩くと、尾根から大滝を見ることができた。

滑川温泉は奥羽本線峠駅から南に4km、標高777mのところにある。

3人が霧の平から、高倉新道の稜線を歩き出したころから、空の様子が急に変わり出した。

神楽石

霧の平から家形山までの南北に走る稜線は西の米沢盆地と東の福島盆地とを気候的に分ける境界線ということになる。従って、年中風が強く、天候が変わりやすいところであった。

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