まき子の酒

日本酒が好き。純米酒が好き。そんな飲兵衛が「母親」になってしまいました。今はムスコを飲兵衛へと英才教育中?!

悪さをすると 石 になる場所

2008-09-14 14:32:03 | アメリカ大旅行

ラスベガスで1日無駄に遊んでしまったのだけど、今回一番の目的はそんな都市ではなく、
大自然満喫の グランド・サークル なのだ!!

というと 「そこ、
どこ?」 と、よく聞かれるのだけど、これは1つの場所のことではなく、
ユタ・アリゾナ・コロラド・ニューメキシコ州に渡る、
大自然や先住民の文化が多数存在する場所の総称を言います。

半径230km(というと東京から浜松くらいの距離かな)の円でグルっと囲める地域に、
たくさん集中しているから、そう呼ぶんだそう。 

ホントは自分らで車を借りてキャンプしたり、自由に時間を使って巡りたかったのだけど、
国立公園の宿は大人気で予約も難しいということで、
今回はツアーを組んでくれている Western Leisure というツアー会社にお世話になることに。

ツアーバスに乗り込むと、まずはバスガイドのおっちゃん スティーブン がご挨拶。
文法がちょっと変な日本語も喋れて、面白いスティーブン、
でも、我々にとっては
この旅行での出会いが重要となる。



最初に到着した、グランド・サークルの1つは ザイオン(ZION) 国立公園
 
ゲートから一望しても分かるように、切り立った岩山は、カラフルな色の層で出来上がっている。
グレーのヨセミテバレーを彩り豊かにしたようなこの光景は、なかなかのもの。

 
左の タワー・オブ・ザ・バージン と呼ばれる大岩壁も、頂上になるにつれ白くなり、
右の世界最大級の一枚岩 グレート・ホワイト・スローン も、周囲の赤岩とのコントラストが素晴しい。
 

もともと、この地を最初に見つけて定住したのは、モルモン教の人々(こんなサイトを参照まで)。
こんな岩山に圧倒されて「ZAION = 神の住む聖域、神聖な地」と崇めるようになるのも分かるなぁ。

この特徴的な地層の岩山が出来始めたのは、大昔、まだココが海底だった 2億5000万年前 に遡る。
その海底に砂や泥が溜まること、およそ 1億8000万年の間

その間、いろ~んな時代に、いろ~んな層ができて、
ギューーーっと少しずつ圧力がかかり、砂が固まり、そのうち岩になったんだとか。

見た目にもはっきりと分かるオレンジ色が付いた地層は、鉱物をたくさん含んでいるから頑丈
一方、白い地層は逆に鉱物が少なく、比較的柔らかい

そんな強度の違う層が折り重なって1つの岩になっているので、こんな面白い光景もたくさん。

自然が造った、アーチの橋。

柔らかい白い層が先に崩れ、赤い頑丈な層が残るため、このような形ができる。
もちろん、この大きさも半端なく、アーチの下には大型バス5台くらい入るとか。

中でも ウィーピング・ロック その名も 「涙を流す岩」 が見所。
 
ここも大きなアーチで(右写真の人間がちっちゃく見える)、上からは細い滝のような水が落ちてくる。

この滴は、渓谷の頂上に降り注いだ雨が、岩の層を通り抜け、
アーチのすぐ上の固い層にぶつかって壁岩に染み出て来るというのだけど、
頂上からココに降り注ぐまでの時間は 約1500年 !!

スティーブン曰く 「ムラサキシキブが泣いた涙がようやく今出てきているワケデスネ~。」って・・・
源氏物語のことか分からないけど、とにかくよく日本のことを知ってる。

でも、スティーブンは日本語ができるとはいえ、日本のツアーから来た他の日本人観光客たちの中、
英語で話しかけると、やっぱり“ほっ”とするみたい

我々が “DCから来た” と英語で色々言うと、素を見せてくれたり、
しかも私の仕事だけではなく相方にも繋がりがあり 「世界は狭いね~~~!!」 と。
最終的には、やっぱりNFLの話しで盛り上がるのだけど。


そんな風に、スティーブンと仲良くなった
翌朝。
早起きして夜明けの空気を吸いに出る。
 
すごい寒い・・・日中の暖かさがウソのような、キーーンと澄んだ空気。
でも、そんなのが気にならないくらい、綺麗な日の出だ。
何でも、ブライスキャニオンは、アメリカで一番空気が澄んだ場所としても知られているとか。


それでは、いざ、グランド・サークル2つ目の
ブライス・キャニオン(Bryce Canyon)へ!

朝一番は ブライス・ポイント(Bryce Point) という、見晴らしの良い展望台へ。


朝日に照らされたブライス・キャニオン全体が、一目で見渡せる。
むき出したオレンジやピンクの岩肌と緑の森のコントラストが、また素敵。

そして、
この次に行く インスピレーション・ポイント(Inspiration Point) に向かいつつ
スティーブンが語る。

  "先住民の間では、一番の神様と言われているのがコヨーテの神様です。
  そのコヨーテが、留守中に、ダラけて毎晩宴会をしだした他の動物の神様たちに、罰を与えました。
  そのまま永久に石となってしまえ!と。

  インスピレーションを最大にして、そんな彼らの何百年も変らない姿をごらんあれ!"










 
 

なんて・・・なんて・・・なんというスケール・・・。

本当に、まるで一体一体が、昔、生きていたかのような。
そんな形 = 突き出た尖塔(HOODOO=フードゥー)が、目下いっぱいに広がる。

しかも、この足場には、手すりもなにもない。 自分が立った場所は、崖っぷちの1mくらいだろう。
下を覗くと、何か不思議な力に吸い込まれそうになる。

このポイントから、サンセット・ポイント(Sunset Point) という所まで、
ぐるっと簡易トレイルが崖っぷちを囲んでいるので歩いていくと、最初に見た光景もまた変ってくるのだ。

 
裏に回ると、こんな深くて細いフィン(と呼ばれる崖)が並ぶ。
我々が最初に立った辺りは、あんなに白い滑らかな場所だ。

ちなみに、ここも ザイオン と同じように、
“水底に砂や泥が溜まって、固まって岩になって、隆起して山になって、川に削られて” 
という過程は一緒なのに、なんで、こんな奇妙な形になったのか?!

それは「海底で、
ある程度一定の底を保っていたザイオン」と異なり、ここは「湖の底」であったこと。

海底と違い、湖の深さは変化しやすい。ちょっと乾燥しただけでも、ちょっと雨季になっただけでも。
そんな多様に変る水底に複雑な砂の層ができ、今に至る・・・と。

イメージは湧くけど・・・今に至るには、また5000万年くらいかかっていたワケで。
自分の想像を遥かに越える時間が、この形を作ってきたんだろうな。。。


と、上から眺めているだけかと思ったら、なんと!下まで伸びるトレイルが!!

 
ナバホ・ループ・トレイル(Navajo Loop Trail) というこの道、
降りるのは良いけど、往復すると、相当の体力を消耗する。でも、本当に行く価値アリ。

遠めでは小さく見えた尖塔が、その元に降りると、いかに大きいかが分かる。
人間が蟻んこみたいだ。

このトレイルの先を行くと ウォール・ストリート(Wall Street) という、壁に挟まれた通りが。


一見、とーーっても細い隙間のように見えるけど、実際に入っていくと。



中はやっぱり広い。

そして、その先には、1本のひょろっと細い、か弱そうなモミの木が見える。


ここを抜けて、モミの木に近づくと。

ふ・・・太い。

「か弱そう」なんて、とんでもない。

こんな岩の間の、深い底から、おてんとうさんの光を求めて上へ上へと幹を、葉っぱを伸ばし、
一生懸命生きてる。




本当に不思議な気持ちになってしまう。

上を仰げば、まるで、何か圧倒的な力に・・・人間では敵わない力に、
見下ろされているような・・・守られているような・・・戒められているような。。。

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22 コメント

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Unknown (hirorin)
2008-09-14 15:34:53
すごい!すごい!
人間が写ってなかったら、スケールの大きさがつかめないところだった。モミの木すごいね~

こういうところに、全く誰もいなくて自分ひとりだったら・・・と立ち止まって想像し始めると、本当に自然に守られているような責められているような、ドキドキした気分になります。
ひとりぼっちになったら、ここからどうやっていつもの世界に戻ることが出来るんだろう・・

と、ふと昔のウルトラ横断クイズで、グランドキャニオンからひとり帰された(確か馬かロバをあてがわれてた)人がいたことを思い出した。
WAOoooo!! (ぎっふぃいゆう)
2008-09-14 16:07:27
1ヶ月ぶりくらいにパソコン開いて
なんだ、すげ~とこいってるね!!

すげ~としかいいようがない。
こんなん目の前にしたら人間なんて
人間のつくったもんなんて、ちっぽけ。

毎日日々悶々と過してる私にはちょっと
いい刺激だ。考えててもしょうがない動こう。

ベガスの記事も笑ったわ。
10年前に私もいったけど同じ様なこと思った。
あんなもんに金使うならビールもういっぱい!
だと思ったわ(笑)!血かね。興味全くなかった。

といいつつ、当時は100ドルをコインゲームで
すべてすりましたけど。。。(笑)
あれでギャンブルは金輪際絶対やらないと決めたわ。

Unknown (酔ゐどれ)
2008-09-14 19:57:43
インスピレーションスポットって
自然そのままなんですよね~
すごいなー
サクラダファミリアっぽいけど、
こっちのほうが凄いです~

ちっちぇえ。。。 (shoot)
2008-09-14 21:08:25
俺、ちっちぇえ。
■hirorin (まき子)
2008-09-14 23:26:34
我ながら、写真を見て「人間がなんてちっちゃいんだろう」って思っちゃったよ・・・。
最初見たときはHoodooがとっても小さいと思ってたけど、
実際に近づいてみたら、なんと大きなことか!
モミの木も、こんなに太いんだもんね~。
こんなところで一人になったら・・・都会には戻れなくなるかも!?
でも遥か昔の、ここを発見した人は、
どんな気持ちだったのだろう・・・とか思っちゃう。

■ぎっふぃいゆうちゃん (まき子)
2008-09-15 00:55:51
パソコン開いたの1ヶ月ぶり?!
ひさしぶり~~(笑)!!

でも、ほんと、人間の造ったものなんて、
とっても小さい上にすぐに壊れる。
それに比べて5000万年経っても未だ存在する自然の力ってすごいよね。。。
こういうのを目の前にすると、
自分の考えてることってちっちゃい!こんなことでクヨクヨしてちゃイカン!って思っちゃう。

ベガス、ゆうこちゃんも行ったことあるんだ~。
でも確かに「血」かね(笑)。
これが友達と賭けゲームってなら楽しそうなんだけど、
なんかベガスのあの雰囲気に興味がもてなくて。
■酔ゐどれさん (まき子)
2008-09-15 00:58:57
サグラダファミリア、おおー似てますね(笑)。
でも、サグラダファミリアは、コンクリートで作っているそうなんですが、
これだけ建築期間が長いと、昔建てたコンクリートの部分が老朽化していって崩れてしまうので、
次から次へと修復工事が必要になるそうです。
新築しては修復して、修復した部分がまた古くなったら修復して・・・
という魔のスパイラルに陥ってるそうで・・・。

それに比べて、修復いらずの自然のままのこの姿は
ホントにスゴイですよね。
■shootさん (まき子)
2008-09-15 00:59:52
ちっちぇーです。
私も。
人間なんて、ちっさいもんです。
簡易 (燗酒おやぢ)
2008-09-15 08:53:42
トイレ、と読んでしまった。(汗)
ホントに崖っぷちにずらっと並んでいたら…出るものも出なくなる? (笑)
■燗酒おやぢさま (まき子)
2008-09-15 09:30:40
おやぢさま、いらっしゃいませー!
もろもろ、お疲れ様でした~~。
ようやく落ち着いたでしょか。

私が立った崖っぷち、あれはマジで危ないです(笑)。
手すりや柵がないあたり「落ちたら自己責任」のアメリカですが。


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