★★★
3時間22分の超大作。
途中10分の休憩をはさむという、
これはミュージカル?と思うような大作っぷりである。
御巣鷹山の墜落を基に「国民航空」という航空会社の裏幕を描くのだが、
誰の目にも「日本航空」がモデルというのがわかる。
あまりにもリアルな実情に映画化不可能と言われた原作。
よりによって「JAL問題」が勃発しているこの時期の公開とは、、、。
「日本航空には乗らない」とか「JALに税金突っ込むのは反対」なんてことは
置いておいて、観て思ったのは、
出てくる人々がどういう形であれ信念を貫いている点。
主人公の渡辺謙は、家族を犠牲にしても自分の正義を貫く。
経営側にたった三浦友和も彼なりの「会社のため」という信念を曲げない。
三浦友和の愛人である松雪泰子も、三浦がやっていることは正しいとは思わないが、それでも愛する人のために動いてしまう。
渡辺謙の妻である鈴木京香は、主人が正しいと思うことをそっと後ろから支える。
香川照之にいたっては、冷飯を食わされた揚句、悪事に手を貸さざる負えず、
そのことを苦に自殺までしてしまう。
彼ら彼女らの姿勢は、僕たち「失われた世代」以降の年代には理解できない。
(主人公の渡辺謙ですら共感はしないし、そうなりたいとも思わない)
なぜそこまで「会社のため」ということに固執するのか?
これは、古き時代の日本を描いた作品である。
映画の最後に、渡辺謙の息子がそのことを指摘している。
「腐った会社」の一角を作った人たちと
「腐った会社」だけども少し光に希望を求め残る人々。
そんな古き日本的な考え方が見え隠れする作品だった。