Life is a showtime

やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

夕陽が眼にしみる―象が空を/沢木 耕太郎

2012-10-25 23:09:55 | 本・雑誌
夕陽が眼にしみる―象が空を/沢木 耕太郎


なんとも変な構成の本でした。
前半は旅に関するエッセイ。
後半は著者による書評。

まず旅のエッセイは、さすが沢木耕太郎。
やはり分かりやすく、そして面白い。
安定感あります。


そして書評パート。
驚いたのが、批判も含めて書かれていること。
今まで読んだ本で良かった本を紹介することは多々あるが、
ここまできっちり批判部分も書かれていることはなかなかなかった。

それが、この本を読んだところの違和感につながる。
それは著者のジャーナリスト的で真っ正直なところが出ているのだろう
これに「違和感」と感じるということは、
僕自身が偽善の世界に毒されているからかとも思ってしまう。


ちなみに本書で著者が60年代に読んで、
その後内部で甦ることがあった10冊はこんなカンジでした。


・真鶴/志賀直哉
・晩年/太宰治
・何でも見てやろう/小田実
・薄桜記/五味康祐
・チャンスは三度ある/柴田錬三郎
・橋のない川/住井すゑ
・剣/三島由紀夫
・今昔物語/小林秀雄
・立原道造詩集/小林秀雄
・ゴッホの手紙/小林秀雄


ちょっと読んでみようかと思う。

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日/中村 安希

2012-10-20 18:26:45 | 本・雑誌
インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日/中村 安希

旅モノのエッセイとしては、割と有名な一冊。
そして好き嫌いがはっきり分かれるであろう一冊。
アジア、アフリカを中心に回った女性の回顧録である。

通常の旅行記のような線ではなく、旅先の移動というものの描写が驚くほど少ない。
各国1~3都市程度をピックアップして、その街での現地人とのコミュニケーションを
20代とは思えない重みのある文体で描いています。
この重い文体が好き嫌いをわけるんだろうなぁと思います。

本書のタイトルである「インパラの朝」はケニアでのエピソードであるが、
ここを分岐点に旅のスタイルというか著者の変化がわかる。

ケニアのサバンナをバスで南下中、病気になり、体力的・精神的にもボロボロ
(このボロボロの道中に関して、もはや理解できないという人も多いだろう)
の著者が、一つの目標として定めて立て直しの意味を込めて出かけるサファリツアー。
そのツアーのある朝、悠然と何をするでもなく静かにたたずむインパラの姿を見つける。

それは彼女の時には傲慢にも映るであろう孤高の姿と重なりあったのは偶然ではないでしょう。

旅に出ると考え方が変わるということはよく言われますが、
もっと深い意味での考え方の変化という瞬間を本書で描いたんだと思います。


まぁ彼女のようなディープ(精神的も体力的にも重い)旅はできないな。

銃とジャスミン アウンサンスーチー、7000日の戦い/ティエリー ファリーズ

2012-10-10 17:53:19 | 本・雑誌
銃とジャスミン アウンサンスーチー、7000日の戦い/ティエリー ファリーズ


ミャンマー旅行を控えて読んでいた1冊。
アウンサンスーチーの立場から、多くの証言に基づいた回顧録のようなもの。

ビルマ独立の立役者を父にもち、イギリス人の研究者を夫としている
彼女の素顔というものに触れることができる。
20年にもおよぶ軟禁状態の時の様子や軍事政権との闘いをなぜこんなにも冷静に対応できるのか、
その冷静さがまた彼女の魅力でもあると思う。

本書のあとがきに、日本人記者 長井健司氏の殺害に関して少しだけ触れられている。
当時のニュースで聞いた記憶はあるが、すっかり忘れていた。

今、ミャンマーは少しづつ開放路線に舵を切りつつある。
その陰には、恐ろしく長い模索があったことを再認識されられます。

映画「最強のふたり」

2012-10-10 17:30:55 | 映画
★★★★


夏に全然映画を観に行けなくて、久しぶりに観に行った一本。
首から下が不随の富豪フィリップと
彼を介護することになった貧民層のドリスの二人のきずなを描いた作品。
障害者ネタにも関わらず、
全編明るいのはドリスのユーモア溢れるところからだろう。

本編中にもあったが、ドリスはフィリップを特別扱いしない。
この特別扱いしないというスタイルが、障害者の彼にとって新鮮なのだろう。
二人は意気投合していく、というかフィリップがドリスに魅せられていく。

エンディング、ドリスはフィリップに素敵な演出をしかける。
これがとてもさわやかで、この映画を観終わった時のすがすがしさとマッチしている。



特別扱いしない。
特別扱いばかりされてきた人にとって、それは特別。

未来をつくる企業内イノベーターたち/服部篤子

2012-10-01 08:32:13 | 本・雑誌
未来をつくる企業内イノベーターたち  企業の中から社会を変えるソーシャル・イントラプレナーの仕事術/服部篤子


会社の中での社会起業家的な動きをした10人の物語。
社会起業家というと、ボランティアではなく
あくまで採算ベースに乗った一営利企業として成り立たなくてはならない。
そこがNPOとかとは少し違う。

今回紹介しているのは、独立しての事業ではなく、
ある組織(会社)に所属してその中から変革をしようという人たちばかり。
社会起業家的な「世の中を良くしよう」的な人もいれば、
ちょっと??で、これを社会起業家の括りに入れるのはちょっと・・という話もありました。

ただ、それぞれの人たちの熱意、情熱、執念といったものを
物事を成し遂げるには重要であるということは伝わってきます。
普通の勤め人である僕にとっては、
組織でできること、組織だからこそできることというものもあるのだと認識させられます。

要は、やるかやらないか。
会社がダメだからというのは、あまりにも醜い言訳である。