ユーチューバー棋士、折田翔吾氏のプロ編入試験が最近の将棋界の話題になってるなか、最近読んで面白かった本
「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました」
プロ棋士 今泉健司
戦後最年長の41歳で将棋のプロ棋士になった男、今泉健司の半生を描いた自叙伝。
なかなか面白い本でした。
将棋のプロ養成機関「奨励会」に所属しながらも、年齢制限で退会させられるまでの絶望。
そしてそこから奇妙な偶然や人との出会い、本人の精神的な成長、そして再びプロ棋士への道が開かれるまでの出来事や心境などがありのままに描かれています。
当時同じ道を競った久保正利(前王将)、鈴木大介(ハチワンダイバーでおなじみ)、木村一基(千駄ヶ谷の受け師こと初タイトル獲得の将棋の強いおじさん)、渡辺明(将棋の強い魔太郎)、山崎隆之(NHKの公開収録でサインをもらったなぁ)などなど、たくさんの棋士が作中にでてきて、将棋ファンなら思わずニヤリとしてしまうこと請け合い。
ミュージシャンや漫画家などを目指した人も同じかもしれないけど、奨励会退会後の生活などは夢をあきらめた人にとっては思わず感情移入しちゃいそうです。
でも、この作品の骨子である
「夢をあきらめざるを得ない状況になっても、今まで努力してきたものは無駄にならない」
というのは、世の中の夢をあきらめた人にも勇気を与えてくれるのかな。
作中の個人的に好きな部分として(読むつもりの人はネタバレ注意)
奨励会を退会しなけらばならなかった時に贈られる退会駒を受け取らなかった
からの
諦めていたプロ棋士になることが出来たまでの15年に渡る伏線(事実なので伏線と言わないけど)などは胸熱 です。
また、再度プロ棋士を目指すために必要な(身元引受人である)師匠になってもらったのが株主優待生活で有名な桐谷広人さんだったりするのも、桐谷さんの意外な一面が見えてきて面白いです。
(その桐谷さんも棋界のさわやか風畜生(笑)米長邦雄とひと悶着ありましたが(笑))
昨年のビッグサプライズだった藤井聡太からのNHK杯での勝利は「最年長でプロ棋士になった今泉健司がプロ最年少でプロ棋士になった藤井聡太に勝つ」という話題性もあって一時期オレの中で(将棋界でも)話題になったけど、この本を読んでからだとまたひと味違った感動があると思います。
今泉健司四段、「泣き虫しょったんの奇跡」を書いた瀬川晶司六段と同じく、意外と文才あるのね
個人的には「泣き虫しょったんの奇跡」よりおもしろかったです。
興味のある人は本屋さんで!(自分は図書館で借りちゃったけど(笑))
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