しまくとぅば―方言俳句― 沖縄島南部・斎場御嶽再訪 宮古方言による 松原敏夫

破句破歌シリーズ

　　　　　　　　　　斎場御嶽再訪　十句 

ゆらりまーり蝶々ぬ夢やゆらりまーり 　（さまよって蝶々の夢はさまよって）

眼ゆ閉じりば酸素欲すふなぃずムイ　（森）ぬ金魚　 （眼とじたら酸素欲しなる森の金魚）

古代んかいぬ道ＣＤ音聞すき観光客 　（古代への路ＣＤ聞く観光客）

ンマツマアんざん（何処）かい行かでぃんまつまあ　 （世捨て人どこへ行くのか世捨て人）

神ぬぱなす（話）岩割りひらがなぬ神かかりゃ　 （神話割る岩ひらがな神おんな）

あがたん海んかい島ぬ見ーらいくす（後）んな闇御嶽 　（遠く海島がみえたら闇御嶽）

ぱにぽーり無惨ひらがなんぎ風吹きまーぃず 　（放りなげ無惨ひらがな風が吹く）

ぱにぽーり捨てぃる物やあぃずぬが魂すがま 　（放りなげ捨てるものありや魂よ）

すなーしうりすなーしあしばどぅ他界ぬ声 　（静かにし静かにきこう他界の声）

ゆらりむぬや鳥ぃがまと遊びぃあまいどぅ居ぃず　（さすらう者鳥と遊んで笑っている）