MAD DRUMS LAB. マッド ドラム ラボ

ドラム暦数十年の経験と豊富な指導実績で設立した 伝統をふまえつつ先進のドラムスクール

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ジョー・モレロとスティック・コントロール

2009-06-14 01:20:27 | Weblog

HPのMovieを更新しました。今回はジョー・モレロです。

Joe Morello (1928~)

私がジャズ界で、またドラム界すべてで敬愛するドラマーの一人
ジョー・モレロと言えばスタン・ケントン・オーケストラはじめ長年デイヴ・ブルーベック・
カルテットで演奏し素晴らしいソロとメロディックなプレイで知られ、中でもテイク・
ファイブ(Movieの4番め)
でのソロが有名だ。その後の彼はクリニックやスクールを
中心に活動し、モダン・ドラマー誌にコンスタントに記事を執筆していた。
それを集大成化した「マスター・スタディーズ」という教則本を出しているが(続編も出て
いる)、そのスティッキングは見事である。
93年にはGoing PlacesというビバップのCDをリリースし、翌年には2本の教則ビデオを出し
ているがこれが非常に優れものだ。パット・メセニー・グループで有名になったダニー・
ゴットリーブはモレロに20年以上も習っている。

実はジョー・モレロは有名な「スティック・コントロール」の著者であるジョージ・ローレンス
・ストーンに3年間師事していた。その後はビリー・グラッドストーンにも習っている。
以下彼のインタヴューから抜粋してみる。


[ジョージ・ローレンス・ストーンについて]
『グリップにはたくさんのアプローチがあるが、どのやり方であろうと長くがんばってやった
ら、それなりにいい結果が得られると思うが、ストーンは自然な体の動きを教えてくれた。
グリップにしても自然なアプローチの仕方があるということを。スネアに関しては実に多くを
学んだ。私はそれをジャズ的なイディオムとして使った。』

スティック・コントロールという本は非常に有名なので、少しドラムを研究した人は一度は見た
事あるいは使ったことがあると思うが、解説等がほとんどないので活用しきれていないのでは
ないだろうか。モレロによると『ストーンは教則本を書いたことがなかったし自分の考え方や
練習法など一切触れていない。それは個人に任せたのだろう。しかし彼は優れたテクニックと
ドラムコントロールを強調した初めての人だったと思う。さまざまな活用の仕方が分かっていれ
ば素晴らしい本で、p.5~7などは30通りもやり方がある』という。

[ビリー・グラッドストーンについて]
『当時Radio City Music Hallの専属バンドのドラマーですごいスネアドラムをプレイしていた。
スネアドラムテクニックは素晴らしく天才だ。スピード、ローレベルにおけるコントロール
そしてパワーがあった。ビリーに会った時、ストーンの教えてくれたすべてを更に補強してく
れた』

[自らの著書「マスター・スタディーズ」について]
『ストーンの「スティック・コントロール」と「アクセンツ&リバウンズ」の延長だ。』
(「アクセンツ&リバウンズ」のの最初にモレロの写真がありdedicated to Joe Morelloと
記されている)

『各ストロークを一定のポジションから始めアップストロークをやらずにダウンするだけ。
あとはスティックのリバウンドを利用する。ストーンはこのテクニックを3つのレベルでやった。
フルストロークは18インチ、ハーフストロークは5~6インチ、そして2インチレベルでやる。
これが上手くやれるようになったら2インチレベルと18インチのダイナミックレベルの間で
やれるようになる。つまりこれはスティックに十分息をつかせて元々始めた位置に戻らせるもの
なんだ。そうすることにより反射神経を鍛える事ができ両手を均等に鍛えることにもなる。
それがマスター・スタディーズでやろうとしていたこと。
これはストーンと一緒に書いたものなのさ。これは右と左それぞれの手を鍛えるというもの
なんだ。』

マスター・スタディーズの中で「スティック・コントロール」の手がどちらで終わろうとも、
その手だけでもう4小節プレイする4 bars vampというやり方を紹介しているが、これによって
右手も左手も全く均等のサウンドになるのだという。またStone Killerという手法も(ストーン
が教えてくれたもの)あるがこれも左右均等をねらったもの。



[ハンドテックニックの段階について]
『テクニックの発展の段階は3つあって
まず手首
次は前腕:ひとつはモーラー・ストロークといって鞭を打つようなアクションだ。(Movieの2番め)
ジーン・クルーパの本で学んだ。 誰もが最終的に辿り着くものでもある。モーラーでは1つの
アクセントしかつけられない。他方ストレート・フォーアーム・スローは多数のアクセントで
役立つ。
手首と前腕をうまく組み合わせられるようになると指にとりかかる。独自に指だけを鍛える。
そして最終的にすべてを合わせればいい』

[練習について]
『スティックコントロールを週に1回誰かを教えているとしたらまあ最低1日2時間の練習は
必要だ。20の練習をするよりも、5~6の練習にじっくり取り組む方がいいと思う。
数をこなすよりもどれだけ上手にやれるようになるかが重要なんだ。
だから焦らずゆっくり行こう。スピードがすべてではないよ。コントロール、サウンド、ドラム
の叩き方が大切なんだ。それができればスピードは自ずから身につく。』

[若いドラマーとルーディメントについて]
『最近のドラマーには1つのグルーヴしかないということが問題だ。彼らは柔軟性がないし、
リズムはとても固くてタイトすぎ、そしてラウドにプレイしすぎる。』
『ルーディメントの3大ベーシックはシングルストローク、ダブルストローク、フラム。
これをプレイしないというのはホーンプレイヤーがスケールをやらないのと同じようなこと。』

[自分のやりたい音楽をプレイできるようにするには]
『ドラムから自分の望む音を出すにはどうしたらいいかを知り、それを自分の思うように利用
できるようになること。そうすれば自分のやりたい音楽をプレイすることができるようになる。
言葉のボキャブラリーと同じことで20しか単語をしらなかったら表現するにも限界がある。
だがもっと知っていたら視界が開けるんだ。』

どうだろう文章だけではつかみづらい所もあるだろうが、エッセンスの一杯つまった言葉だ。
具体的なことは当方のレッスンで!