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僕とマクベスのいちゃいちゃ日記っ

愛機――マクベスで綴る、日常系プログ。
小説、アニメ、遊戯王 他

新作 【麒麟児パレッツ】

2010年08月15日 | 小説
新しいの書くよ~

管理人は何本も平行に書く事はできないので、今のところ、この作品に力を入れております。
次の部誌に掲載しようとかんがえているのですが、予定では完成は原稿用紙三百枚くらい。。。

非難轟々になること受け合いですwww

しかし、面白い作品は全てを凌駕する!
管理人は頑張りますよ~。掲載してくれるよう頼みますよ~。

テーマ
文章
物語のプロットは完全にできているので、あとは文章にこだわるのみ!
こうしてキャラの薄い小説が出来上がるのですが。。。。

んじゃあ序盤1Pだけ載せちゃうよ!


麒麟児パレッツ

#序章

 駅から家へ帰る途中、随分遅くなってしまったなと、俺は誕生日に買ってもらったシチズンプロマスターの手巻き式腕時計を見て反省した。銀色にコーティングされたモデルで、買い与えられた時は心躍ったものだが、後々バッタ物であることが判明した。
 まあ一般家庭で平凡に育っている俺じゃあバッタ物がちょうどいいだろう。本物をもらっても管理に困るだろうし。
 時計のガラスが艶(つや)やかに輝いた。まるで精巧にカットされたルビーを太陽の光に翳(かざ)したような焔色をしている。薪が折れるような音もした。遅れて、鼻を突く煙の臭いも漂って来る。
俺は顔を上げた。紺色の空をまるで侵食するように、緋色が勢いよく空に手を伸ばしていた。我が目を疑うってのはこう言う事を言うのだろう。
三階建のゴシック建築の館が真っ赤に燃え盛っていたのだ。
 俺は馬鹿みたいに口をポカーンと開けたまま、まるで夜空に燃え移ろうと必死に火の手を伸ばしているかのような炎を眺めた。煙のせいで炎の半分は隠れているが、それでも、火柱はかなり高い。燃えてから結構時間が経っているようだ。
 この館は教会だった物をリフォームして造られたものだ。どっかの画家のアトリエだと聞くが、大して興味は無かった。不思議な言い方だが、芸術家が教会を買い取るほどの奇人である事は珍しく無いし、主人は殆ど部屋にこもりっきりのため、軽快に朝の挨拶を交わすような間柄ではなかったのだ。
 とは言え、そんなバックボーンはこの際意味を持たない。燃えているのが画家の家だろうと、農家の物置小屋であろうと、はたまたホワイトハウスであろうと俺がする事は変わらない。通報だ。
 消防車の電話番号を瞬時に思い出す事が出来なかった。自分では冷静だと思っても、実際はかなり困惑している事が分かる。
こういう時、親父は深呼吸しろとよく言っていた。職業柄緊張する場面が多かったであろう親父は、きっと『緊張慣れ』していたんだと思う。俺は彼の言うとおり大きく深呼吸した。少しくらいは落ち着いた気がする。
 教会の名残であるステンドグラスが、まるで内側から金槌で叩かれたかのように割れた。館は今崩れようとしているのだ。中に人はいないだろうか。俺はようやく思い出した消防署の電話番号を押しながら、まるで水面に浮かぶ餌を食べる亀のように首を長くして、塀の向こうを見た。


続く