まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その17

2014-03-29 21:33:21 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
春ですねぇ。

木々に葉が、そして花もちらほらと見えだしています。

皆さま、今日の一日をどうお過ごしでしたか。

春分過ぎてから急に春めいて・・・

詩の製作の方は、一進一退で、少し書いては行き詰まり、
行き詰っては考え書きなおし、そしてまた数行進む、という感じです。

まあ何とかできるだけ進めます。

では、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その17

  いらっしゃい とナヲキさんは笑った
  久方ぶりに 笑った気がした
  今日は・・・ああバースデイケーキだね
  そう と女性が照れ笑いをした
  ウチのオーブン 壊れちゃってー

<つづき>

ウチのユウくんに 作ってあげたかったけど
と少し残念そうな顔をした 女性は
でも と言って明るい笑顔になった
ケーキデビューが ナヲ君のなんて
ウチの子 ぜいたくだよね

はは とナヲキさんは曖昧に笑った
誕生ケーキ・・・作ったよな
ナヲキさんは 急いで頭を巡らせた
ケーキとおめでとうプレートを思い出した
うん・・・作った作った

けど それが目の前の人の子の
生涯最初の ケーキだと思うと
今から 作り直したい気に駆られた
なんで 気がつかなかったんだ
ナヲキさんは 自分を責めた

父親の厨房で いつも明るかった人
父親のレールしか 見えなくて
無力さと反発で 縮こまってた自分に
いつも 助けと励ましをくれた人
父親の基準が全てでないと 伝えてくれた

今 持ってくるからちょっと待って
ナヲキさんは 動揺を押し隠して言った
ケーキを出して 女性に見せる
こちらで お間違いないでしょうか
うわぁ と女性は声上げた

子供向けに シンプルに
でも素材のおいしさが 伝わるものを
それが この女性の注文だった
そういう組立てに しといたはず
ナヲキさんは おぼろな記憶にうなずいた

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その16

2014-03-28 21:24:04 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
春分過ぎてから、急に暖かくなりましたね。

この勢いで、何とか春気分を乗せてお届けできると良いのですが・・・

週末に期待です。

どうぞ、楽しい週末をお過ごしください♪


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その16

  ナヲキさんは 厨房に飛び込んだ
  もう来ていた 他の人たちが驚いて
  異様な顔つきの ナヲキさんを見た
  けど ナヲキさんは構ってられなかった
  何かせずには いられなかった

<つづき>

ナヲキさんは 改めて
ケーキ作りに 打ち込んだ
一瞬でも 止まってられなかった
どす黒い何かを 振りはらうように
ただただ 手を動かしつづけた

その日も 朝からどんよりしていた
数日前に雪が降り それから
連日 小雨がぱらついていた
大雪になるでしょう と予報は言ってた
できるだけ 外出はお控えください

ナヲキさんは独りで 厨房にいた
早めに上がっていいですか
と スタッフたちが言ってきていた
好きにしろ とナヲキさんは言った
人と話すのも わずらわしかった

カランカランと ドアのベルが鳴った
誰だろう とナヲキさんは思った
少し待っても 誰も応対する様子がない
舌打ちしながら 厨房を出た
クローズの札を 誰か出し忘れたな

そこにいたのは 旧知の女性
死んだ父親の代に この店で働いてた
派手ではないけど 優しくて着実
その笑顔のような 味を出していた
久しぶり と笑っていた

いらっしゃい とナヲキさんは笑った
久方ぶりに 笑った気がした
今日は・・・ああバースデイケーキだね
そう と女性が照れ笑いをした
ウチのオーブン 壊れちゃってー

<つづく>

人気ブログランキング ※本作品の内容・名称は全て個人の創作・フィクションであり、 実在の個人・法人・企業等とは、全く一切関係ありません。


※変更:2016年1月9日
死んだ父親の代に この店で働いていた → ~ この店で働いてた
その笑顔のような 味を出してた → ~ 味を出していた

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その15

2014-03-28 21:18:31 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ども、お今晩は~。
皆さま今週はいかがお過ごしでしたか。

本作品、ジツはまだ書き終わってないのですが、
創作って孤独なものだなー、と最近思ったりします。

いや、独りで寂しい、とかそーゆー意味じゃなくてですね。

どんなに人が助けてくれても、アドバイスとかくれても、最後は独り、というか
「何が自分の作品にとって最も適切なのか」は自分にしか分からないし、
見出せるのは自分しかいない、んだなぁ、って思うのです。

これ、創作に限らず、スポーツとか他の分野でもそうですよね。

というわけで、裡にあるはずのまかろんの「書きたいこと」、
早く外に出て!お願い!!

さ、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その15

  他人を踏みつけたって 構わない
  ごうごうと 幾千幾万の声が合唱した
  やらなきゃやられる 周りは敵だ
  利用しろ ぶっつぶせ
  俺の私の 場所を空けろ守らなきゃ

<つづき>

怒号が 暗い炎を上げていた
桜はその中で 誇らしげに枝を伸ばし
炎から飛ぶ火の粉を 一輪
また一輪と 花と変えて
つややかに その身を装っていた

黒い太陽のような 火の桜に
蛇は するすると近づいていた
その白い背中は 黒い炎の前で
あまりにも小さく 頼りなく見えた
ナヲキさんは 首に手をやった

冷たく 決して感じは良くなかったけど
離れた今 妙に首が寒かった
大事な何かが 転がり落ちて
今それが 永久に喪われていく
そんな気がした

ナオキさんは 頭を振った
俺には関係ない と目をつぶって思った
俺は ただのパティシエで
俺の使命は ケーキを作ることで
俺はきちんと 役目を果たしてる

俺は・・・ とナヲキさんは
店に向かって 駆けだした
俺は 俺の仕事を果たさなきゃ
もう振り返らなかった 背後の気配にも
雪が ちらちら舞いだした

ナヲキさんは 厨房に飛び込んだ
もう来ていた 他の人たちが驚いて
異様な顔つきの ナヲキさんを見た
けど ナヲキさんは構ってられなかった
何かせずには いられなかった

<つづく>

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その14

2014-03-27 21:36:53 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
いま2018年なんですけど、夏休み子ども科学電話相談という
N●Kのラジオ番組があるらしいですね。

子どもさんたちの発想の意外さ、小さいながらの真剣さ、
対する大人たち(各分野の専門家さんたちと名アシストのアナウンサーさん)
との受け答えの見事さなどが毎年評判で、
ついったーでたくさんの人のリポートを見ることができます。

2018年8月3日に、とあるお子さんが「人間はなぜ争いをするのか」と
質問をなさいました。

それに対する心と体の科学専門の先生は、
「お父さんとお母さんは仲良いでしょ?お友達とも仲良いでしょ?人間は意外と仲良しだよ」

・・・。

いや、お子さんの周りはそうかもしれないけど、
お父さんが勤めてる会社でうずまくパワハラやブラック労働とかさぁ・・・

お母さんはお父さんの転勤で、せっかくの技能を生かせる仕事をやめて、
パートしか仕事が得られなくなって・・とかさぁ。

お子さんが大きくなって通う中学でのスクールカーストだの、
ネットでのいじめだの、部活の顧問からの児童虐待とか・・・


みんな、みんな、どっかしらで抑圧されて、
その苦しみを自分より弱い誰かを踏みつぶすことで取り返そうとして。

その中で何とか生き延びようと、みんな必死なんじゃん。


そういうのを小さな子供に伝えることって難しいだろうけどさ。


ド汚い本音でこの世界は、人々は動いてる。
あまりに汚いので、その本音で得する人たちは、
みんな仲良しー!という綺麗事で人々の目をくらませようとするし、
あまりに汚いので、多くの人たちも目をつぶって見えないことにしてしまう。

見たら、ド汚いルールに従わされて搾取されている、
それを覆す力もない、苦しいみじめな自分を直視してしまうから。


だけどさ。

うん、小さなお子さんに言わなかったのは仕方ないんだろうけどさ。

でも・・・綺麗事を教えられてそのルールを一生懸命守って、
で、ある時気が付くんだ。

こんなにちゃんとお父さんお母さんの言うこと守ってきたのに、
なんで僕は何も手に入れられてないんだ?・・って。


世界は混乱と争いに満ちています。

人々は心では汚い本音をわしづかみにしながら、
頭では綺麗事で動いているつもりになっているから。

だからお道徳(お道徳ぶってる宗教も)はとんちんかんなのです。

本音という、人の行動の源流に手を伸ばさないと。
上から蓋をするだけでは何千年経っても世界は変わらない。

人々と自分の本音から、解きほぐす必要があるのだと思います。


もっともっと、世界は笑いと創造性と自由が増せば良いと思う。

誰かの「都合」優先の世界の支配を弱めたり断ち切ったりするのが、
人々の笑いと創造性じゃないかな、と思ったりするのです。


この作品から4年経っても、
まだ人間の本音の端をかするくらいしかできてないけど。
一歩ずつ、一行ずつでも、進んでいけたらと思います。


ではっ、続きです~。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その14

  これくらい気をきかせろよ グズが!
  怒鳴るだけ怒鳴って 男は作業に戻る
  言われた人の顔は 強張って
  周りは 気まずく目を見かわす
  男はただ 自分の手元だけ見つめてた

<つづき>

シェフ・・・ 
と遠慮がちな声が 聞こえる
事務のことで お話が・・・
後にしろ後に と男が応える
今忙しいんだ 見りゃ分かるだろ?

どいつもこいつも 役立たない
また薄暗い部屋で 男は独りののしる
男の顔はこけ 目はギラついてた
余計な手間ばかり かけさせて
男は 暗い窓の外を見る

何も見えない 窓の向こうに
男は 掴みかかるような目を向けた
その身体から 吹き上がる暗い炎
男の唇が音に出さず つぶやく言葉を
ナヲキさんは 知っていた

サクラ・・・
とナヲキさんは つぶやいた
はっと 桜の方を振り返る
綺麗だとばかり 思ってた桜は
どす黒い炎をまとって 咲き誇ってた

風もないのに 豊かな枝が揺れる
揺れるたびに 音のない声が耳に響く
男の声 女の声 うめき罵り呪う声
まだ足りない と喚いてた
金が成果が名声が もっと俺に私に力を!

他人を踏みつけたって 構わない
ごうごうと 幾千幾万の声が合唱した
やらなきゃやられる 周りは敵だ
利用しろ ぶっつぶせ
俺の私の 場所を空けろ守らなきゃ

<つづく>

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新作 : 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その13

2014-03-27 21:36:21 | 「乱櫻鬼譚~」 2014桜
ども、お今晩は~。

皆さま、お元気にされてますか。

Yahooトップページで紹介されていた話なので、とうに観たよ!と
いう方もいらっしゃるかとは思いますが、
「恋のフォーチュンクッキー」の歌詞を古文体にした上で初音ミクに歌わせた動画が
今話題になっているようです。

サイトはこちら→ YouTube「恋ひたる辻占煎餅」

何がすごいって、古文体歌詞を音に詰め込むでもなく、
歌詞の意味を全く変えずに、ぴたりと音に合わせてるのが、ホント、凄いと思います。

ミクちゃんの調声も、滑らかで綺麗です。

才能って、ホントどこにでもいるんだなぁ、とこういうのを見るたびに思います。

うん、コミケ行くたびにも思うけどね。

ではっ、続きでーす。


2014年3月21日~ブログ直接投稿 「乱櫻鬼譚 ~ カミ咲けるヒト」その13

  お時間をとらせて すみませんでした
  さあ・・・ 貴方の世界にお帰りなさい
  蛇は背を向け 桜に向かって進み出した
  ナヲキさんは あっけにとられて
  遠ざかってく 白蛇を見つめた

<つづき>

何だよ とナヲキさんは思った
分かってたんなら 最初から呼ぶなよ
俺忙しいんだぜ 店だってあるし
新作ケーキだって・・・
桜が ざわっと色を増した

ナヲキさんは ぞくっとした
俺・・・帰っていいんだよな
自分に言い聞かせるように そう思った
あの蛇が そう・・・言ってたんだし
神霊とかなら 何とかするよな

ナヲキさんは 振り向いて
帰り道を 一二歩歩いた
背中に 大きな気配を感じた
燃え上がるような 渇えの気配
ダメだダメだ もっとだもっと

耳の奥で 男がうなる声がした
荒々しい 怒りと拒絶に満ちた声
男が一人 薄暗い部屋でうつむいていた
台に散らばる お菓子の材料
食べかけのケーキ 覚書きの山

ナヲキさんは はっと立ち止まった
同じ部屋は 明るくなって
人が何人も 立ち働いてる
何やってるんだ! と怒鳴り声
怒鳴っているのは さっきの男

これくらい気をきかせろよ グズが!
怒鳴るだけ怒鳴って 男は作業に戻る
言われた人の顔は 強張って
周りは 気まずく目を見かわす
男はただ 自分の手元だけ見つめてた

<つづく>

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