「つらいよ・・・」
深夜、弱音を吐いた。
相手は、今回の一件で『友人』から『恩人』になった人。
間髪を容れずに、言ってくれた。
「今から会おう、会える?」
―彼女は数日前、私がいちばんつらかった日にも、夜な夜な
そばにいてくれた。
泣いて泣いて、ろくに話すこともできなかった私を
アールグレイの湯気越しにじっと見つめて
嗚咽にまじって時々やっと聞き取れる程度の話にも
ていねいに頷いた。
すきをみてかけてくれる言葉の一つ一つに意味があって
言葉ひとつごとに、私の心は軽くなってゆく。
彼女はカウンセラーの資格をもっている。
けれど、その『素晴らしい資格』以上に、『人間として』素晴らしく
心から尊敬し、信頼できる存在。
しばらく海外に住んでいたけれど、少し前にこちらへ帰ってきた。
こんな友人をもつ私は、例え今現在どうであれ、幸せものに違いない。
もしも彼女がいなかったら・・・・・・。
そう思うとぞっとする自分がいる。
会おうといってくれたけれど、もう深夜だった。
今から・・・は、さすがに。
で、電話で話を聞いてもらった。
「なんかね、ご飯も食べられなくなっちゃったみたい・・・あはは」
「あははじゃないでしょう」
「ごめん」
「さては生キズ・・・やったね・・・自分でやったね?」
心もキズをし、血を流すんだってこと、彼女が教えてくれた。
見えないけど、今の私の心はどう考えても、大きなキズが口を開いて
どくどくと血が出ているらしい。
「また自分を責めて、傷口を『わざわざ』開いたんでしょ?」
「・・・」
「自分を大切にして、ってこの間言ったばかりでしょう」
彼女はあの日、私にいくつかの問題点を指摘してくれた。
自尊心が低いこと。自分を大切にしていない。
アイデンティティについて認識が希薄。
などなど・・・。
他にもたくさんあったが、ときどき英語で説明を受けたりしたので
うまく表現できない。
「別れは辛いものなの、絶対に。どんなに憎みあうような関係でも
依存し合っていた存在が消えてしまうのは、誰しも心をえぐられる
ような辛さがあるの。誰だってそうなの!」
「うん」
「それに、何も別れは、一方だけが悪いわけじゃないってのはわかるよね?」
「わかる」
「わかっててなぜ自分を責めるの? 自分で追い込むの?」
「・・・迷惑かけた、たくさん」
「自分を責めたら、何か変わる? 迷惑かけたこと。
(たぶんまわりは、そこまで迷惑だなんて感じてないと思うけど?)」
「・・・」
「自分を大事にしてあげて、今は過保護くらいでいいと思うの」
「そうかなあ・・・」
「自分を大切にしないで、人を大切になんかできないよ」
「・・・・・・」
他にもたくさんの言葉をくれた。
それは、本当に、心にひびくものばかり。
長くなったので、続きは次回へ・・・