デパートの美術画廊をそぞろ歩きするのは私の趣味のひとつです。
最近、不要不急の外出は避けていたので、なかなか地元から出なかったのですが、
東京に出る用事ができて、帰りに立ち寄ってきました。
すっかり、夏らしいお道具で埋め尽くされていて。
やはり時節柄、茶箱が沢山。


裏千家では8月は大体茶箱を使ったお稽古をします。
茶箱には、小さなお菓子入れ(振出)、茶碗、茶筅、茶入、茶杓などのお道具が
仕組まれていて、コンパクトにお茶を楽しめます。
どの箱に、どのお茶碗をいれようか?と楽しくなります。
選んで入れれば、自分好みのお道具箱ができあがるんですよ。
ガラスでできた茶碗や振出、薄器も、この時期ならでは。
江戸切子の紫の振出(平山紋治作)、結構大きめだけど、茶箱に入るのかしら?
金平糖入れたら透けてきれいだろうな。
お菓子を出す時には、カラカラと涼し気な音がするかしら?
青楓に流水の絵が描かれたガラスの器に木地の蓋の薄器(塚本規義作)。
見るからに涼し気。抹茶を入れたら、緑が透けて更に爽やかになるのかな?
想像が膨らみます。


私は、この鉄線が浮き彫りになっているガラスの茶碗がとても気に入りました。

他にも花火や酸漿など夏らしい柄や形のお道具がいっぱい。
楽しくて去りがたい。



その中で、ひときわ目をひいたのが、中村翠嵐作 『木槿に鷺草 茶碗』
ガラス棚の中に入っていたのですが、
美術画廊の方に「ガラスでできているんですか?」と質問をしたら、
「完全なガラスではありませんが、ガラス素材を混ぜて作っています。
覆輪も最近は塗るだけのものもありますが、きちんと作っています。
翠嵐さんの最新作ですよ」と。
棚から出して下さり、快く拝見させて下さいました。
写真も撮っていいとご了承頂いたので、皆様にもこうしてシェアできました。
ちょっと茶道具とは思えないモダンさ、洋食器みたいな雰囲気がありますね。
「お茶を点てると緑がとても映えます。」とのことでしたが、そうでしょうね~。



他にも、中村翠嵐作 『末広浅黄交趾 水指』。
スカイブルーとすっきりとした形が夏らしく爽やか。

私が初めて翠嵐さんのお道具を拝見したのは2007年でした。
それからも何度となくお道具を拝見していましたが、今回の真っ白なお茶碗は
すごいインパクトがあって、出会いだなあと思いました。
いつものことながら、季節を道具に落とし込み、楽しむ日本人の感性に改めて感心しながら、
美術画廊をあとにしました。
ご参考までに、交趾焼の記事と、翠嵐さんのHPを添付します。
交趾焼 中村翠嵐
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/4b284a72b31ff04f56bc6493b92e2760
中村翠嵐HP
https://www.suiran.jp/01message.htm