月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

坂東玉三郎 すべては舞台の美のために

2010年09月07日 | 能楽関連書
 
坂東玉三郎 すべては舞台の美のために (和樂ムック) 小学館 2009/4/5

先日、南座売店で購入。

巻頭に玉三郎のお化粧を移したものが載っている。50万円の写真集『五代目坂東玉三郎 特別愛蔵版』には絹の本物がついているのだけれど、こちらはもちろん印刷。いや、充分です(v_v)。

ここ数年「和樂」で扱った玉三郎の連載などをまとめたものなので、舞台写真は最盛期のものよりも、近年の老け役や能曲もの、そして昆劇などが主体。

しかし、その分、舞台裏や役者の内面性についての情報がぎっしり詰まっていて、思いがけない拾い物だった。丸二日かけて読破しました。

たとえば、子供時代守田家へ養子に入った頃の雰囲気とか、田中佐太郎さんとは幼なじみでよく能楽堂へ一緒に通った仲だとか、小道具ひとつへのこだわり、装束復元のため織機から作り直す情熱、楽屋の化粧台の作りやしつらい、鼓堂や昆劇との関わりなどなど。

一観客としての好みや満足度とはまた別の観点から、半端ではないその役者魂にひたすら敬服。

なにより驚きだったのは、最終ページが、青い海の底へ潜っていく玉三郎の姿だったこと。「月刊ダイバー」提供写真って…。そんなことまで本格派だったとは…。


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