Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール

2007-12-12 | 外国映画(は行)
★★★★ 2001年/フランス 監督/イヴァン・アタル

「実に愛すべきおのろけ映画」


<スター女優シャルロット(シャルロット・ゲンズブール)を妻に持つスポーツ記者のイヴァン(イヴァン・アタル)は、街中でもプライバシーがないことに辟易の毎日。しかも明日からシャルロットは、プレイボーイ俳優ジョン(テレンス・スタンプ)と共演する新作映画の撮影でロンドン入り。嫉妬に悩むイヴァンだが…>


今作品は実の夫であるイヴァン・アタルが監督。作品の中でも夫の役。虚実ないまぜになって、マジなのか、映画としての架空の話なのか、その辺りを楽しむ軽やかなラブコメディ。見た後も微笑ましくて嬉しくなる映画です。

「妻が女優だと他の男とラブシーンがあるだろ?それでもアンタは平気なのか?」と通りすがりの男に絡まれるイヴァン。イヴァンはそいつに言い返します。「俺の妻で勃起するな!」とね。ところがどっこい、そのイヴァン自らが監督でありながら、何もかもさらけ出し、妻のあえぐ顔までスクリーンに登場する。つまり、この映画がそういう輩に対する答えなんでしょう。映画の中でどんなシーンを演じようと、俺はシャルロットを愛している!というね。おのろけもここまで来ると、微笑ましくて拍手したくなるほどです。

イヴァンは彼女と結婚した時からこういう質問を何度も受けているんでしょう。作品では女優の夫としての利益・不利益、嫉妬心、やっかみ、全てが暴露されています。この映画を作ったんだからもうそんな質問は終わりにしてくれ、と言わんばかり。イギリスでプレーボーイの男優と共演中。嫉妬に駆られてユーロスターに飛び乗るシーンはゲラゲラ笑ってしまいました。コメディとしても結構イケるんじゃないですか?噂話に一喜一憂し、猜疑心で右往左往する様子は、かなり笑えます。

しかも、妻が共演者のテレンス・スタンプとも一夜を共にしたのではないかとおぼしきシーンまであります。つまりそれは、女優の妻なんて共演者と何かあっても不思議じゃないさ、という自虐ネタとも言える。夫の気持ちがストレートに反映されているようで、実はその裏に込められた密かな思いもかいま見える。その二重構造がなかなか楽しい。

フライトアテンダントのコスプレあり、ドレス姿あり、カジュアルルックありとシャルロット・ゲンズブールのファッションもステキ。そして、イヴァンを誘惑する演劇セミナーの少女役がリュディヴィーヌ・サニエ 。フレンチ・ロリータ、と呼ばれたシャルロットも結婚したし、次はキミねって演出。大人の男を「私のベイビー」とリュディヴィーヌに呼ばせるあたり、昔のシャルロットをかなり意識してます。そういうお遊びもなかなか粋な映画です。