歯科界は日進月歩...

名取市のライフタウン歯科クリニック 院長のひとりごと。。。

カンジダ性口内炎

2009-03-26 00:06:28 | お仕事
かれこれ10数年ぐらい前から、施設訪問診療に行っている。

開始当初は依頼があった時のみ行っていた。
すべてが初めての経験なので試行錯誤の連続。

治療希望者が増え、ここ10年は毎週1回スタッフ全員で訪問診療。
でも、少ないスタッフで100名を超す入所者相手では、毎回慌ただしくてじっくりと診ることができない...
代診の先生をお願いしても完璧にマンパワー不足。


最近やっと落ち着いて、治療からケアへシフト。
でも正直、週1回の口腔ケアには限界が・・・

介護の現場では、看護師さんも介護士さんもフル稼働。
彼らも口腔ケアの重要性はわかっているが時間がない。

世の中、仕事がないといってるけど、介護の現場は明らかに人手不足。
しかし、そこには悲しい現実が。。
現在の介護保険の報酬では、必要最低限(いや、それにも満たないか・・・)のサービスしか提供できない。
介護職員にとっても超ハードな仕事の割には低い賃金となってしまう。
そのためかスタッフの入れ替わりが激しく、なかなか継続して口腔ケアを指導するのは困難な状況。

保険料を上げるわけにもいかず、現行の決められた介護報酬の中ではこれが限界か。
介護の現場にはものすごいジレンマが渦巻いている。


入所している方は、ほとんどが体力の落ちているご老人。
そのために、普段では負けないような口腔内細菌にも負けて感染しまう場合が多々ある(日和見感染)。

そのひとつがカンジタ菌。
これは真菌といっていわばカビの一種。
感染すると様々な症状を呈するが通常のブラッシングや歯石除去では改善しない。
そんな場合には抗真菌薬が効果的。
写真は抗真菌薬の一種「ファンギゾンシロップ」
1日3回の使用が必要。
残念だが、週1回しか訪問しない我々には投薬管理は無理なこと。
そこで施設長と相談の上、看護師さんや介護士さんの手を借りることに。
たったひとつのことを始めるのにも、十分な理解と多大なるが協力が必要なことを痛感。

しかし、口腔内の灼熱感等で苦しんでいる患者さんの改善になればと思い、根気よく続けていきたいと思います。
入所者の晴れ晴れとした笑顔見ることができれば、苦労は吹き飛ぶでしょう。


老化は誰もが避けられない道。
我々の訪問診療が、QOL向上の一助になれば幸いです。

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