安倍元首相の国葬について(更新)

　9月27日に行われる安倍元首相の国葬だが､21日には国葬反対派とみられる男性の“焼身自殺”騒動が発生。更に23日には､｢ポストセブン｣が国葬の企画演出の入札に参加したのが1社だけだった事を暴露し､様々な波紋を広げている。
　岸田首相が国葬を宣言したのが､安倍元首相が亡くなった僅か6日後の7月14日。その後､同月22日の閣議で国葬の実施を強行決定した。

　故安倍氏にては､生前から“モリカケ桜”をめぐる疑惑が大きく報じられ､死後も統一教会との密な関係も明らかになった。が故に､世間からは国葬実施に反対する声が相次いだが､国葬の実施を国会を通さず閣議決定のみで決めた岸田首相に対しても､批判が殺到した。
　結果､岸田政権の支持率は大きく低下し､毎日新聞の世論調査(9/17~18)では過去最低の29％を記録。また､FNNが同期間に行った世論調査では､国葬に”賛成”は31.5％､”反対”は62.3％で､反対が賛成を大きく上回った。
　更に､自民党内部からも懐疑的な声が上がり､石破茂元幹事長は”国葬には国会の議決が必要”との考えを示した。村上元行改担当相も国葬への欠席を表明し､”反対が多い中､なぜ強行するのか”と述べた。

　国内では”針のむしろ”状態となった安倍氏の国葬だが､岸田首相は(国葬の実施にて)再三”弔問外交”の価値を強調。だが､G7からの首脳級の参列はトルドー首相(カナダ)のみで､安倍氏と友好関係を築いてきた筈のトランプ元大統領やオバマ元大統領らが参列しない事も明らかに・・・
　各国の首脳級が参列しない事については､国葬とほぼ同時期にNYで国連総会が開催され､”(国葬の為に)わざわざ日本に来る必要がないのでは”とも指摘されている。
　更に､(前述した)国葬反対派とされる男性が体に火をつけてやけどを負った事件は海外でも広く報じられ､安倍元首相が抱えていた“闇”を世界中に強調する形となった。
　以上､｢女性自身｣から一部抜粋でした。

ヌカに釘､豚にも国葬？

　”ヌカに釘”とは､いくら言っても手応えがないという意味で､極論を言えば”アホ臭でバカバカしい”となる。一方で､”豚にも真珠”とは､本来は価値があるものなのにわかってくれないとなる。
　私は､”国葬”というものが(人類の歴史を振り返ってもみても)本来価値があるものかどうかについては､非常に懐疑的である。
　先日行われたエリザベス女王の国葬も(ダイアナ妃の結婚式と同じく)”アホ臭”で見る気も起こらなかった。そういう私には､クフ王のピラミッドや前方後円墳ですら､アホらしく思える。

　ウイキよればだが､国葬とは国家にとって特別な功労があった人物の死去に際し､国費で執り行われる葬儀の事とある。
　日本では古来､天皇の崩御などの場合に大喪(国葬)が発せられる慣習があったが､第二次大戦後､”国葬令”が失効した事で､”天皇の特旨により国葬を賜う”という規定はなくなった。
　天皇皇后以外で国葬が行われた初めての例は､1967年の吉田茂元首相の(閣議決定による)国葬儀であった。今回の安倍氏の国葬も､多くの国民が反対する中､国会の承認すら行わず(国の儀式開催を規定した)内閣府設置法を法的根拠とし､閣議決定により国葬儀が強行される事となる。
　アメリカでは､大統領経験者は国葬の対象となる。基本的に大統領在任中の政策等の評価とは関係なく国葬となるが､任期途中で辞任したニクソンは個人的に国葬を辞退し､実行されなかった。また､F･ルーズベルトの葬儀はルーズベルト家の私葬であった。
　なお､軍人ではパーシング､マッカーサーも国葬の対象となり､1921年には第一次世界大戦で戦死した無名戦士の為の国葬が行われた。
　イギリスでは､国葬の対象となるのは原則として国王で､厳格な儀典に基づき儀式が進められる。例外として､国家に特段の功労があった者に国葬を行う事もある。
　アイザック･ニュートンの国葬は理解できるが､(日本への原爆投下を強く推し進めた)Wチャーチルの国葬は日本人の私には全く理解に苦しむ。
　

最後に〜泣きっ面に国葬？

　こうしてみると､国葬というものが(国家へ功績や忠誠とは関係なく)厳格な儀式に近いものである事が何となくだが理解できる。
　しかし､葬祭マニアではない私には国葬の定義を振り返ってみても､イマイチよく理解できない所もある。
　頭が悪いのかもしれないが､国葬や国葬儀であろうが､国民葬や合同葬であろうが､内閣が関与しない葬儀であろうが､多額の税金(国費)を使った時点で何だかな〜って気もする。だが､我ら大衆の一般的なごく普通の葬儀でも､地方自治体からは3万円ほどの葬儀見舞金が出るので､強くも言えない。

　確かに､”人類は法の下では平等”だから特定の人だけに多額の税金を使い､壮大な儀式に仕立て上げるのは､民主主義に対する冒涜の様にも思えなくもない。
　葬儀を(やりたくても)行えない貧しい人たちに､税金を使ってのささやかな儀式を行うのであれば納得は出来る。つまり､貧しい人たちの為に国が(代わって)葬儀を行う事こそが国葬の本質ではないか。
　少なくとも､ごく一部の特権階級や金持ちの為だけに国葬を行うべきではない。
　故に､将来は地方自治体が一括して(火葬だけじゃなく)葬式をも取り扱うのが理想的に思える。

　因みに､(市が取り仕切る)火葬費は1万ほどだから､葬式も(火葬と合わせ)2万程で出来る計算にはなるが､実際には(安い)火葬式とても20万近くする。それに坊さんのお経代に10万ほど掛かる。
　一生に一度の儀式に”ケチ臭い事を”って指摘を受けそうだが､人類の生存戦略から見ても儀式は安く少なく済ませた方が､有利な事は明らかである。

　もし､地球上に”国葬”という儀式がなくなれば､もっと言えば国葬という概念すらなくなれば､葬儀に対する我ら庶民の考え方も一変するかもしれない。
　皇族とて､結局は普通の人間である。王様だってウンチはするし､ゲロも吐く。女も買うし､キャバクラ通いもする。王女だってその特権身分を使い､ディスコやホストクラブで羽目を外す事もあろう。それに､総理大臣や著名人なんて､もっともっと普通の人間である。
　どうも私には､今の時代に”国葬”という言葉がペテンに､いやインチキ臭く思える。

　安倍元首相が亡くなって､2ヶ月以上が経つ。今回の騒動が故安倍氏の顔に泥を塗る事にならなければいいのだが・・・
　”泣きっ面に国葬”じゃないが､本当に辛いのは暗殺された挙げ句に､泥を塗られる羽目になる安倍氏本人かもしれない。
　”国葬なんて冗談じゃない。そんな事やったら､俺は日本だけでなく世界の恥晒しになる。俺はここ(天国)で静かに眠りたいだけなんだ”って叫んでるのかもしれない。