象が転んだ

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裏金と政治献金のパラドクス(更新)〜”疑惑の議員”鈴木宗男氏はこう叫ぶ

2023年12月21日 05時07分31秒 | 腐った政治

 自民党の派閥による政治資金パーティーを通じた裏金づくりの疑惑をめぐり、19日に東京地検が安倍派と二階派の事務所に家宅捜索に入った。
 一番の問題は、派閥に課せられたノルマを超えて売ったパーティー券の売上げについて、派閥からキックバックを受けた際に政治資金収支報告書に記載していない事にある。
 過去には収支報告書への不記載で政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、罰金刑が確定し、公民権停止により一定期間全ての選挙に立候補できなくなった国会議員の例もある。
 因みに、二階派では所属議員それぞれの名義で口座を作成し、パーティー券の売上げはこの口座から二階派の口座に全額を振り込まれる。ノルマを超えたパーティー券を販売した場合、超過金は派閥から”寄付金”として政党支部や後援会などの議員側の口座に振り込まれ、”寄付金”として領収書を発行する。但し、今回の疑惑を受けて政治資金収支報告書の訂正が必要な事態は生じていないという。
 この問題では閣僚や自民党役員をつとめる安倍派の幹部が相次いで辞任し、または辞意を示している。裏金の総額は億円単位とされ、政界に大きな影響を与えている(UX新潟テレビ21)。 


裏金のパラドクス

 ”パーティー券に関する裏金は派閥のやり方として、国民の目からすると許しがたい事だが、その裏金は”どこで処理すべきなのか”という事を殆ど認識しないという、法律的には厄介な状況になり、逆に処罰し難さ繋がるという一つのパラドックスになってしまう。
 今回、国会議員を立件するのは相当ハードルが高い。その割には、あまりに捜査の前段階で大騒ぎになりすぎてる。特に議員個人は、どこの政党支部・政治団体・資金管理団体で処理する事が前提だったかで言えば<裏金だから何にも考えてない筈>です。
 つまり、どこで記載すべきだったかって事が特定できないで、政治資金規正法違反が立件できない可能性も十分ある”
とは、元東京地検の郷原氏の言葉だが、私も同意見である。
 事実、裏金の額や使い道なんてピンキリで、幾らでも隠し仰せるし、記載した所でナンボでもごまかせる。議員らが裏金の細かい事を認識しないのは当然でもある。
 それでも国民の前では透明性を誇示する為に、議員は記載すべきなのである。問題は裏金そのものではなく、裏金の記載なのだから・・・
 以下、「答弁差し控えなんて、もってのほか」より一部抜粋します。

 鈴木宗男氏は、”一番悪いのは議員個人で、国会答弁でも閣僚が<答弁は差し控えさせて頂きます>なんてのはもってのほか。政治資金は税金の掛からんお金。パーティー資金はある種の不労所得だから、<誰から幾ら頂きました。使い道はこうです>という情報開示と透明性が必要です。それが最初に<答弁は差し控えさせて・・・>なんて言うもんだから、<政治家は何やってんだ>との国民の反発が強くなる”と熱く語る。
 流石に、”疑惑の議員”と揶揄された宗男氏の言葉には通じるものがある。
 事実、前述の郷原氏も”被疑者という立場であれば「黙秘権」があるから、言いたくなければ黙秘権だと言えばいい。そうではなく<何か捜査に影響があるから>って事と一緒にし、何となく言わなくていい様な形で収める事は正しい対応とは思えない”と語る。

 政治献金についてだが、組織を運営する以上は経費が掛かるから、派閥も当初は幹部らが資金を拠出し運営してきた。ただ、政治資金規正法が改正されて企業献金でも政党支部には50万円とか上限が決まると、幅広く政治活動するには資金が足りなくなり、パーティーという手法が用いられた(宗男氏)。
 一方で、自民党安倍派の宮沢前防衛副大臣は”派閥の指示があった”とも話しているが、派閥から指示があったという事は”これは裏金だ”と言って渡された訳で、議員個人の判断で表に出せなかったのではなく、”派閥全体で裏金として渡してた”事がはっきりしていると思う(郷原氏)。


最後に〜裏金を埋没させない為に

 そもそも、税金(=政党交付金)と政治献金(=パーティー券)がダブってる事自体が矛盾なんだから、先ずは自民に有利な政党交付金を廃止すべきだろう。
 パーティー券の超過分の実態は票集めの為の裏金だから、なくそうとしてもなくならない(多分)。日本人は物事を独立して考える事が苦手で、必要悪も絶対悪も一括してドンブリ勘定にしてしまう。
 故に、裏金が必要悪であろうが絶対悪であろうが、ゴッチャにしちゃうと裏金の処理の詳細が不透明になり、虚偽の証拠が不十分として起訴を免れるケースが当然として起こりうる。
 言い換えると、裏金を何処でどうやって処理するかを曖昧にすると、法律では処罰できないというパラドクスが起きてしまう。

 議員らはそうした裏金の仕組みを認識しないまま、当り前の様に政治活動や選挙運動を行う。つまり、昔ながらの”おらがムラ”の伝統で裏金は存在し続けてきたのだ。
 政治にお金が掛かるのは我ら国民も認める所ではある。だったらせめてその使い道は、特にパーティー券超過分の裏金の記載くらいは、しっかりと明記すべきだろう。
 つまり、政治献金をドンブリ勘定で認識する事ほど愚かなものはない。

 一方で、裏金を何に使おうが議員の勝手じゃないかって言われるかもだが、議員の支持率や信用がどんなに急落しようが、裏金の本質を理解できない議員の責任である。
 少なくとも我ら国民は、裏金の仕組みと詳細を知る権利がある。
 裏金が横行していた疑惑の筆頭が安倍派だが、その尻拭いをしてるのは、故安倍氏の国葬を強行した岸田首相である。これも悲しすぎるパラドクスでもあるが、自ら撒いた苦い種でもある。
 裏金はある種の必要悪でもある。そんな必要悪をしっかりと認識・理解し、記載して説明するのも政治家の義務と能力ではないだろうか。

 今回は全てを曖昧に伏せたがる、日本人のいや、ムラ社会の悪い癖がもたらした”裏金のパラドクス”とも言える。

 
追記〜ムラ社会の悪しき流儀と絶対悪

 寄せられたコメントで気付いたんですが、書き漏らした事を追記します。

 戦国時代のサムライや明治大正時代の政治家を含め、昔の日本人はもっと明確なビジョンを持ってました。
 田舎の選挙では、議員が地元の権力者に裏金を渡し、票を一括して纏めさせる。
 この時点で全てが曖昧になる。つまり、記載しようにも記載出来ない。いや、記載する気は毛頭ない。議員らも昔から続く伝統だからと、何も考えずに裏金を使いまくる。
 まるで、大艦巨砲主義に国家予算の大半を使い込み、あっさりと敗北した太平洋戦争の時と同じ大失態をしでかし続ける。
 つまり、大艦巨砲に拘った理由は曖昧で、日露戦争もそれで勝利したという時代遅れの古臭い理由だが、小村寿太郎の巧みな外交がなかったら、日本はロシアに敗北していた。
 (ダイハツの不正の様に)苦い過去を殆ど顧みず、まぐれで得た成功談にのみ縋り続け、昔から続く輝かしい伝統に置き替える。
 
 今の自民党の議員らは、多くがA級戦犯逃れの世襲族で占められてるから、仕方がない事だが、政治家の無能と愚かもここまで来ると、政党政治も民主主義も哀れに思えてくる。
 かつて田中角栄は1軒1軒を歩き回り、有権者に万札を握らせていた。勿論、票を取る為に(信用ではなく)金を配るのは、選挙違反だが、見方によれば必要悪とも言える。
 そういう私も誰に投票するかで迷ったら、よほど無能や無教養でなかったら、現金をくれた人に投票する(多分)。
 元検察官が言ってたが”現金を貰うのは嬉しい”もんである。そういう意味での裏金ならある程度は納得が行く。庶民は現金な生き物なのだ。
 でも、村の権力者に票をまとめてくれと裏金を渡すのなら、その金は村民には1円も渡らない。そうなると、裏金はムラ社会の伝統的な絶対悪と変貌する。
 まさに、裏金のパラドクスである。

 宗男氏が言う、昔の政治家はテクテク歩いて資金を集め、汗を流し票を集めたというのは、政治家の”働く姿”であったのだが、今の政治家にそれを求めるのは無理難題であろう。
 日本の民主主義は大正デモクラシーを基盤として繁栄してきたが、ここに来て裏金疑惑と自民党と共に、大きく崩壊しつつある。
 もし時代がそれを望むのなら、国民は何ら反対はしない。


4 コメント

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象が転んだ様へ。 (りくすけ)
2023-12-21 06:50:54
お邪魔します。

裏ガネ騒動は、
“全てを曖昧に伏せたがる、日本人のいや、
ムラ社会の悪い癖が招いたパラドクス”。
おっしゃる通りかもしれませんね。
ノモンハン敗北の教訓を活かさず、
真珠湾の失敗やミッドウェイの敗北を隠した大本営と同じ。
そう思います。
戦国時代や明治維新の頃の日本人はもっと明々白々だった気がします。
我々は分かりやすい乱世にならないと
目が覚めないのかもしれません。

では、また。
裏金は選挙買収資金 (平成エンタメ研究所)
2023-12-21 08:48:16
今回の件、不記載を問題にするよりも裏金が何に使われたのかを明らかにすべきですよね。
逮捕された河合案里・克行、柿沢未途氏の例を見れば明らかなように、おそらくは「選挙の買収」で使われたと考えるのが妥当でしょう。
秘書の費用や事務所代に使われたのなら、これは正当な政治活動なので、政治資金収支報告書に記載すればいいだけの話。

選挙の時、政治家は地方や地域の有力者にカネを渡して「票をまとめてくれ」と頼み込む。
まさにムラ社会ですよね。
りくすけサン (象が転んだ)
2023-12-21 13:18:00
”戦国時代や明治維新の頃の日本人はもっと明々白々だった”
私が言いたいのはそこなんですよ。
田舎の選挙は、地元の権力者に裏金を渡し、票を一括して纏めさせる。
この時点で全てが曖昧になる。
記載しようにも記載出来ない。議員らも昔から続く伝統だからと、何も考えずに裏金を使いまくる。
全く”真珠湾やミッドウェイの敗北を隠した大本営と同じ”事をしでかし続ける。

今の自民党の議員らは、多くがA級戦犯逃れの世襲族で占められてるから、仕方がない事かもですが
本当に世襲議員らの無能には困ったもんですよね。
コメント参考になります。
エンタメさん (象が転んだ)
2023-12-21 13:20:15
全くです。
かつて田中角栄は1軒1軒歩き回り、有権者1人1人に万札を握らせてました。
票を取る為に信用ではなく金を配るのは、選挙法違反ですが、必要悪ですよね。
私だって誰に投票するか迷ったら、現金をくれた人に投票するだろうし、そういう意味での裏金ならある程度納得が行く。

でも言われる通り、ムラの権力者に票を一括まとめてくれと裏金を渡すなら、その金は村民には1円も渡らない。
まさにムラ社会の伝統的な絶対悪で、裏金のパラドクスですよね。
宗男氏が言う、昔の政治家は汗をかいてテクテク歩いて資金を集め、汗を流し票を集めたというのは、政治家の姿だったんですが・・

コメント勉強になります。

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