象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

ゼレンスキーは日本に何を語るのだろうか?〜”アベ外交”が招いた悲劇と惨劇

2022年03月23日 05時34分44秒 | 腐った政治

 ウクライナのゼレンスキー大統領は23日の午後6時から、日本の憲政史上初となる国会でのオンライン演説を行う。
 当初、日本の国会ではオンライン演説の前例がない事に加え、スクリーンやプロジェクターなどの設備がない事や国会の審議日程などを理由に、否定的な声が上がっていた。
 しかし、自民党と立憲民主党の国対委員長で演説実施の方針で一致。岸田首相も”ぜひ国会で議論し、前向きに対応して頂ければ”と前向きな考えを示した。更に、ウクライナのコルスンスキー駐日大使が国会を訪問し、正式に演説を要望。日時や場所の調整が行われ、ゼレンスキー大統領のオンライン演説が正式に決定した。

 注目は、ゼレンスキー大統領が日本の国会で何を語るのか?
 イギリスやアメリカでも演説が行われたが、今回も同様、ロシアへの抗議やウクライナへの支援要請などが行われるものと見られている。演説内容の詳細は不明な為、様々な憶測が広がる。
 ”プロパガンダに使われるのではないか”(野党幹部)という声や、”武器の支援の要請があるかも”(自民)との見方まで出ている。
 こうした異例ずくめの演説に、イギリスではシェイクスピアの一説を引用し、アメリカでは真珠湾攻撃に加え”911”に言及するなど、各国で特色のある演説を行ってきた。
 戦時下の大統領は日本の国会で何を語るのか。日本国民だけでなく、世界中の人々の注目が集まる。 
 以上、FNNプライムOnlineからでした。

 

日露戦争かアベか、北方領土問題か

 フォロワーの記事にもある様に、ゼレンスキーは英国議会のオンライン演説で”ドイツと徹底的に戦ったチャーチル”を褒めたたえた。
 この流れに沿って行けばだが、ゼレンスキーは”(日露戦争で)大国ロシアと勇敢に戦った日本”をまずは持ち出すだろうか。
 それに加え、北方領土問題に関しても”ドンバスもクリミアもウクライナの領土であるのは明白な様に、北方領土も日本の国土である事は世界の常識だ”とでも熱弁して頂けるのだろうか。いや、期待し過ぎというものか。
 それとも、”ウラジミール、僕と君は同じ・・・”のネタで、プーチンと27回もの蜜月を重ねたアベを(コメディっぽく)皮肉ってしまうのか。
 事実、2014年のプーチンのクリミア侵攻の時のアベは、素知らぬ顔で”ウラジミール、ゴールまで2人の力で駆け抜けよう”とラブコールまで送っていた。

 巨額の税金を投じ、欧米からの懸念を招いてまでプーチンと個人的親交を重ねたのだから、安倍は今こそウクライナの平和の為に尽くすべきではないのか――日本国民がそう感じるのは至極当然であるが、アベにその気はさらさらない。
 安倍は今回のウクライナ侵攻に関しても、先月27日のTV番組で言い放った。
 ”プーチンは(NATOを拡大しない筈だった)米国に不信感を持っている。領土的野心ではなく、ロシアの防衛の観点から行動を起こしている。
 彼は力の信奉者だ。プーチンを相手にする場合、<選択肢はテーブルの上にある>という姿勢で交渉すべきではないか”

 その上でアベは、持論である”日本の国防力強化”に話を移し、非核三原則を見直し、日本国内に米国の核兵器を配備する”核共有の検討”を提案したのだ。
 以下、「安倍外交とは何だったのか」より一部抜粋です。


約立たずのアベ外交

 岸田首相は安倍を対ロシア外交に活用する考えはなさそうだ。
 事実、岸田内閣が安倍を特使として派遣したのはロシアではなくマレーシアだった。
 安倍は当地で講演し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について”我々が目にしてる危機は力による一方的な現状変更の試みであり、ルールに基づく国際秩序に対する深刻な脅威だ”とロシアを一転して批判。
 ”影響は欧州に留まらず、アジアでも深刻な脅威だ。一致して反対の声を上げていくべきだ”と述べた。

 つまりアベは、中露の軍事的脅威に対抗し、欧米との結束を強めるべきだとし、その一方で、プーチンに駆け寄り、欧米との仲介を担う役回りから逃げた。
 安倍は何の為にプーチンと個人的親交を重ねたのか?(今に始まった事じゃないが)重大局面で全く役立たずの”アベ外交”とは何だったのか?
 そもそも”安倍=プーチン外交”は外務省が主導したものではなかった。
 安倍は2006年から1年の短命に終わった第1次政権の屈辱から、2012年末からの第2次政権では外務省を脇に追いやり、内政に加えて外交も主導する。

 ロシアがクリミアを併合した2014年以降、欧米は日露接近に神経を尖らせ、(日米関係を最重視する外務省には)”安倍=プーチン外交”への慎重論が強まったが、安倍は外務省をねじ伏せ、プーチンとの親交を重ねた。
 これには北方領土問題を解決し”歴史に名を刻む”というアベの幼稚な野心があった。2016末にアベの故郷の山口県にプーチンを接待したのは記憶に新しい。
 勿論プーチンに、北方領土を返す気はハナからなく、安倍=プーチン外交はロシアに”G7の分断”という成果を残すだけに終わる。

 安倍外交の本質の2つ目として、国内の支持強化策として外交を利用した側面がある。
 安倍は”地球儀を俯瞰する外交”を唱え、世界中を飛び回り、税金をバラ撒いた。当初は中国に対する強硬外交が目立ったが、途中から(掌を返し)習政権と一定の信頼関係を築いたのも、安倍が国内基盤を固め、右派勢力を抑える事ができたからである。
 つまり、安定した国内権力基盤こそがアベ外交の必須条件であった。
 長期政権を築いた偉大な首相として、歴史に名を刻む幼稚な野心や、日本国内で支持率を稼ぐ為の陳腐なパフォーマンスとしてアベ外交を利用した。プーチンとの蜜月を深め、北方領土でまんまと裏切られた対露外交はその最たるものである。

 メディアは安倍の”華やかな外交”を持ち上げる一方、その成果を厳密に検証する事は全くしない。   
 安倍が権力を私物化していると指摘された森友事件や桜を見る会などで世論の批判を浴びながらも、長期政権を維持出来たのは”アベ外交”の演出に成功した為だ。
 しかし、それが単なる”演出”に過ぎなかったのは、プーチンのウクライナ侵攻で明らかになりつつある。


アベ外交の腐った本質

 岸田政権では外務省主導の外交に立ち返った。安倍と地元山口で長年の政敵である林芳正氏を外相に抜擢した事は、安倍の影響力低下を裏付けている。
 外務省にとって安倍側近の今井・北村両氏がロシア外交を牛耳った日々はまさに悪夢だったのだ。
 ”あの時代には決して戻りたくはない”
 外務省から安倍をロシアへ派遣するという構想がみじんも出てこないのは、そうした事情による。

 ここに来て安倍は、菅前首相とも連携し、岸田政権を揺さぶり始めた。ウクライナ危機に乗じ、非核三原則の見直しを提起したのは(被爆地広島を地元とし、ハト派宏池会を率いる)岸田首相への強烈な牽制である。
 日本が非核三原則を見直して国内に核兵器を配備する事は、(米ロ英仏中5カ国以外への核兵器拡散を防止する)”核拡散防止条約(NPT)”体制を根本から揺るがすもので、国際社会が認める筈がない。
 それに北朝鮮の核開発を強く批判してきた日本外交の自己否定でもある。安倍がそれを承知で議論を提起したのは、岸田首相や林外相を揺さぶる政局的思惑の側面が強い。

 ロシアのウクライナ侵攻という重大局面で安倍が優先するのは、欧米とロシアの”仲裁”ではない。つまり、岸田政権を揺さぶる極めて”内向きな政局”であり、それこそが”外交のアベ”の実像であり、本質でもある。
 仲裁を買って出る訳でもなく、国際社会からは隔絶した”核共有”論を声高に主張する元首相の姿は、7年以上に及んだアベ外交の“真価”を端的に示している。

 とはいえ、現政権は外務省主導の対米追従外交で、”欧米vsロシア”の危機を乗り越えられるのか?
 岸田政権はロシアへの経済制裁で欧米と歩調をあわせた。更に、ウクライナに武器支援する欧米に倣い、防衛装備品の提供にも踏み切る。これは、安倍政権下で武器輸出を事実上禁じる”武器輸出三原則”は撤廃され、それに代わる”防衛装備移転三原則”の運用指針を変更し、防弾チョッキなどの無償提供を断行した。  
 つまり、人道支援や避難民受け入れとは明らかに次元の違う”軍事支援”である。一方でプーチンが経済制裁を”宣戦布告”とみなし、核兵器使用を仄めかす中、ロシアと(軍事的にも)対立する姿勢を鮮明にする。
 これは北方領土交渉が破綻したというレベルではない。日本の北に広がる軍事大国ロシアの脅威が、もはや他人事ではなくなったのだ。
 つまり、ロシアとの対立を深める欧米の背中を眺めてる内に、日本も重大なリスクを抱え込む事態になってしまった。
 (我ら日本国民も含め)岸田政権にその自覚はあるのだろうか。

 欧米とロシアは2014年以降、ウクライナを舞台として激しい主導権争いを続けてきた。  
 日本は安倍長期政権の下、ウクライナ情勢には全くの無頓着で、”安倍=プーチン”の無意味な蜜月外交を繰り広げてきた。
 ロシア軍のウクライナ侵攻は国際法に反する断じて許されない暴挙だが、そうした事態を招いたのは欧米の対ロシア外交の失敗である。
 そうした中、プーチンと(安倍政権下で27回もの)関係強化を目指してきた日本に対し、仲介役を求める声が欧米からもロシアからも、いや国際社会からも全く上がってこないのは、いかにアベ外交が国際政治から遊離した頓珍漢な自己満足にすぎなかったかを物語る。
 そして、アベ外交にトラウマを抱く外務省主導の米国追従外交もまた国際社会から見向きもされていない。
 ウクライナ情勢をめぐる国際政治の中で日本の存在感の薄さは、この島国の国力低下を如実に映し出しているといえる。
 以上、PRESIDENT Onlineからでした。



6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本は有数の軍事大国 (平成エンタメ研究所)
2022-03-23 09:12:20
ご紹介いただきありがとうございます。

安倍氏は「力には力を」で「軍事力強化」と「核共有」ですか?
それらを語るなら、まず日本海側の原発をどうするかを語ってほしいですね。
あとはエネルギー自給率や食料自給率。
何しろマクドナルドのフライドポテトが食べられなって大騒ぎしたり、地震で火力発電所が壊れて電力がひっ迫する国ですから。
軍事力増強する前に、やるべきことは山のようにある。
核シェルターの数も日本は圧倒的に低いようですし。

一方安倍氏の発言がおかしいのは、日本が世界でも有数の軍備を持つ国であることを忘れていること。
これで足りないというのならモンゴルやベトナムはどうするんでしょうね。

それと安倍氏には「外交」という発想がない。
「私がプーチン氏を説得します」ではなく「軍事力強化が必要だ」と言ってしまうあたり、自ら「安倍外交」の失敗を語っているようなものですよね。

さて本日18時、ゼレンスキー氏は何を語るのか?
返信する
エンタメさん (象が転んだ)
2022-03-23 12:49:03
こちらこそ、色々と参考にそして勉強になります。

言われる通り、核共有よりも日本海原発が大きな問題ですよね。
何かのレビューにあったんですが、超小型原発の開発なんてユニークだと思います。
原発の輸出に失敗した日本ですが、通常の1/3程の出力の原発は一部で開発が進んでますが、もっと小さくて移動可能な原発の開発が進めば、エネルギー自給や脱炭素に貢献できるかと・・・

でも、アベはいつも重大な局面では逃げるんですよね。今回の(プーチンの)仲介役も逃げました。ホントこいつはアテにならんですね。

夕方に合わせようと慌てて書いたので、特に後半はアベの悪口に傾斜して、詰まんない記事になりましたが、読んで下さって有り難うです。
返信する
日露戦争と核戦争 (tokotokoto)
2022-03-23 14:42:22
僅か15分ほどの演説だそうですが
ゼレンスキーは何を語るんでしょう。
何か大きなサプライズがあるのか。
<シンゾウ!ウラジミール!>と呼び合う安倍にプーチンとの仲介を申し込むのだろうか。

ただアメリカ議会でのオンライン演説で、真珠湾攻撃と9-11が同列で語られたのは少し残念ですが
日本は世界で唯一の被爆国です。
ゼレンスキーは日露戦争に加えて、プーチンの核の脅しを広島長崎の悲劇に照らし合わせ、僅か15分の演説に盛り込むのだろうか。

ゼレンスキーもドイツには少し辛辣な演説をしましたね。
ともあれ、午後6時からの演説には注目したいです。
返信する
”シンゾー、まずは俺の目を見ろ” (腹打て)
2022-03-23 16:32:24
とでも、いきなり訴えたとしたら
国会は大盛り上がりだろうな。

しかし本心では
寄付には感謝するが、今は軍事的支援が欲しい。かつて日露戦争で大国ロシアに勝利した日本には、それが出来るはずだ。
平和は君たち日本人が思ってる以上に脆い。
北方領土は君たちの目の前にある。勇気を持って我々と共に戦おう。
なんて心の中では思ってるのかな。

でも、今日の演説では外交辞令に終始するのか。それともドイツに強く訴えかけた様に、少し皮肉っぽい事を強調するのか。
どちらにしても、世界が注目する演説になるのを期待したい。
返信する
tokoさん (象が転んだ)
2022-03-23 18:48:33
全てが外れましたね。
細田衆議院議長の挨拶には(消防の出初式の祝辞みたいで)一気に嫌な予感が襲ってきましたが・・・事実その通りになりました。

スピーチも通訳の人選も??って感じで、最初から日本政府とは打ち合わせがあったんでしょうか。
ブログでも書いた様に、今や日本はアジアの一小国なんですよね。
わざわざ期待させて、スンマセンでした。
返信する
腹打てサン (象が転んだ)
2022-03-23 18:53:00
ゼレンスキーは、ロシア軍がウクライナ原発を占領した事を最初に持ってきました。
その次は、(サリンを含む)生物兵器の驚異や121人の子供が犠牲になった事、国連も安保理も機能しなかった事について。
最後にウクライナへの復興と支援と、ロシアへの制裁の継続に対する謝意で終わりました。

結局、日本には多くをアテにしてないんですよね。無難と言えば無難ですが・・・
日本政府の支援額115億円に見合う、精一杯のメッセージだったんでしょうか。
でも演説後の亡霊みたいな老婆は誰?って感じでしたよね(悲)。
返信する

コメントを投稿