象が転んだ

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アメリカは何故?戦争をしたがるのか”その1”〜7兆7千億円も掛かった”子供騙し”の湾岸戦争

2019年06月22日 12時28分50秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 戦争は、国を地域を社会を、人間関係を肉体を、そして人の心をも破壊する。それでもアメリカは戦争をしたがる。そういう事が解りきってても戦争をする。
 何故?アメリカはそこまでして戦争をしたがるのか?アメリカの富は戦利品で出来てる。アメリカの自由は戦争による強奪の自由である。ブッシュ親子は何故?戦争仕掛け屋としての責任を免れ、平気でいられるのか?
 大統領という名の大量殺戮兵器はアメリカにこそ存在する。
 以下、永井俊哉ドットコムの”ブッシュはなぜ戦争を始めたのか”を、主観を織り交ぜて紹介です。結構長いので2つに分けます。写真の「ラムゼー•クラークの湾岸戦争〜今戦争はこうして作られる(1994)」も、少し古いですが、日本人が今ぜひ読むべき本です。

 アメリカは財政赤字になると決まって戦争を仕出かす。その戦争も最近は、昔とは形態が大きく異なる。昔は、凶作貧乏から脱却する為に行われる”ディスインフレ型”戦争が多いのに対し、今は豊作貧乏から脱却する為に行われる、”リフレ型”戦争が多いと。
 つまり、蔓延りすぎた”減らし”の為の戦争から、作り過ぎた”モノを壊す”為の戦争へ。つまりヒトもモノも増えすぎると、戦争の大義名分になりうるのだ。 


何故、戦争はなくならない?

 戦争で人を殺す理由が、ディスインフレ型戦争(需要減らし)とリフレ型戦争(供給減らし)では大きく異なる。前者の場合、インフレ局面では需要が過大だから、消費者である人間を大量に殺し、過大な需要を削減する。また資源の獲得が目的であるから、敵が所有する資源は戦利品となり得る。 
 これに対しデフレ局面では、供給が過大だから、働き盛りの男に殺し合いをしてもらい、供給過剰を削減する事が求められる。しかし、労働者は消費者でもあるから、デフレ解消という点では逆効果でもある。故にリフレ型戦争では大量破壊兵器を用い、人以上に施設を破壊し、過剰になった供給元の生産設備を削減する。
 つまり、現代資本主義のバランスを巧くとってるのが戦争だ。だから、資本主義下では戦争はなくならない。

 しかし、これは単に表面上の理屈に過ぎない。アメリカが戦争をしたがる本当の理由はもっと単純な、そしてゲスな理由からだ。
 

何故、アメリカは戦争をしたがるのか?

 第二次世界大戦が終わった時のアメリカは世界最大の債権国であった。世界中の金の60%を保有してたアメリカは、国内に豊富な戦争資金があった冷戦時代、同盟国の経済成長の為に自国の金を使って戦争をした。それが今や自国の経済成長の為に、いや財政や経済の赤字解消の為に、同盟国の金を使い戦争をしているのだ。
 例えば、朝鮮戦争は日本に特需景気を、ベトナム戦争は韓国に特需景気をもたらした。当時のアメリカは、日本や韓国に成長の為の母乳を与え、共産主義(旧ソ連)という外敵から守ってくれる母親の様な存在だった。そこには曲がりなりにも”正義”があった筈だ。

 ところがレーガンの時代以降、双子の赤字(財政赤字と経常赤字)が増大すると、アメリカの戦争の方法が変化する。戦争の本質がリフレーション(供給減らし)である事には変わりないが、アメリカはもはや戦争資金を国内だけでは調達する事ができなくなった為、同盟国に戦争資金を要求する様になったが、湾岸戦争はその代表的な例である。
 1987年10月19日の月曜日、NY株式市場の株価が22.6%下落する”ブラックマンデー”が起きた。日銀が低金利政策を長期に渡り継続したお陰で、アメリカは恐慌に陥らずに済んだ。
 このアメリカ救済策は、日本にバブル経済という副作用をもたらす。1990年1月、日本のバブルが崩壊すると、世界的なデフレ懸念が生じ、父ブッシュ大統領はイラクとの戦争により、デフレの危機を克服しようとした。つまり父ブッシュは、イラクを挑発して、湾岸戦争を仕掛ける必要があった。
 

湾岸戦争の真相とフセインの屈辱と

 元々アメリカはイラン•イラク戦争(1980−1988)ではイラク側を支援していた。アメリカは、日本やヨーロッパに圧力をかけ、イラクの石油を買わせ、そしてイラクは、石油を売った金でアメリカから武器を買った。
 1988年にイラン•イラク戦争が終わると、アメリカは大量の武器を持ったイラクとの戦争を計画する。ブラックマンデー後の戦争の必要性が出てきた頃だ。翌89年にはイラクとの戦争計画がまとめられた。

 長年の戦争に疲弊していたイラクには戦争を始める意欲はなかった。そこでアメリカは、イラクへの最大の債権国である隣国クウェートに、イラクを挑発させる。
 そこでクウェートは、OPECの割当量以上に石油を生産し、石油価格を下落させ、石油の売却益で債務を返済しようとしていたイラクの計画を挫折させ、それでいて債務免除には一切応じず、即刻返済を迫った。
 更にクウェートは、イラク領内のルメイラ油田から石油を盗掘し、これに激怒したサダム•フセインは1990年8月、クウェートに侵攻する。つまり、フセインの武力行使は正義そのものだったのだ。
 事実、クウェート首長はイラク外相に、”全てのイラク人女性を10ドルの売春婦として差し出すまでは盗掘を止めない”と侮辱し、フセインは侵攻を決断したとの事。

 追い詰められたイラクは、ABCD 包囲網により窮地に立ったかつての日本と同様、アメリカに噛み付く以外に事態を打開する方法がなかった。ネズミに噛み付かせ、被害者の立場を演じる事で国際世論を味方につけ、”正義”を声高に叫び、ネズミ退治をする。これこそがアメリカのゲスなやり方なのだ。
 

父ブッシュが捏造した”湾岸戦争”

 アメリカが湾岸戦争に踏み切った1991年1月は丁度、世界が不況の谷間にあった時期だ。ベーカー国防長官は、”砂漠の嵐作戦はアメリカ人の雇用を守る”と言って、湾岸戦争を正当化しようとしたが、この理由は正直すぎて不評だった。
 これに対し父ブッシュは、”イラクの核武装阻止”を戦争の大義名分として掲げた。この大義名分の方が、単に世論の受けが良かったからだ。勿論これが本当の理由ではない。当時のブッシュ政権は、何とイラクに核兵器開発用の機器を密かに売っていた。
 全くチェイニー以上の化け物ですな。チェイニーはこの父ブッシュのやり方を真似ただろうか。類は類を呼ぶとはこの事です。
 実は、父ブッシュの祖父であるプレスコット•ブッシュも、第二次大戦でアメリカとドイツが戦争している時もナチスと密かに交易をしていたという。敵国との取引はブッシュ家のお家芸とも言える。

 これは後に、”イラクゲート”と名付けられるスキャンダルに発展したが。父ブッシュ政権はイラン•イラク戦争が終わった後も、イラクがクウェートに侵攻した後も、こっそりとイラクに武器を売り続けていたのだ。
 そして湾岸戦争では、アメリカが作ってイラクが買った兵器を、アメリカの兵器が破壊する光景が見られた。ケインズではないが、”無駄なな公共事業もやれば景気は良くなる”
 事実1991年の湾岸戦争を境に、アメリカ経済は好転し始めた。

 1992年の大統領選で、父ブッシュがクリントンに敗れたのは、”イラクゲート”スキャンダルの発覚の為だ。クリントンの時代にアメリカ経済は黄金時代を迎えるが、それは父ブッシュが蒔いた”戦争の種”が成長したからであり、クリントンの功績ではない。


湾岸戦争がもたらした”繁栄の10年”

 父ブッシュが捏造した湾岸戦争がアメリカに”繁栄の10年”をもたらし、日本には”失われた10年”をもたらした。結局日本は、汗水垂らして稼いだ”日本のマネー”を自国の繁栄の為に使う事ができなかったのだ。
 この湾岸戦争でアメリカが使った金は約610億ドル(約7兆7千億円)。うち9割近くは他の国が拠出した。因みに日本が拠出した金は135億ドル(約1兆7千億円)。日本政府がメディアに公表した額は、そのうちの20億ドル(約2500億円)だけだ。
 この湾岸戦争のお陰で、1991年のアメリカは10年ぶりに経常収支を黒字にできた。その後ネットバブルを発生させ、他の国からの資本フローにより、経常赤字をチャラにした。

 経常赤字の問題を解決したいなら、アメリカは戦争ビジネスで儲けるなどという邪道を捨て、先進国らしく国内にハイテク産業を育てればよいではないかと思う。
 しかし画期的な新技術の多くは、皮肉にも軍需産業における”採算を度外視した”研究開発から生まれるのだ。
 例えば、90年代のバブルで持て囃されたインターネットも、アメリカ政府による軍事技術への投資の中から生まれてきたテクノロジーなのである。パソコンも元はと言えば、ミサイルの弾道計算用に開発されたものだ。
 

アメリカの為だけの戦争

 つまりアメリカは、デフレ(供給過剰)になると他の国の金を使って戦争し、リフレ(供給削減)を行い、インフレ(需要過剰)になると軍縮により軍需技術を民間に移転し、経常黒字国からの投資でハイテク産業を育てる。
 そしてバブルが崩壊し、再びデフレになると、工作活動により戦争の口実を捏造するというゲスな戦争リサイクルを繰り返す。
 故に、平和な時も戦争の時も他国のマネーを搾取しながら、自らの繁栄を維持していく。

 しかし、今回のブッシュ・Jrの対イラク戦争(2003)は、父ブッシュの湾岸戦争の時とは違い、多くの国の理解と賛同を得る事ができなかった。勿論、戦争資金もだ。
 それでもネオコン(帝国主義)が強引に戦争に踏み切ったのは、他の国から拠出金が得られなくても、イラクの石油で戦争資金を賄えると計算したからだ。
 故に、ネオコンが石油利権に拘るのは、石油が欲しいではなく、戦争資金が欲しいからだ。つまりアメリカは、石油を媒介にした三角貿易で、経常赤字を解消しようとしたのだが、もしそれがうまく行かなければ、直接日本に資金拠出を迫ってただろう。極論を言えば、日米同盟(安保)はその為だけにあると言ってもいい。

 先日の日米首脳会談で、トランプが異常なまでに機嫌を良くしてたのはそのせいだ。イランと戦争をする為の”ジャパンマネー”が欲しいだけなのだ。
 しかし、今の日本にもうお金はない。アメリカもイランと戦争するだけの勇気と資金もない。ましてや、切り出すカードすらない。”金の切れ目は縁の切れ目”とは日米同盟の為にあるのだろうか? 

 今日はここで終了です。次回は、”9−11”の陰謀についてです。



14 コメント

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ラムゼークラーク (paulkuroneko)
2019-06-22 15:00:49
「ラムゼークラークの湾岸戦争」は発刊当時、あまり芳しい評価はなかったですね。クラークが憶測で書いたとして誰も信じませんでした。またとても信じれるような内容でもありませんでした。

しかし時代が進むにつれ、クラークが書いた事が事実である事が分ってきました。1994年の本ですが、素晴らしい内容の本だと思います。

今からでも読んでもとても新鮮味あふれる内容です。転んだサンの目の付け所も凄いです。

父ブッシュが捏造した戦争は、息子ブッシュ政権にも見事に引き継がれたんですが、二匹目の土壌はいませんでした。

父ブッシュ政権時、国防長官だったチェイニーも大量破壊兵器の捏造は、父ブッシュ譲りだったんですが、クラークの本がもっと読まれてたら、イラク戦争も9-11も防げたかもしれません。

結局、学ぶ事をしない世論というものは愚かなんです。メディアやプロパガンダにいいように振り回され、不必要な戦争に突き進んでいく。

ブッシュ親子が捏造した戦争は、平和に対する罪、人道に対する罪、明らかな戦争犯罪です。これこそ世界の法廷で裁くべきでしょうが。
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paulさんへ (lemonwater2017)
2019-06-22 19:04:32
ラムゼークラークのこの著作に関しては、全てを知ってる訳でもないんですが。誤解も多い傑作でもありますね。故に発刊当時は素直に受け入れられなかったかもです。

今では湾岸戦争やイラク戦争は、アメリカが仕掛けた戦争で見解が一致してますが。それはチェイニーが捏造した大量破壊兵器が露呈した後からであって。
もっと前にブッシュ父の捏造が表沙汰になってたら、9-11もイラク戦争もなかっただろうし、チェイニーという怪物の登場もなかった筈ですね。

結局は我々大衆が無知なせいであって、その無知に付け込み、戦争が当り前の様に捏造される。我ら大衆が無知である間は、ブッシュやチェイニーやレーガンやトルーマンみたいな独裁者が上に立つんでしょうね。

paulサンの素敵なコメントとても勉強になります。
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ブッシュ親子 (hitman)
2019-06-22 22:29:26
やっぱりか。
薄々は感じてたけど、全ては作られた戦争だったのか。
だったら、ブッシュ親子は死刑だな。勿論、チェイニーもだ。
ライスもパウエルも刑務所行きだな。全く腹は立つ!
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アメリカにとって戦争は必要悪? (びこ)
2019-06-22 22:45:38
戦争で景気の回復を図って、さらには技術革新も?

日本は損な役回りのように見えますが、しかし、インターネットなどの恩恵は受けているというわけですね。

巨悪の源泉、アメリカが消えてしまったら、世界はどうなるでしょう?
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hitmanさんへ (lemonwater2017)
2019-06-23 04:29:32
全く冷静に考えれば考えるほど、腹がたちますね。
勿論、私たちの無知も腹がたちますが。
もっと我ら大衆は真実を見る勇気と真相を探る知力が必要なのかもしれません。そうでないと第二のブッシュ親子やチェイニーらが次々と排出するでしょう。

現にトランプでも大統領になれるアメリカですから。
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ビコさんへ (lemonwater2017)
2019-06-23 04:35:49
もうここまで来ると、必要悪というより絶対悪です。

paulさんのコメントにあった様に、ブッシュ親子は処刑すべきかもです。今こそ第二の東京裁判を開くべきですかね。アメリカを除く世界中の国々がアメリカを裁く、そういう時代が来るかも。

それにアメリカが消滅したら、戦争がなくなる代りに、特に先進国の生活の質やレベルは2ランク程落ちるでしょうね。

富を優先するか平和を優先するか。
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戦争で平和は作られる (#114)
2019-11-21 13:40:28
戦争と平和は
結局同じ事なんだな
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#114さん (象が転んだ)
2019-11-21 14:29:10
確かに。
戦争と平和は同じスペクトル上にありますもんね。
ナイスなコメントどうもです。
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610億ドルの戦争 (hitman)
2020-01-06 23:13:47
戦争はお金で作られる。
平和は戦争で作られる。
結局、戦争と平和とお金で作られる。

嗚呼、嫌になっちゃうねぇ〜(-_-)
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hitmanさんへ (象が転んだ)
2020-01-07 07:03:54
ホントです。
民主主義と言っても
アメリカが勝手に作り上げた金満主義ですもの。一時的にせよ、世界はアメリカの奴隷に成り下がった訳で
イランやイラクだけにその責任を被せるのは
卑怯ですかね。
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