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象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

催眠療法と狂人ヒトラー〜カリスマと精神異常”その2”

2025年05月22日 17時57分59秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 前回「その1」では、精神異常がチャーチルを初めとして、歴史上の独裁者らのカリスマを生む事を精神医学の視点から述べましたが、どうも違和感が拭えない。まして、「一流の狂気〜心の病がリーダーを強くする」(ナシア・ガミー著)では、”歴代の大統領の半分程は精神疾患に該当している”とあるが、それは結果論であり、世界のリーダーになれば誰だって気を病むだろう。
 更に、狂人に一流も二流もなく、狂気は単に殺戮や破壊に繋がるだけで、”大きな危機に対しては狂気の指導者が必要とされる”と説くのは、危険思想と思えなくもない。


ヒトラーに何があったのか?

 事実、ナチスドイツ時代の精神科医らは精神病患者や精神障害者を安楽死させる権限をヒトラーから与えられてたし、20万人以上の患者がガス室内で殺されたが、これは後のユダヤ人大虐殺へと受け継がれていく。
 戦後、当時の精神科医らは謝罪したが、多くの精神科医はこんなレベルであるし、彼らの言葉は鵜呑みには出来ない。
 確かに、昨今の精神科医は精神病が疑われると薬物を投与する。勿論、それで命を救われる患者もいるが、苦しむ人もいる。精神病薬だけに頼る医学というのも、怪しく危険な気もする。
 一方、ヒトラーに催眠療法を施したとされる精神科医のエドムンド・フォルスターだが、第一級の権威ある精神医学博士とあってか、ヒトラーの失明をヒステリー症を伴うものと一瞬で診断し、サイコパス(精神病質)を伴う事を見抜く。お陰でヒトラーは僅か1時間足らずで失明から回復し、3日後には心理的ショックからも立ち直り、28日後にはすっかり回復して退院する。
 これだけでも、ヒトラーが催眠療法による暗示に掛かり、精力的で自身に満ちた超人に変貌させられた事の信憑性が理解出来る。

 では、この28日間に何が起きたのか?
 失明する程までに精神的破綻をきたしたヒトラーに何が起きたのか?だが、この時の記録は今や消えたままである。つまり、ヒトラーの生涯における盲点に光が当てられないまま、彼は狂人扱いされ続けてきた。
 「野戦病院でヒトラーに何があったのか」(ベルンハルト・ホルストマン 著、瀬野文教 訳、2016年)では、1918年に英軍の毒ガスで失明したヒトラーだが、実際にはヒステリー症の一時的な失明だった事が書かれている。

 ヒトラーは野戦病院でフォルスター医師による催眠療法を施され、失明は治癒したもののヒトラーに内在する病理的な精神異常人格障害(サイコパス)が治癒不能な事を悟り、逆にそのサイコパスを呼び覚まし、強化し、計らずも彼の野望実現に手を貸してしまう。
 その後、フォルスターは暗示を掛けられたヒトラーに追い詰められ、命がけでパリに亡命するもピストル自殺する。そのフォルスターから催眠治療について手記を受け取った元精神科医で亡命ユダヤ人作家のエルンスト・ヴァイスは、その診断記録を元に小説「目撃者」をフォルスター自殺の5年後に書き上げるが、彼もヒトラーの復讐を恐れ、刊行の僅か2年後、ナチス軍がパリに入城したその日に自殺。
 本書は、その「目撃者」を元に書かれた仮説ではあるが、アメリカに残る秘密文書や現在の精神療法医の意見を参考に、これまで公にされる事のなかったヒトラーの催眠治療の真実に、世界で初めて踏み込んだ空前絶後の歴史ミステリーと言える。

 私は、本書に書かれてる仮説は真実だと高い確率で断言したい。数学の世界でも仮説が未解決問題を解き明かす事がよくありうるからだ。事実、著名な精神療法医バイティンガーも著書の仮説を支持している。
 更に、当時の米軍諜報部は要注意人物の精神状態に関する情報を入手し研究する事で、その人物の将来の行動を予測しようとした。だが、この研究報告が明らかになっても、戦後ドイツの研究者らはこの事を隠そうとした。
 つまり、著者はこれに苛立ちを覚え、大胆な仮説を立て、本書を書いたとされる。
 一方で、ナチ国防軍の幹部エリートの中には、ヒトラーの深刻な精神異常に異常なまでの狂気に満ちた瞳を見て、気付いてた人もいた筈だ。ただ(後で述べる様に)、ヒトラーの病的なまでの異常なカリスマ性が偉大にかつ尊大に見えた事は確かであり、誰も判ってて反論できなかったのもあろう。
 真実として、いや仮説としてみても、実によく出来たミステリーにも仕上がっている。


催眠療法が超人(狂人)を創り上げた?

 一方で、著者のホストマンは、第2次世界大戦ではナチス国防軍の若き青年将校として従軍し、大戦末期には敬愛し尊敬もしていたヒトラーに反旗を翻し、反ヒトラー運動に参加して逮捕される。
 釈放後、最後のベルリン攻防戦に参加するも命からがら生き延び、ソ連軍に抑留。46年に解放され、法律家やミステリー作家として活躍した。
 本書はホストマンが晩年に書いたもので、その下書きとなったヴァイスの小説「目撃者」(1938)だが、フォルスター医によるヒトラーの診断書を参考にした小説とは言え、困窮に苦しむなか急いで書いた為に完成度も低く、当時のナチス全盛にあって欧州では出版される事もなく、長く誰にも注目されなかった。だが、1973年に米海軍が「ドイツ・ヒトラー・精神病研究」という秘密文書を解禁した事で、大きな脚光を浴びる事となる。
 著者はこの文書の事実から、ヒトラーが催眠状態のまま政治的行動を進め、その後の第2次大戦を導いた可能性を示唆した。つまり、この狂人は催眠状態のまま野放しにされ、独裁者に君臨し、ドイツを破壊に押しやったというのだ・・
 事実、フォルスターは解雇され、予定される筈の催眠を解く作業は行われる事はなかった。一方でヒトラーは”兵役に服する能力有り”と認められる程に回復し、入院して1ヶ月弱で退院したのだ。

 では、実際にどんな睡眠療法が行われたのか?
 フォルスター医師は、ヒトラーの精神病質(サイコパス)は簡単に変えられないが、ヒステリー症状だけは自分の催眠療法で治療しうると確信。ヒトラーを催眠状態にし”生粋のアーリア人で・・優秀な軍人でもある貴方。偉大な人間には奇跡が起こるものです。貴方は救世主キリストであり、ドイツを救うのは貴方しかいないは”と語りかけたが、その僅か1時間後、部屋を出ていく時のヒトラーの青い目は見える様になり、鋭さとオーラを備え、誰もが逆らえない様な魅力を増していた。しかも狂人ではなく、精力的で自信に満ちた”超人”へと変貌していた。
 事実、ヒトラー自身は催眠療法時のエピソードを”<おまえがドイツ民族を解放してドイツを偉大な国家にする事になるだろう>という託宣(お告げ)に囚えられた”と振り返る。
 託宣を告げたのは神なのか?医師なのか?確かに、催眠術による暗示ともとれる発言だが、どう判断するかはアナタ次第である。
 更に、フォルスターから掛けられた言葉に加え、内面に秘めていた決して実行してはならない理想を叶えるべく行動したのではないか?との仮説を立て、”どう判断するかは読者の自由に任せる”と疑問を投げかける形で本書を閉じる。

 因みに、日本の精神科では行われる事の少ない催眠療法だが、米国では一部の州で保険適用範囲だし、ドイツでは心理療法家という国家資格によって行われる実際的な治療法の1つである。医師が患者を催眠状態に導き、それまで眠っていた自己治癒力や記憶を働かせる事で、症状の改善を図るが、催眠中は普段の意識が外され無意識が前面に出るので、人格が変わった様に見えるが、催眠が解かれれば元に戻る。
 いわば、眠ってた力が働き易くなるきっかけを作るだけで、洗脳ではない事に留意する。

 一方で、ヒトラーの変貌ぶりだが、元々はウィーンの美術学校受験に失敗した、孤独で貧しく無力な青年だった。また、父は私生児で、母は女中上がりで、彼の出自は怪しいままだ。
 そんな非力で無力な男が第1次大戦後の混乱した情勢から徐々に権力を手中に収めていくのだが、著者はヒトラーに実際に遭遇した時の印象を”彼の瞳は射抜く様に鋭くデルフトの陶器の様に鮮やかな青色をたたえていた。その瞳はとても大きく誰でも魅せられ、よほど強靭な意志の持ち主でない限り、逆らえる者はいなかった・・”と、身震いする程の衝撃を振り返っている。
 事実、1941年に訪欧し、ヒトラーと会談した外相一行の西園寺公一は”ヒトラーは凄い天才ですよ。何百万の若者を気狂いにしたのはあの眼です。青い大きな眼の催眠術に掛らない様に用心すべきです。ああ、その為にどれだけ多くの人が苦しむ事でしょう・・”と、現地のドイツ人から聞かされたという。

 
元凶はヒトラーか?ユダヤ人商法か?

 その一方で、亡命ユダヤ人作家のヴァイスによって書かれた「目撃者」だが、小説を歴史的資料として扱う事は本来ならタブーだが、この小説の史実的信憑性を証明した事は、本書がもたらした大きな成果である。
 また、フォルスターが命がけでパリの亡命作家サークルを訪ね、意気投合したヴァイスに診断手記を託す下りは、息が詰まる程の感動すら覚える。
 確かに(訳者の瀬野文教氏が語る様に)、”ヒトラーは催眠状態のままだったのでは”との著者の仮説が正しければ、我々が生きる現代は催眠術を施された狂人によって支配され、やがて地球は破壊されるとなろうか。
 また、ヒトラーにかけられた催眠術が世界の指導者たちにも感染し、未だに解けないでいるのだとしたら?或いは、人間にだけその様な催眠術がかけられ、地球を破壊するとしたら・・

 他方で、ヒトラーだけを元凶に吊し上げ、それを生み出したユダヤ資本による”ボッタクリ商法”を根本から見直さない限り、人類はいつまで経っても金儲けの夢遊病から覚める事はないだろう。
 事実、ユダヤ資本による苛烈な競争経済により生じた格差社会。全人口の0.1%にも満たないユダヤ財閥が富と特権を独占する一方、大衆は貧乏のどん底に突き落とされる。
 こうした一握りの金持ちが支配する体制に大衆の不満や不信、怨念を1つに重ね、異常なまでの破壊力を持つ政治パワーに変えていったのがヒトラーであった。勿論、この様な能力は通常のアカデミックな教育からは産まれ得ない。

 ”俺は奥深い苦悩から英雄の喜びを汲み出した。諦念という超人の宿命から借りがたい力を得た。俺は<にわか成金>などではない。オーストリアとドイツを統合した第3帝国の皇帝なのだ”と語るヒトラーを「目撃者」の中で描いた様に、ヴァイスの小説の特徴は、彼がユダヤ人でしかもナチに弾圧され、亡命を余儀なくされ、結果として自殺したにも関わらず、ヒトラーやナチ体制に対する恨みや憎しみが殆ど全面に出てこない。
 むしろヒトラーの台頭をアッパレと歓迎するようでもある。

 本書の批判めいたレビューにもある様に、時代の風潮を忠実に捉えた為にそうなったのか?本書の主人公であるフォルスターの中に時代の風雲児を再現する心情が湧き出たのか?多くのユダヤ人作家がユダヤ人中心主義を前面に押し出し、ヒトラーを徹底的に糾弾する姿勢と、ヴァイスのそれとは大いに異なってはいる。
 若い頃カフカと親しかったとされるヴァイスだが、第1次大戦ではオーストリアハンガリー帝国の軍医として東方戦線に従軍し、敗戦後は医者をやめて文人となる。20年代は文壇前衛派として名を馳せるが、(前述の様に)ナチスが政権を握るとパリに亡命し、自殺する。フォルスター医師と同じく、独裁者の真実を知るが故の悲劇だったが、フォルスターからヒトラーカルテを託されて書いた2つの小説「目撃者」と「哀しき浪費家」は、それまでの(玄人受けはするが)精細を欠く印象のある作品とは異なり、(急いで書いた為に荒削りであるが)驚く程に明快で創造に富み、そして歯切れがいい。

 絶えず、秘密国家警察の影に怯えながらも世捨て人の様な困窮に満ちた生活の中で、漸く作家としての真の目標を得て、後世に遺る傑作を書き上げる事が出来たのは、フォルスターとの出会いという悲しい運命の皮肉な巡り合わせでもある。
 そこで、翻訳者である瀬野文教氏の言葉をそのまま引用する。
 ”かつてヒトラーに憧れて崇拝し、ナチス国防軍の若き将校だった著者のホルストマンは、苛酷すぎた青春を総括するうち、フォルスターとヴァイスの残影に出会い、彼らを時代の証言者として喚問する事で、埋もれた歴史の1場面を後世に遺した。敗れ去った者を敗れざる者へと蘇らせる摩訶不思議な歴史の歯車のなせる技である” 


最後に

 後半は、訳者の瀬野氏の言葉を中心に纏めましたが、出来るだけ本書には敢えて触れずに紹介しました。
 純粋なミステリーとして、或いはドキュメントや手記やルポルタージュとして読んでも、歴史上のドラマの1シーンとして眺めても、歴史書としてみても、20世紀史上第一級の傑作書とも言える。
 フォルスターとヴァイス、そしてホルストマンの誰一人を欠いても、この傑作は生まれえなかった。

 一方、ヒトラーに対しては誤解のない様に付け加えておくが、ユダヤ人排斥とヒトラーのナチズムの視点で言えばだが、ユダヤ資本による富の独占こそがルターの宗教改革を生み、マルクスの共産主義を開花させ、ナチズムの躍動に繋ったといえる。
 ヒトラーのナチズムだが、ヒトラー自体は左翼政治家だったとされる。むしろファシズム(結束主義)というのは上流階級による支配操作であり、大衆の熱狂を作為的に生み出し、自分らはその上に胡座を掻く。
 それに対しヒトラーは、大衆を熱狂させはしたが、上流階級にのし上がろうとはしなかった。これこそが、ヒトラーのナチズムが大衆の支持を得た大きな原因だったのだろう。
 更に、ヒトラーはマルクスの反ユダヤ主義から多くを学び、人間が人間らしく生きる為には”ボッタクリ商法”のユダヤ資本から開放されるべきだと考えた。これは、ヒトラーの運動や主張が左翼とか右翼とかの枠組みを超えた国民革命にあり、ナチズムとファシズムは決定的に違う事を示唆する。
 故に、ヒトラーのナチズムが”一流の狂気”だと薄々感じてはいても、ドイツ軍エリートの信頼とドイツ国民の期待と熱狂を生んだのも肯ける。

 しかし戦争に突入すると、ヒトラーの理想とは全く矛盾した”ナチズム=ファシズム”という方向に暴走し、かつては彼を信頼してた若きエリート将校や、彼に熱狂し支持してきた国民たちを混乱させる。
 その結果、軍部内や国内で反乱やクーデターが起き、ナチスドイツは内部から腐っていった。精神異常によるカリスマの限界と言えばそれまでだが・・・
 その一方で、フォルスター博士がヒトラーの精神異常(サイコパス)を利用し、ドイツ復活を謀ったとしたら・・もっと言えば、催眠術を使ってヒトラーという超人を作り上げる事で、ドイツ帝国の復活を試みたとしたら・・これ程の壮大な物語もない。
 私が20世紀最高の傑作ミステリーと評価するのも、そういう所にある。

 ただ、指導者の資質で見れば、ヒトラーは知能も知覚も高くなく、明らかに役不足だが、声は甲高く演説には説得力があり、政治家や煽動家としてみれば有能だとも言える。
 だが、持ち前の悪質の精神異常が最後に露呈した。催眠療法による暗示が解けたのかは判らないが、暗示に掛かったまま突き進んでたら?チャーチルはヒトラーの暴走を見抜く事は出来ず、いや暴走する事はなかったかも知れず、世界はヒトラーを中心に周り、大きく変わってたかも知れない。
 勿論、私の仮説に過ぎないが、満更ありえない話でもない。

 本来なら、もっと絶賛されてもおかしくない本書ですが、平和と安全がタダで手に入ると勘違いしてる日本人に、ぜひ手にとって読んで欲しい一冊である。


補足〜魂を病んだ3人の孤独な格闘

 余談だが、カフカはヴァイスのデヴュー小説「ガレー船」を絶賛しつつも、”現実の枠を超える事で生き生きとしたリアルな小説が掛ける”とアドバイスしてたという。
 第一次大戦中に軍医として戦場に赴き、帰還した彼は魂と精神に傷を負い、文学によってその傷を癒やしたが、ヒトラーが政権を握るとパリに亡命し、引き籠もる様になる。晩年にはすっかり落ちぶれ、偶々亡命作家支援の懸賞小説の記事を読み、僅か5週間弱で書き上げ、NYへ送ったのが「目撃者」である。
 勿論、小説としては粗削りで緻密さを欠き、アメリカでも話題になる事はなかった。そこで彼は友人に推敲を頼み、”完成版”を書き上げるも、悲しいかなその原稿も失われたままだ。
 故に、いま我らが目に出来るのはNYに送られた”第一稿”だけだが、生身のヒトラーが登場する唯一無二の小説として、1963年にミュンヘンにある無名の書店が出版にこぎつけた。やがて文壇に大きな衝撃をもたらし、以降、”カフカの影”を宿した幻の亡命作家として、世界中で大々的に取り上げられる様になる。

 彼は、戦争という極限状況の中では破壊と殺戮が横行して悪の衝動が勝利するが、その悪の根源は医学では説明できないと考え、文学による創作の道を選択。そこで出会ったのが、フォルスター医師によるヒトラーの狂気の闇を記したカルテである。
 戦場で精神を病み、居場所を失ったヒトラーと彼を治癒し催眠療法を施したフォルスター医師と、更に彼の手記を受け取ったヴァイス。この3人に共通するのは、戦争の極限状況で魂を奪われ、その溝を埋めようとした事にある。
 フォルスターはその溝を埋める為に、催眠療法の研究に異常なまでに執着し、ヒトラーは第3世界を作り上げる事でその溝を越えようとした。そしてヴァイスは、魂が破綻した溝を埋めるには文学だと信じ込み、外科医であり精神科医でもあった彼は医者をやめて小説を書いた。
 エルンスト・ヴァイスの「目撃者」に関しても、ブロクげ詳しく紹介するつもりである。

 


4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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超人から狂人へ (paulkuroneko)
2025-05-23 13:13:34
最初から計画的だったのか
それとも偶然にも狂人を創り上げてしまったのか
フォルスターがヒトラーに催眠療法を掛けたのは、敗戦後の焦土化したドイツ帝国復活の為の禁断とも言える最終手段だったのでしょうか。
もしそうだとすれば、仮にヒトラーが超人であり続けていたなら、ドイツは今頃は世界の帝国として君臨していたかもしれません。
ナチスドイツの若きエリートらがヒトラーの闇を敢えて封印したのは、彼の精神異常による狂気が生み出す神秘的な魔力に期待したとも言えます。

かつてケプラーが今で言う万有引力の事を神の力と錯覚したように、人は現実を超えた圧倒的な力を何かに求めるのでしょうか。
サイコパスと薄々判ってて、ヒトラーの狂気に縋らざる負えないドイツ国民の気持ちも理解できそうな気もしますが
そう考えるとフォルスターの催眠療法はヒトラーだけでなく、ナチス軍や彼らを支持するドイツ国民にまで心理的にも深く広く影響を与えたと言えます。
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Unknown (tokotokoto)
2025-05-23 17:30:14
たぶんです
ヒトラーは催眠療法によって
人間としてのリミッターが切れたんだと思う。
ナチスドイツの頂点に上り詰めたまでは良かったのですが
切れた状態で突っ走ってましたから長続きするはずもない。
催眠療法による記憶喪失も手伝ってか
それ以後は暴走してしまう。
結果あんなヒドい事になってしまった。
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paulさん (象が転んだ)
2025-05-23 20:25:30
精神状態の異常性を調べる事で、その人の将来の行動が予測できる事は今ではよく知られていますが
精神科医の権威でもあるフォルスターは、ヒトラーの精神異常を逆利用し、催眠療法による暗示をかけ、荒廃したドイツ帝国の救世主に作り上げようとしました。
勿論、実験ですから、成功するか失敗するかは運次第です。
しかしフォルスターは、それに自身の研究の全てを賭けたと思うんです。

皮肉な事に、その結果は化け物に殺されるフランケンシュタイン博士そのものでした。
勿論、フランケンシュタインは架空の化け物ですが、それが現実となった訳で・・

その催眠療法が如何に強烈なものであったかは、ナチス軍の若きエリートらやドイツ国民にまで暗示が掛かった事でも伺い知れますね。
例えば、催眠術に掛かった人が能力以上のものを発揮して周りを驚かせる事がありますが、当然限界もあり、危険な副作用もあり、催眠術の後遺症に苦しむ人も実際にいる。

ヒトラーの場合、催眠術による暗示が狂気の逆作用を引き起こしたか、催眠術が中途で解け、狂気の道へ走ったか・・と推測します。
勿論断言は出来ませんが、催眠療法が最後には最悪の結果に繋った事だけは言えます。
でも、こうして様々な仮説を論じ合うのも、結果論で歴史を語るよりかは得るものが多いですよね。
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tokoさん (象が転んだ)
2025-05-23 21:26:45
自分で催眠状態にする自律訓練法として
”自己催眠”というのが精神医学では認められています。
勿論、精神医学療法としての催眠術はちゃんとした知識を持つ精神科医によって行われるべきですが
問題になるのは、ショーや遊びなんかで素人が行う催眠術の危険性です。
事実、有害事例が数多く紹介されています。
その危険性が指摘されたせいか、催眠術マジックが流行った時期がありましたが、今では殆ど見かけなくなりました。

フォルスター医師も催眠療法の危険性や副作用は十分に認識してた筈ですが、サイコパスの疑いがあるヒトラーはドイツ復興の為の自身の研究成果をも賭けた実験台だったんでしょうか。
その暗示が強すぎて、リミッターが切れたとも言えますね。
その切れた怪物がどうなるのか?
その怪物に追い詰められたフォルスターは死を選択します。

何だか考える程に、色んな仮説が出てきますよね。
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