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象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

「笑ゥせぇるすまん」(第3話”ソックリさん”)にみる、流石に笑えないオチ

2025年07月24日 17時26分22秒 | 映画&ドラマ

 7/18日から配信されている2025年版ドラマ「笑ゥせぇるすまん」だが、主人公の喪黒福造を演じるのは、お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次で、喪黒のビジュアルを徹底して再現した姿が話題となっている。
 しかし、第1話と2話を見る限り、原作の漫画の方がマシだったかと不満も少しは感じていた。ドラマも映画もリメイク版が原作を超える事は中々ありえないが、今回もそういう気がしていた。
 という事で、2話だけで見るのをやめようと思ったが、第3話「ソックリさん」の予告編を見て気が変わる。というのも、「ソックリさん」に登場するアイドル(あの)の大きな瞳がとても印象的に映ったからだ。
 この手の少女系キャラは、巷に溢れすぎてあまり好きではないし、決して整った美形でもないが、無垢で鋭利な瞳を持つ彼女の不思議な何かに惹きつけられた。


”だったらナシだわ・・”

 展開は、3流商社の平凡なサラリーマンである三重岳ハルオ(本郷奏多)は、勝ち組の敏腕トレーダーとの嘘をつき、知人をコネにして派手なパーティーに忍び込む。そこで、偶然にも憧れの女優・高嶺華(あの)と出会うも、殆ど無視されるが、飲み仲間の友人らにはデートの約束をしたと嘘をつく。そんな矢先、謎のセールスマンこと喪黒福造(秋山竜次)から高嶺華とそっくりの女性・造田花を紹介されるのだが・・・
 これ以上言えばネタバレになるが、展開的には少し淡麗かつ辛口に思えた。
 確かに、口先だけでは綺麗な言葉で自分を何歩でも飾る事はできるが、いざ現実に直面すると、その人の等身大の本質や強欲が露呈する。正直に告白しようと思っても、自分の本質を語る覚悟と勇気がないし、それ以上に自分の本質すら見抜くすら出来てはいない。
 従って、その欲望や本質は相手だけでなく自分をも大きく傷つけてしまう。つまり、人間の本質は思う以上に自己内向的で中心的でもあり、時には残虐で冷酷さを伴うものだ。

 事実、憧れの女優とそっくりの女性に男が正直を告白した時に”だったらナシだわ・・”と、最後の最後で男を突き放したのも、”嘘をつくなら最後まで嘘を突き通せよ、それが覚悟ってもんだろ”と、女は言いたかったのだろうか。
 個人的には、この言葉を付け加えて欲しかった気もする。つまり、高度に複雑化した現代社会において、嘘をつく事は恥ずかしい事でも間違った事でもないし、今の時代を生き抜く為には不可欠な防衛手段でもある。 
 確かにドラマでは、見栄を張って次々と嘘を重ねる男が窮地に追い込まれていく心理とその様を上手く描いているが、女もまた見えない嘘を巧みに積み重ねていたのだ。

 現代社会に生きる私たちは、嘘を使い回してでも喪黒福造が説く”ココロのスキマ”を埋めようとする。つまり、SNSが発達した昨今では誰もがイイねやフォロワーを欲しがり、本当の自分とは隔離した自分の虚像を作り上げ、自己とは錯綜した別の自分、つまり見栄を張ろうと血眼になる。
 勿論、見栄が理念に変われば理想的だが、殆どの見栄は悲しい嘘に変わり果てるが、逆に、自分の見栄と向き合う事で、理念と見栄の食い違いと矛盾を悟る事も不可能じゃない。
 とはいえ、中途は終り方は意外にも奇怪な謎解きを我々に残してくれて、色々と考えさせてくれるものがあった事は評価に値する。

 続く第4話の「決断ステッキ」は、第1、2話とほぼ同じで、これと言って印象に残るものもなかった。


最後に

 という事で、「ソックリさん」に登場する”あの”さんばかりが目立った「笑ゥせぇるすまん」だったが、彼女の事を少し紹介する。
 某アイドルグループの元メンバーで、今はソロアーティストとして活動。学生時代は周囲と馴染めずイジメもあり、中学校を保健室登校で過ごし、高校は入学直後に中退。その後、引き籠もり生活を送るが、そうした生活に焦りを感じ、アイドルグループの応募に踏み切る。が、オーディションには参加せず、プロデューサーとの顔合わせのみで合格が決定。
 その後はアイドルだけでなく、俳優やモデルとして活躍の場を広げ、2024年10月には「日経トレンディ」の”今年の顔”に選出。
 本名・生年月日・出身地・年齢は全て非公開でまるで宇宙人的な存在だが、兄が学校の先生である事を打ち明けている。元々、ネット界のカリスマ的アイドルとして高い注目を集めてたが、ステージでの奇抜なパフォーマンスは”悪魔のアイドル”として話題を呼んだ。
 特異な体験談として、イジメに反撃した過去を告白。カッターナイフで攻撃されそうになり、”やめないとお前の席がなくなるからな”と男を一喝。イジメは沈静化したという。

 以上、ウィキから簡単に抜粋しましたが、私が彼女に惹かれたのは、今時のウンザリする程に溢れる安っぽい使い捨てのネットアイドルではなく、奇怪な過去を持つ異質な何かに不思議と惹きつけられる。
 事実、特異な体験としては私も彼女に負けないものがあり、連続強盗殺人犯に命を狙われたり、JA時代には刺し身包丁で刺されそうになったりと、武勇伝ではないが、奇怪で怖い経験は幾らでもあった。
 そうした数々のリスクを背負って生きてきた彼女だが、大きく見開いた瞳には何かを訴えるものが見え隠れする。
 彼女の座右の銘として”明日死ねと言われたら今日死ぬ”とあるが、これも彼女のリスクにおける覚悟を示唆してるのだろう。

 ”あんたエリートだと思ってたけど、そこが嘘ならナシだわ”と毒憑いた彼女の瞳には、私を夢中にさせる何かがあった事だけは確かである。



8 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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トゲトゲしい瞳 (HooRoo)
2025-07-25 22:43:49
けっして
美人とかカワイイとかじゃないんだけど
奇妙な魅力を持つアイドルよ

彼女が持つ殺気走ったような
トゲトゲしい大きな瞳にも
何らの可憐さが漂うのかしら
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6話まで見たんですが (tomas)
2025-07-26 12:56:38
全体的に見て
少し印象が薄い気がします。
個人的には
「夢の一発屋」に期待したんですが
大きく外れちゃいました。
あの社長〜演技は全くダメなんですよね。

転んだサンは「ソックリさん」がオキニにみたいですが>>私には少し単純すぎるようにも思えました。

男女の付き合いって
ある意味において騙し合いみたいなとこがあって>>>その駆け引きを楽しむのもアリと思うんですがね。
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Hooさん (象が転んだ)
2025-07-26 13:32:50
その刺々しさが
親父には溜まらいないんですよ。
若い時が故の魅力でしょうが
いい線いってると思います。
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tomasさん (象が転んだ)
2025-07-26 13:42:46
言われてみれば・・確かにです。
「夢の一発屋」は明らかにミスキャストでした。
夢グループの潮時と言えばそれまでですが、それにしても酷かったですよね。

「ソックリさん」は展開は悪くはないんですが
少し急ぎすぎた感があると思いました。
男は本当の事を言って、女は単純にそれを逆手に取る。
まさに淡麗辛口のオチで、もう1つ捻りが欲しかった気もしますが・・
印象が薄いというのもそういう所から来るのかもです。
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第6話の (tomas)
2025-08-01 11:58:01
デトックスヒロインも面白かった。
こっちの方が清純ぽくて
その2面性に少しビックリしてしまった。

井桁弘恵という人で
初めて見る顔だったけど
とてもいい線いってると思う。 
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tomasさん (象が転んだ)
2025-08-01 21:14:27
淡麗な美人風で
こういう女性がSNS上で見境なく悪口を叩きまくる現代社会も怖いですよね。
インスタもXも、若い時だけの特権って感じですが・・

でも、まだ8話までしか見てないのですが
低調なまま、使い捨てアイドルと同じで、話題だけで沈みそうな気がしなくもないです。
ロバート秋山もよく頑張ってんですが、個性が足りないというかアクがないというか・・

先日紹介した「異世界食堂のぶ」もシーズン3は思い切り空疎に感じました。
日本のアニメもアイドルも心を打つ所までは到達しないんですかね。
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Unknown (hitman)
2025-08-02 01:23:14
今だけ自分だけアニメだけ
そんな
ニッポンに我は憂う
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hitmanさん (象が転んだ)
2025-08-02 06:28:24
政治やアニメだけでなく
今の日本のTVドラマはそんな感じですよね。
中身はスカスカで
見るべきものは何もない。
「笑ゥせぇるすまん」も「異世界居酒屋のぶ」にも多少は期待したんですが・・

モンローの元旦那でAミラーの「セールスマンの死」という傑作小説がありますが
「笑えないセールスマンの死」というタイトルでパロディ風にドラマ化すれば・・とも思ったりもしますね。
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